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モノづくり思った事、考えた事。

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サニーサイドスタジオとしてモノづくりをする中で考えたコトや、頭の中のコトを書いています。
運営しているクリエイター

#ものづくり

真鍮看板のオーダーシステムをはじめます

サニーサイドスタジオでは開業以来オーダーメイドでの製作を行なってきました。 ただ多様な依頼に応えるための時間が足りないことや、高騰する材料費などの影響もあり、今のままの仕事の進め方が難しくなってきました。 開業依頼ありがたいことに沢山のご依頼をいただいてきました。 そして経験を積むことで自分自身できることが増え、精度も格段に上がりました。 おかげで要望に応える幅は広がりましたが、その幅が少し広くなりすぎたなと感じています。 お客さんの選択肢が増えることは喜ばしいのですが

ものづくりの好奇心と危機感

久しぶりに真鍮の銀ロウ付けをした。 鉄やステンレスの場合は溶接でひっつけますが、真鍮の場合はロー付けで行うことが殆ど。 よくロー付けも「溶接」と言われますが接合の理屈も違う、全く別の技法です。 オーダーメイドで仕事を請けていると、新しい技法や道具が必要になることが多々あります。 道具がなかったり、普段やらないからといってできませんと断るのは簡単ですが、せっかく頼りにして頂いたのだから、できる限り期待に応えたいと思ってしまいます。 もちろんできないことはできませんとお

変わることを恐れないように(99回)

最近身の回りのことが大きく変わってきています。 毎日色々なことが起こりますし、去年の今頃のことを思えば今の状況は想像もできない程には変化していると思います。 きっと来年も、再来年も同じことを考えるだろうし、10年先を想像すれば軽くゾッとします。 その頃には娘は17歳のティーンエイジャーで、僕は年頃の娘とどう接して良いかわからないおじさんになっているかもしれません。 今とは全く違うことをしているかもしれないし、案外淡々と同じことを繰り返しているかもしれません。 先日工房

個人事業主としてどう働くか考える。改めての自己紹介その2(93回)

前回の続き。 これからどうしていこうかと考えた時に、やっぱり子供のことが頭をよぎります。 小学生に上がった娘は僕の幼い頃と性格や考え方が似ていて、集団生活が苦手な様子。 このまま大人になれば、僕のように学校や会社でうまくやれないかもしれません。 もちろん親としてできる限りのサポートをしますが、最後は自分次第だし本人の性格や考え方を無理に矯正したくはありません。 どんな子どもでも得意不得意があり、それを少しづつ克服したり受け入れながら成長するものです。 大きくなった時に

今後のこと(90/100回)

noteの連続投稿もあと10回になりました。 始めた時は大変そうだし続かないかなと思っていたけれど、力を抜いて書いていたおかげもあって、どうにかここまで続けてこれました。 残りの10回は自分のためではなく、読んでくれる人のために書いてみようと思います。 7年目の定番商品 自営業をはじめて6年になりますが、落ち着いて来月のことを考えられるタイミングってなかなかありませんでした。 仕事のご依頼をたくさん頂けて、納期に追われバタバタしているか、反対に仕事が減ってどうしよう、

小さなお店が増えると街が元気になる

看板を製作するようになって3年ほど経ちました 3年で製作させて頂いた看板はおよそ300件。 そのお客様のほとんどが小さな個人店です。 看板を依頼して下さるお客さんは、小規模なお店や会社が多いです。 店主一人で全てを切り盛りしている小さなお菓子屋さんや、スタッフ数人のアットホームなサロン。夫婦2人で営んでいるレストラン。 常に店主や働く人の気配が部屋の隅々まできちんと行き渡っている。そんなお店ばかり。 どのお店も個性的で、SNSを覗くのはとても楽しいです。 大きなお店や

「パン屋の手紙」という本を読んでいます。

建築家の中村好文と北海道でパン屋を営む主人、二人の手紙のやりとりを書籍化した本です。 変わった本だなというのが第一印象でしたが、建築家が建物という大きいものの抽象的なこだわりをどう形にして、どう施主へ説明しているのか垣間見えるかなと思い、購入しました。 書籍内には写真や図面もたくさん掲載されており、まるで打ち合わせに参加しているような、そんな気分にさせられました。 言葉を尽くしても頭の中を全て伝えることは不可能です。でも価値感を共有することで進む方向が決まり、信頼関係を築

