【バウム沼への誘い】ズーセス ヴェゲトゥス「はちみつバウムクーヘン」の感想
私がバウムクーヘン沼に落ちるキッカケを作ったのは、京都市中京区にあるお店「ズーセスヴェゲトゥス」の看板商品「はちみつバウムクーヘン」だった。
これを食べるのは今回で4回目か5回目なのだが、味の感想を書く前に、まずはこの沼落ちの経緯について書いておきたい。
実は、以前の私はバウムクーヘンがあまり好きではなかった。私が好きなのは、生クリーム、カスタード、キャラメル、フレッシュな果物などをたっぷりと使った洋生菓子で、土台の生地はザクザク一択。スポンジ生地には一切の興味がなかった。ようするに、多様な味と食感の差を分かりやすく楽しめる、派手なお菓子が大好きだった。そんな私からすれば、バウムクーヘンはあまりにシンプルで、退屈だった。
そんな私がこの「はちみつバウムクーヘン」を購入した理由はただ一つ。とても美味しいと聞いたからだ。あまり興味はなかったが、一応、味だけは確かめておこうと思ったのだ。
しかし、これが予想を遥かに上回る美味しさで、あっという間に食べきってしまった。これを作った人物は一体何者なのかと思い、公式サイトを開くと下記のように記載されていた。
かなりの実力者だった。製菓マイスターを取得した職人なんて、日本ではそうそうお目にかかれるものではない。更に、この店主は元薬剤師らしく、素材にもこだわりがある模様。そして特に驚いたのが、取り寄せにはかなりの時間がかかるということ。注文がよほど殺到しているらしく、受注そのものをストップすることもあるそうだ。しかし、店まで直接足を運べば、わりとすんなり手に入る。味、話題性、希少性、どれを取っても素晴らしい。つまり、これは自分へのご褒美や贈り物だけでなく、京都土産としてもピッタリなのだ。ますます気に入った私は、この「はちみつバウムクーヘン」の魅力を誰かに聞いてもらいたい気持ちでいっぱいになった。
しかし、ここで重大な問題に気がつく。私は今まであまりバウムクーヘンを食べてこなかったため、他と何がどう違うのかを上手く説明することができなかったのだ。つまり、この「はちみつバウムクーヘン」の美味しさを理解し、言語化するためには、他のバウムクーヘンの美味しさを知る必要があった。
そこで、昨年から少しずつ色々なバウムクーヘンを食べ比べるようになった。バウムクーヘンはシンプルだからこそ、店や商品ごとの違いが分かりやすかった。それぞれの生地に異なる食感、味、香りがあり、外側のコーティング部分にも作り手のこだわりが表れる。更に、温めたり、冷やしたり、厚切りにしたり、そぎ切りにしたり、美味しい食べ方も様々である。もちろん、多少は好みに左右される部分もあるが、それもまた良い。そして、これらを少しずつ覚えていくのがとにかく面白かった。私はどんどんのめり込み、いつしかバウムクーヘンを退屈なお菓子だとは思わなくなった。むしろ、新たな発見と出会い、尽きる事のない好奇心をもたらしてくれるお菓子であることを、私はようやく理解することができたのだ。
以上が、バウムクーヘン沼に落ちた経緯である。かなり長い前置きとなったが、ここから味の感想を書いていく。
店員の説明によると、この「はちみつバウムクーヘン」は出来立てをすぐに食べるより、何日か寝かせてから食べる方が断然美味しいとの事。今回は賞味期限の1日前に食べる事にした。
まず、生地の食感は、しっとり、みっちり。更に言えば、ぎゅっと引き締まるような食べ応えがある。あと、今回はギリギリまで寝かせたせいか、バナナでも入っているのかと思うほどしっとりしている。とはいえ、もちろんバナナは入っていない。口の中に蜂蜜の優しい甘さが、ほんのりじんわりと広がる。なんとも絶妙だ。これを「甘さ控え目」と表現しても良いのだが、私としては「穏やかな甘さ」と表現したい。そして、焼き印がしてある部分は、ほんのりと香ばしい。これも良いアクセントになっている。
また、保存方法の欄に「冷蔵保存10℃以下」と書かれているように、この「はちみつバウムクーヘン」は少し冷やして食べた方が美味しい。そして、これは個人的な意見だが、そぎ切りはせず、分厚くカットして食べるのが美味しいと思う。その方が食感を存分に楽しめるのだ。ひんやり、ぎゅっと引き締まった生地の層を歯でズブッと食い破り、モグモグと豪快に咀嚼していくのがなんとも贅沢でたまらない。今回も本当に美味しかった。
かなり長文になってしまった。なお、他のバウムクーヘンを食べた感想もいくつか下書きに準備してあるので、これから少しずつ投稿していく予定である。ここまで読んでいただき感謝。
<資料>
・ズーセス ヴェゲトゥス 公式サイト
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