月農 感想 

宮下貴浩さん×私オムさんのプロデュース舞台、いつか行ってみたいと思ってたら推しが主演をすることになったので念願叶って行ってきました。

案内のスタッフさん、物販のスタッフさん、チケット確認のスタッフさん、特典引換のスタッフさんみんな親切でめっちゃ気持ち良い接客受けました!
舞台の前にまず接するのがスタッフさんでスタッフさんの感じが良くないとそれだけでなんかもう楽しくないみたいな気分にさせられることもあるので、すっごく感動しました。

舞台のストーリーは全くわからないまま行ったので田舎でありがちな人間関係の密度の高さや情報網の速さとかからくる閉塞感に嫌気が差してくすぶってる若者の話かと思ったら全然違いましたね。

以下ネタバレ
都会から田舎にやってきて自給自足生活を始めて一年が経つ主人公。主人公は何かを抱えているらしく影がある。
周りの人たちの田舎特有の距離感のなさにちょっと迷惑がりながらも、救われてる様子もあり、それなりに上手くやっていたところ突然やってくる夫婦二人組。
夫婦は主人公とおなじように自給自足の生活を始めたくて田舎に来たということだが、実際の目的は主人公の過去に関わる人物で夫婦でも何でもなかった。
実は主人公、田舎に来る前は医者をしていたらしい。しかし、とある患者と恋仲になり恋人である患者の希望を叶えるために恋人の最期を自らの手で決定づけてしまっていた。
そのことを主人公から聞き出すために夫婦はやってきたのだ。
妻の方は主人公の恋人の姉、夫は主人公の恋人の幼馴染。
医者であった自分を消したくて新天地で新しい生活をしていた主人公だが、恋人の幻影がまとわりつき、消えることのない日々。恋人の姉の追及に吐き出すなら今なのかもしれないと夫婦二人の歓迎会という名目で皆が集まったなか、すべてを吐き出してしまう。

主人公を待っていたのは叱責だけではなく……という感じなので、和田雅成さんがX等でもおっしゃってる通り悲劇ではなく優しい雰囲気のラストを迎えるのですが、この主人公の過去の罪の吐露のくだりについて言葉にするのは非常に難しく齟齬がでそうなので自分の目で確かめてみてください。

私が作品から受け取った印象は皆それぞれ辛い思いをしながら生きてるんだから自分だけが辛いと思うな、吐き出したら楽になれるかもしれないがそれを周りに背負わせることになるということと、生きてる限りされど人生は続いていく。辛い思い、いわゆる膿を抱えたままの自分自身を認めて生きていこう。みたいなことを伝えたかったのかなと思いました。

私オムさんの作品って奇をてらったり、伏線をはって後で回収して気持ちいいってなるような作品じゃなくて一枚一枚ガーゼを重ねていくような丁寧な作品を作る方なんだなと思ってるんですけど、おかげで今何してるの?とかがなくてわかりやすかったです。
過去と現在を行ったり来たりする作品ってたまにそういう事があるんですが、主人公の過去の医者時代と、現在の農家での姿と混乱することはありませんでした。

あとシアターサンモール初めて行ったんですけど思ったより小さくて、でもそれを上手く使った舞台装置だなと思いました。

私オムさんの作品を演劇ドラフトでしか知らないのですが、どうしても私はオムさんの作中の人物の誰にも感情移入ができなくて、今回も誰にも感情移入ができなくて、オムさんの言いたいことの5割も理解できなかった気がするんですが、置いていかれることのないストーリー展開で助かりました。
俳優さん方の演技も素晴らしく一瞬たりとも現実に引き戻されることはなくて始まって3日目なのにこのクオリティはすごいなと思いました。

ヒューマンドラマが好きで、最後にじんわり胸があったかくなるような作品が好きな人にはぜひ見てもらいたい作品です。
思ったより辛さはありませんでした。これももしかしたら物語で伝えたいことの一つかもしれないですね。誰かの辛さは他の人から見たらそんなに思い悩むようなものではないというような。作中で月は見る人によって穏やかにも冷たくも見えるというような台詞があるのですが、すべてをその一面だけで語るのではなく色んな側面から見るべきなのかもしれません。
月農も見る人によって感じ方が違うと思うので、ぜひ見てどう感じるか確かめてみてください。
現地に行くのが難しい方は配信もあるのでぜひ。

当日券もありそうでした。新宿シアターサンモール。お近くの方は現地での観覧もご検討ください。


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