古びた時により美しくなる自然素材を使う

数年前に自分で作った革財布を、久しぶりに使おうと思い修理をしました。 壊れた金具を取り替え、切れた縫い糸を撤去して新しく縫い直す。 ところどころ汚れてしまっていますが、それも良い味になっています。 普段から色々な素材を使い加工を行いますが、経年変化によるエイジングには敵わないなとつくづく思います。 綺麗な状態から毎日使っていたので、愛着も湧いてなおさらです。 最近耳にして、とても気に入ったのでHPにも掲載しているのですが 「古びた時により美しくなる自然素材をつかう」

小さなお店のための看板作り

サニーサイドスタジオに依頼してくださるお客さんは、ほとんどが小さな個人店です。 オーナーさんと直接打ち合わせをして製作をするので、毎回個性のある看板になります。 以前製作した看板と同じ仕様にすることもありますが、ロゴとのバランスやお店に合わせて細かい部分は微調整するので全く同じということはありません。 個人店はオーナーさんの個性がお店にそのまま出るので、チェーン店にはない魅力が満載。 お客さんのSNSはほぼ見させて頂くのですが、どちらも本当に個性があります。 だからこ

「溶接を仕事にしたい」という相談を受けたので

今勤めている会社を辞め、溶接を仕事にして将来は独立したい。という20代の男性とお話をしました。 溶接の仕事は未経験だけど自分が好きだと思えるモノづくりの仕事がしたい。 組織に縛られたくないから独立をしたいけど、結婚ってできるの?と言った悩みを抱えていました。 異業種への転職というのはとても勇気が要ります。 一概に溶接の業界といっても年代や所属している会社によって待遇や給料面は大きく違います。 だから人の意見はあくまで一例であり、同じような待遇が得られるかどうかは、運や

「ものづくり」というサービス業

小学校の卒業文集で将来の夢は「商売人」と書いた。 4歳の娘と話していて、僕の子供の頃のことを聞きたがったので久しぶりに文集を開いてみた。 警察官やサッカー選手というような小学生が考えそうな将来の夢に混じって「商売人」は少し浮いているように感じる。 自分の親は役所勤めの公務員だったせいか、反面教師だったのか、今となってはそう書いた本心は分からないが、何か自分の力で興したいという気持ちはあった気はする。 人生何がどうなるかわからないもので、あれから25年後、紆余曲折を経てち

職人の三つ子の魂

昔から人と何かを一緒にするのが苦手で、子供の頃は一人遊びばかりしていました。 2つ上の兄の幼馴染みが近所に住んでいて、兄が遊びに出る時は一緒に連れ出してもらっていました。 一人遊びばかりの弟を心配してというよりは、母親に言われて仕方なくといった感じだったけど、おかげで毎日退屈せずに済みました。 小学校の中学年にもなると、人付き合いもできる器用さも少しづつ身に付いて、放課後は同級生と暗くなるまでサッカーをしていました。 三つ子の魂百までじゃないけど、僕の性格というのは幼稚園

好きなことを仕事にするのと、仕事が好きだというのは似ているようで違う

好きなことを仕事にしていると自分のこだわりが出ます。 そのこだわりがお客さんのニーズとマッチすれば幸せなのですが、うまく行くことばかりではありません。 仕事では自分のこだわりをゴリ押しするだけではうまく行かないので、商売としてやる以上、相手のニーズに合わせて柔軟に対応することが大切です。 他方、仕事が好きというのは良いことも嫌なことも含めて好きということです。 お客のクレームを受けるのが好きという人はいませんが、相手を納得させる交渉が好きということはあると思います。 言い

鍛冶屋の祖父が作った奇妙な金槌が教えてくれること。

僕の工房には鍛冶屋の祖父が作った大きな金槌があります。 それは奇妙な形をしており、とても細長く、まるで突き出た猪の鼻のような形をしています。 とてもバランスが悪いので、祖父の真似をして大きく振りかぶると体がふらついてしまいます。 これを祖父は70になっても軽々と片手で扱っていました。 祖父はなぜこんな扱いにくい金槌を作ったのだろうとずっと不思議に思っていました。 鍛冶屋ならどんな形にでも自在に作れたはずなので、もっとバランスの良い金槌も作れたはずです。 でも作らなかった。