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具体→抽象のプロセスが、子供の自立を促す

題名にもしていますが、この言葉だけでは、抽象的すぎてなんのことやらさっぱりだと思います。この言葉の本当の意味について、読んでくれた皆さんに納得してもらえるように、具体例を挙げたいと思います。

最後まで読んでいただき、この題名の本当の意味について理解してくだされば、うれしいです😄

具体的な事例

通級指導で、こんなことがありました。

昼休み終了後に通級指導があるので3年生のAさんを待っていたのですが、5分、10分待ってもまだ来ない…

担任の先生は通級指導の時間をきっちりと覚えて出してくれており、子供にも今日あることは伝えていたので、忘れてはいないだろうと踏んでいました。と、いうことは…

「何か、トラブルが起きたな…!」

昼休みに運動場でドッジボールをしていたのですが、Aさんのクラスの周りに人が集まっていました。不穏な空気を察しました。

「ここで私が出しゃばるのはよくない、必要なら、向こうから私へ声をかけにくるだろう。」

ケガがないようであれば、私はあまり首を突っ込まないようにしています。子供たちだけで解決することも大切だからです。

案の定、授業開始から15分後、すごい剣幕で通級指導教室へやってきました。

Masa「どうしたの?」
Aさん「ドッチボールでけんかした…!」

ずっと下を向いた状態です。これは、もう予定していた自立活動は難しいと判断し、話を聞くことにしました。

ここで、ただ話を聞くだけでは、Aさんの本当の思いを出せないだろうと考え、ある視覚資料を提示しました。なぜなら、Aさんは自分自身の感情や行動をメタ認知することが難しいからです。

「なんだか分からないけど、イライラする!」

この一点張りだったからです。抽象的な「イライラ」という感情を具体的に理解するために、絵カードを使って気持ちを整理することにしました。

子供の絵と、その感情が乗っている絵カードを順番に提示し、どれが自分の今の気持ちにピッタリかを選ばせました。

その中から、当てはまる感情は

「いや」「ふん!」「ムカつく」「え~!」

の4つでした。それぞれの感情になった理由を1つ1つ聞いていくと、共通点が浮かび上がってきたのです。

「俺はけってないのに、相手からけられたって言われた」「俺はやってないのに、相手から謝れって言われた」
真相は分かりませんが、Aさんは「自分の気持ちを整理する」経験を積むことができました。

抽象的な理解へ

ここで、私が取った「じゃあ、どうする?」はこうです。

Masa「すっきりして、学校から帰ってほしい。イライラしたままお家に帰ってほしくない。そのために、これからどうするか、考えよう。相手を、ここに読んで、話を聞いてもいいよ。AさんとMasa先生とその子の3人で、話をしたらどうだろう。どうかな?」

すると、Aさんは「話を聞いてもらったら、スッキリした!だから、大丈夫!」と答えました。

最後に、私はAさんへ伝えました。

Masa「これからイライラした時には、こうやって話を聞いてもらうといいよ。そしたら、スッキリするからね。」

Aさん「分かった!ありがとう!」

こうして、Aさんは「話を聞いてもらうことで気持ちが整理できる」ということに気づくことができました。

具体→抽象のプロセスが、自立を促す

Aさんは、恐らく「話を聞いてもらったらスッキリするよ」という抽象的な表現で伝えても、ピンと来なかったでしょう。しかし、絵カードを使い、感情を整理することで、具体的な体験を積み、それを抽象的な理解へとつなげることができました。

つまり、具体的な経験を通して抽象的な概念を理解することで、子供は日常生活に般化できる力を身につけるのです。

「具体→抽象」のプロセスこそが、子供の自立を促す大きな鍵になります。

通級指導教室の役割は、子供の「自分事」である具体を教材化し、指導を行うことで、抽象的な概念を理解させることです。それができるかどうかが、通級指導教室担当の腕の見せ所なのではないでしょうか。

「目の前の子供が教材である」

この言葉は、教育書でよく書かれていますが、実際の事例を通して考えることで、より納得できるものになると思います。
これからも、目の前の子供が具体的な経験を積み、それを抽象的な理解につなげ、日常生活で般化できるように指導を続けていきたいと思います。

今日の記事は以上になります。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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