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「イップス」は、心を支配している失敗という考えに服従している結果だ ~無意識による自己暗示を考えてみた~

「自己暗示」という言葉に重い印象を与えてしまうかもしれませんが、普段から我々が全ての人々が影響されている力の1つであり、これを知らないままに使っているとすれば、自分自身に害を与える恐ろしいものなのです。

以前に、私が「自己暗示」に関する記事を上げました。

さらに読み進め、自分なりの気付きや考えが深まったので、みなさんへ共有できればと思い、記事にまとめました。

まず、自己暗示の基本法則について説明します。

意識に入ってくる考えは、無意識によって受け入れらたら、必ず現実に変わり、今後の生活の中で永続的な要素となる

無意識の自己暗示 ~「自己暗示」より~

つまり、自己暗示の過程は

➀考えを受け入れる
②その考えを現実に変える

たった2つなのです。そして、この作用を行うのは無意識なのです。

この無意識というのがやっかい?です。なぜなら、脳科学では人間の思考や意識が5%で無意識が95%であると言われており、ほぼ無意識が人間の考えや行動を支配しているといっても過言ではないからです。

この無意識による自己暗示は、私たちの意識や選択の及び得ないところで起こる自己暗示であり、よい考えを無意識が受け入れていれば、現実としてよい行動が表出されますが、悪い考えとして無意識が受け入れてしまえば、現実として悪い行動が表出されてしまうのです。

実際に、本書ではテニス選手の事例が紹介されていました。

テニスの選手がいて、試合に負けるかもしれないと内心恐れている。
彼の恐れは、無意識の中で大きくなり、実現する。失敗という考えを実現するのに最適な状態をつくるのだ。
意思の力を最大限にふるいおこして、ファインプレーをして勝とうという行動を目指すのだが、その努力に反比例して不味くなるばかり。
懸命になればなるほどエラーの数が著しく増えてくる。
心の中の考えに、勝とうという願望だけでなく、心を支配している失敗という考えに支配されている。
心を支配している失敗という考えに服従しているのである。
つまり、テニス選手は、筋骨逞しく、限りない意志力を持った人間でなく、彼の生活全体が、「これは自分の得意な競技だから、自分は成功する」という考えに支配されてきたものだ。

テニス選手の事例 ~「自己暗示」より~

この事例を見て、私は強烈に実体験を思い出しました。

私は、中学校で野球部に所属していました。一応1年生から背番号をもらえ、常にベンチに入っているレベルではありました。自分自身も野球に関しては自信があり、一時期は上級生がいる中でレギュラーを取れるかどうかにまでなったのです。

しかし、ある練習試合、1年生ならが先発メンバーに選ばれた私は、サードを守っていました。基本的に私は気持ちが弱く、

「絶対俺が一番だ!」
「誰よりも俺が数段うまいんだ!」

という感情よりも

「失敗したら、どうしよう…」
「打てるかな、ちゃんと守れるかな…」

という感情の方が大きかったのを覚えています。そんな中、サードの守備でいきなりボールが飛んできて、エラーの連発…!しまいには、満塁でサードゴロが飛んできて、ホーム送球で暴投。そのまま交代になりました。

その頃から、送球に関して恐怖感が増していきました。かっこよく言えば「イップス」に陥ってしまっていたのです…!

練習ではうまくいくのに、本番ではどうしても暴動ばかり。まるで自分の体ではないように、腕が振れなくなるのです。本当に、何とも言えない感覚でした。

努力はしました。試合後にも居残りして送球練習に励みました。しかし、努力をすればするほど、試合になるとプレッシャーが大きくなり、試合では暴投を連発してしまうのです。

結局、守備はファーストに落ち着きました。送球がほとんどないからです。でも、たまに送球がある時はドキドキしていました。

今思えば、意識しないようにしようと思えば思うほど、無意識の95%が自分の体を支配していたのです。

逆に、野球ではそんなに技術は優れておらず、送球フォームもお世辞にもきれいでないメンバーが、気持ちがよいくらいいい送球をすることが不思議でならないことがありました。

今思えば、そのメンバーは無意識の中に「暴投するかもしれない…」という考えがなかったのですね。

だから、思いきり腕を振っていける。仮に暴投しても、「次は大丈夫!」と悪い想像をしないで次のプレーで切り替えることができる。だから、よい結果が生まれる。

私がイップスを中学時代に克服することはできませんでした。高校はこの苦い経験から野球を離れ、大学からソフトボールをし、社会人クラブでも少しソフトボールをしました。距離が近くなる分、安心して送球できるので、イップスは出ませんでした。不思議なほど、暴投はまったくと言っていいほど出ませんでした。

―無意識が現実を支配するー

じゃあ、我々はどうすればよいのでしょうか?

教育者として、無意識の中で学習に主体的に向かい、他者を思いやり、笑顔で楽しい学校生活を送ろうとする子供を育てるにはどうすればよいのでしょうか?

結論から申し上げれば、子供に常にポジティブメッセージを与え続けることです。

教育は、教師の力量以上に子供を成長させることはできない

と言われますが、まさに、教師の人となりが、子供の無意識に影響するのです。

  • 常に心を平静に保ち、優しくはあるが、きっぱりとした口調で話すことが大切です。

  • 子供の前では悪口を言ってはいけません。

  • どんな子供も、社会の役に立つ、価値ある人間なのだということをあらゆる言動で示さなければなりません。

  • 教師自身が、学習に対して探究心を持ち、学び続けることへの楽しさやよさを伝えていかなければなりません。

  • 他人のために奉仕することのよさ、満足することを伝え、自主的に奉仕しようという態度を育てなければなりません。

  • 自分は成功する、できるという自信を持たせるような声かけをしていかなければなりません。

他にもあるかと思いますが、本書の巻末には「教育は、どうあるべきか?」という章があり、教育と自己暗示の関連について書かれています。教育の本質は、自己暗示による子供の無意識をポジティブに変換し、現実の肯定的行動を引き出すことなのだということを再認識させられます。ぜひ、自己暗示というものが、我々の無意識の中に誰でも存在しているのだということを知った上で生活することをオススメします。むしろ、うまくコントロールしてよりよい人生を作り上げられるよう意識してみてはいかがでしょうか?
今日の記事は以上になります。
最後までお読みくださりありがとうございました。


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