【学び記録】「小テストではできるのに、テストになったらできない」の謎
「小テストではできるのに、テストになったらできない」
「暗記力はあるはずなのに、忘れてしまう」
「どうしたら長期的な記憶保持ができるのだろうか」
私は塾講師として働いている中で、生徒や生徒の親からこういった悩みを聞くことが多かった。私自身もどう解決すればいいか悩むことがあった。
この知識を知っていれば、違う言葉かけができたかも…と後悔したので、同じように困っている人に届いてほしいと思い記事を書くことにした。(備忘録にも使えちゃう笑)
私が今回の記事を書くにあたって学ばせていただいたのが、
「英単語学習の科学 中田達也著」です。
「集中学習」と「分散学習」
何かを学習するときに主に二つの方法があるという。
それが、集中学習と分散学習だ。どちらの方法で学習しているか振り返ってみてほしい。
覚えるまで何回もする方法
ex)単語カードで覚えられない→覚えるまで連続して学習
ドリルなどでアルファベット例えばAを一行に何度も書く→次はB….
毎日コツコツする方法
ex)単語帳を1-10ページを毎日1セットする。(→一日という間隔をあける)
アルファベットをA-Hを毎日1セットする。
短期的か長期的か
様々な研究を通して長期的な記憶保持には分散学習の方がいいとされている。
なので、冒頭にある
「小テストではできるのに、テストになったらできない」というのは、
集中学習をしてしまっているの可能性が大きいのではないかと考えることができる。では、どうして「小テストではできるのに、テストになったらできない」ことが分かっているのに、分散学習をしないのか?という疑問が残った。
どうして分散学習ができないのか。
きっと先生はそのような学習者に対して、「毎日コツコツしなさい」と指導しているはずだ。
本書の内容で一番驚いた部分がここからだ。
「長期的には分散学習の方が集中学習よりも効果的だが、練習中には集中学習の方が効果的であるように見える。」
分散学習は確かに、長期的な面からみると強みのある学習方法だ。
しかし、「困難さ」があるのだ。
それは、「長期的には分散学習の方が集中学習よりも効果的だが、練習中には集中学習の方が効果的であるように見える。」(中田達也 英単語学習の科学 研究社 p45)ということだ。
私もそうだが、学習者はすぐに結果が出る方法を信じてしまう。
集中学習は短期的な記憶保持に優れているので結果が分散学習よりも早くに出やすい。つまり学習者は、練習中の正答率=一週間後の正答率と捉えてしまうのだ。
逆に、分散学習では結果が出るまでに時間がかかってしまうため、
学習者は「この方法ではできない」「内容が身についていない」と思ってしまい、やめてしまうのだ。
これを知って感じたことは、分散学習をするには先を見越した計画的な学習をしなければいけないということ。(すぐに結果が出ないから…)中学や高校でこれができる子はどのくらいいるのだろうか。
分散学習のむずかしさ
ここで分散学習の難しさをまとめる。
・完全にできなくても次に進む
→思い通りに進まないと感じる、手ごたえを感じにくい
・毎日コツコツ続ける
→忍耐力、工夫する必要がある?計画性が必要?
・結果が出るまでに時間がかかる
→実感しにくい
これらの理由を含め、分散学習はフラストレーションがたまりやすいと、筆者はいう。
指導するときに生かせるのではと思ったこと。
ここで大切なのは、暗記方法などの悩みを持っている人に対して、分散学習の効果について知っておいてもらうことではないか。小テストでできているのとテストでできるのは違うこと。結果を残すための方法、困難さを伝えてみるのもいいかもしれない。
今回のトピックは自分自身の学習を振り返るだけでなく、どうしたら論理的に生徒に「覚えること」を指導することができるのかを考えるきっかけが生まれた。実際に伝えるだけでなく実行しやすいようにサポートするところまで考えていきたいと思う。また、分散学習と集中学習は効果が違うからこそ、どちらがダメとかではなく、二つの方法をうまく活用すればもっと自分の納得のできる学習につながるのではないかと思った。