『あの夏のクライフ同盟』(増山実)
【おまえは、おまえの人生やろ】
「あの夏のクライフ同盟」(増山実)の一文です。
14歳。
誰もが通る
淡く切ない
子どもと大人の間を彷徨う年頃。
そんな時こそ、夢を見る。
そして
そんな時こそ、友がいる。
損得じゃなく
無邪気に意気投合して
お互いの秘密を共有し合える。
後にも先にもそんな仲間は現れない気がする。
そんな4人組が
サッカーの神“ヨハン・クライフ”と出会うための旅に出る。
その中の1人にサトルという少年がいる。
サトルは主人公のぺぺに
『おまえはいつもそうやけえな。サッカーをするのも塾に行くのも、全部おれと一緒やないか。それでええんか。おまえは、おまえの人生やろ』
と声をかける。
僕はこのシーンが1番印象に残っている。
なぜか。
おそらく自分もぺぺと同じように
誰かが決めた道を真似して歩く選択をしてきたから。
自分で決めずに
誰かの決断の真似をしていた。
だからそれを言われて
自分が自分の人生を生きているのか?
と問いかけられたような気がした。
自分の人生はこのままでいいのか?
本当に生きたい人生を生きているのか?
過去を振り返るとあの時の選択はどうだったのだろうと思う。
あっちを選んだ方が良かったのかと思うこともある。
でも、それは妄想の中の最良の結果を想像したにすぎない。
そんなことは意味がないんだ。
主人公のぺぺはサトルに言われて恥ずかしいと思った。
そう。
ぼくも恥ずかしいんだ。
自分で選べていないことが凄く凄く恥ずかしい。
同級生のサトルが凄く大人に見える。
でも、サトルはなぜこれを言ってくれたんだ?
とも思う。
14歳で友達のためってだけでは言わない気がする。
たぶん
サトルも同じ経験をしたんだろう。
同じように恥ずかしい気持ちになったことがあるんだろう。
だからこそ、
あの言葉が出たんだ。
サトルも恥ずかしいという気持ちがあったから
言葉にせずにはいられなかった。
そんな事を想像した。
厳しい言葉を言ってくれる人も
同じように厳しい言葉をかけられたことがある。
だからこそ、
しっかりと伝えようとしてくれる。
僕たちは厳しい言葉に耳を塞いでしまう。
相手が真剣な気持ちで伝えようとしてくれていることを蔑ろにしてしまう。
相手の言葉に耳を傾けよう。
耳心地の良いものばかりが自分の為ではない。
現代は自分の好きなものだけ選び取って来れる時代だ。
だからこそ、
大切なことを言ってくれる人を大切にしよう。
14歳のあの頃のような
夢と現実が混在した
瞬間に感じたもの。
心に変な価値観がつく数日前のような
そんな感覚で物事を楽しみたい。
そんな風に思った。
この本との出会いはこんぶ店長だ。
『スージーにオススメの一冊が出た‼️』
と鼻息を荒く鳴らして紹介してくれたのだ。
その興奮が読み終わったら分かる。
何か力が力がふつふつと湧いてくるような感覚だった。
だから、こんぶ店長のお店まで普段はバイクで行くところを、走って行くことにしてしまった。
何かせざるを得なかった。
あの頃の何をしたいか分からないけど力だけあり待っている感覚を久しぶりに取り戻せた。
14歳だった。
あの頃を取り戻したい。
そんな人にオススメです📚
#あの夏のクライフ同盟
#増山実
ーーーーーーーーーーーーーーー
今年の一冊はこの本だと話すこんぶ店長のお店はこちら💁♂️
『ブックランドフレンズ』
ーーーーーーーーーーーーーーー