フリーレンジチキンとは何か
先日H7N7鳥インフルエンザの記事を書く際にこの事に関しては別で書きますと記したので忘れないうちに記すことにしました。
私は数年前に地元でサスティナブルを謳う有名なフリーレンジ養鶏場の見学ツアーへ参加しました。そしてそこで見たフリーレンジと言われる鶏たちの環境が想像していたものとは全く違っていたことにショックを受けたのです。
私がそれまでに想像していたフリーレンジとはとても広い草むらに自由に放たれいる鶏たち。そう よく商品パッケージにある あの平和でほのぼのとした感じです。
この養鶏場のファーム見学ツアーは有料でチケット購入をして見学するシステムです。まず最初にファームオーナーがチケット購入者名簿にある名前を確認してから参加者全員で小さなバスへ乗り込みファーム内部の案内を受けました。私の他にも二十名ほどの人が参加していました。
まず最初に鶏肉用に飼育されているフリーレンジチキンの居る場所へ向かいました。そこには大きなビニールハウスのような移動式テントが数個設置されており中には何百羽かの白い鶏の雛たちがいました。
「え?これがフリーレンジ?」素直にそう思いました。
実際の現地の写真です。
テントの中に詰め込まれた鶏たちには自由に走り回れるほどの広さはありませんでした。分かりやすく言うと鶏でいっぱいで地面は半分以上見えないそんな感じです。鶏肉用の鶏は肉を取るために太らせることが目的なのでそうしているのか それとも法にあるフリーレンジの規定ギリギリいっぱいに詰め込んで効率よく鶏肉を生産するためなのか 私には判らないですがこれがフリーレンジの鶏肉として屠殺して売られるまでの鶏たちの環境でした。
しかしながら養鶏場のオーナーはこのテントは移動できるので鶏たちの居場所を自由に変えることが出来ることをとても自慢げにそしてどれだけ自分たちのファームが鶏たちにとって良い環境であるかを力説していました。
次に鶏卵用の鶏たちが飼育されている場所に案内されました。鶏卵用の鶏が居る場所はテント内ではなく青空の下でテンポラリーフェンスで区切られていました。(おそらくこれも場所を変えることが出来るようにテンポラリーフェンスなのでしょう)こちらは人間が入れる余裕もあったので見学者はフェンスの中に入り鶏たちの近くへ行くことが出来ました。
しかし区切られたその場所は我が家の庭の半分くらいしかなくそこに300羽以上の鶏たちが居るといった感じで私は驚きました。こんな広い土地を持っていてフリーレンジを謳っていながらなぜこんな区切られた狭い場所に多くの鶏を詰め込むのか。これもまた鶏たちに玉子を生む場所を限定させて効率化させるためであることは容易に想像できました。
この区切られた場所で鶏卵用の鶏たちが休めるように鶏小屋として古い大きなキャラバン(キャンピングトレイラー)が使われていました。私はそのキャラバンまで行き中の様子も確認しましたが室内は今まで一度も掃除したことないのではないかと思われるくらい汚れていて鶏たちがただ雨風をしのぎ夜寝るだけの場所でした。また鶏たちが飲む水飲み場も全く洗われていないような不潔さに不快感を覚えました。
見学者を入れて案内するような場所なのに鶏小屋や水飲み場さえも清潔にしてあげれない飼育状況をみて私の想像していたフリーレンジとは一体何だったのか深く考え直すキッカケになりました。この後に放牧している牛たちも見るように案内をされその直後に玉子、鶏肉、牛肉の商品案内とお値段を書かれた紙を配られました。ここはアニマルサンクチュアリーではない。全てはビジネスでありここは畜産農場なんだと確認させられた瞬間でした。
これがフリーレンジチキンの実態です。もちろんケージチキンはこれに比べると更に最悪な環境であることは明らかでしょう。しかしこんなに情報にあふれた世の中なのに嘘の広告やイメージ画像により洗脳されたままフリーレンジチキンがどのようなものなのか誤解している人が多いのではないでしょうか。また鶏に限らず家畜として飼育されている牛や豚の本当の環境を知っている人はどれだけいるのでしょうか。
私が実際に見たフリーレンジ養鶏場のお話が参考になれば幸いです。