父の遺品整理
定年後、群馬県へ移住した父が亡くなって3年。
母のもとへ2~3ヶ月に一度ほど訪れ、一緒に少しずつ片付けをしたり、楽しんでいた畑などの手入れをしてたが、やっと心の整理ができたのか、母が思い切って遺品を全て片付ける事になった。
手帳や日記、写真などは既に母が整理をし、万年筆や文具、眼鏡、カメラなどの使える物は僕は引き取って、手入れや修理をして引き続き使っている。
残っている物は、部屋いっぱいの本、古いレコードとCD、真偽のわからない古物や、古いAV機器などの電化品だ。
捨てることがなかなかできない父は、壊れるまで使うどころか、壊れた後も、思い出を捨てたくないかの様に、大切にしまってあり、時々手入れまでもしていた。
そのため、かなりの物がコレクション的に残されていた。
棚に収まっているお気に入りの物はまだ良いのが、ダンボール箱に無造作に入れられている物の方がかなり多く、自室にとどまらず居室や納戸などにまで収納されてるほどであった。
僕の知るかぎり、母は壊れても捨てられない父の性分を、物を大切にしてきちんとした人だからと納得し、あまり口を出すこともなく見ていたが、晩年は共に少しずつ処分をするようにしていたようだが、それでもかなりの量である。
オープンリールデッキ、真空管ラジオ、CDラジカセなどのAV電化品は、壊れて使えなくなり、修理するにもどのようにしたら良いのか困ってしまい、結局仕舞ったままになっていたようだし、他にはかなり使い込んで愛着があるのか、革製品の財布やバッグ、帆布のカバン、スーツやジャケットと呼ぶのでは無くあえて背広と呼びたいような古い服などまで、実に生活感溢れる物ばかりだ。
分別するにも、どのようにしたら良いか見当もつかず、まずは片付けをしてもらえる会社を探すために、ネット検索をしたところ、群馬県内の廃品業者は距離的な事と日程が合わずダメであったが、長野県の業者の方が距離的に近くなることを教えてくれた。
さらに、大抵の業者は分別から回収まで全ておこなってくれる事も教えてもらい一安心。
再度検索をし、長野県の不要品回収業者に問い合わせをしたところ、さっそく翌日には来てくれ、手際よく玄関先に搬出をしながら価値のある物は説明と査定をし、破棄するしかない物は、専用の車両に積み込み片付けをしてくれた。
しかし、古本に関しては、専門業者の方が良いとのことで、同じく長野県内の業者を探してみると、1件目の古本店は最近の本しか買い取れないようで2〜3件目のは古書店では日程が合わず、4件目の古本店でやっとお願いできた。
しかも、運良く夕方には来てくれて、査定しながら運びだして片付けまでもしてくてた。
まだ、お若い店主だったが、知識や経験が豊富なのか詳しく説明をしながら丁寧な仕事だった。
お願いをした古本店はぶっくくらうどというお店だ。
急な事だったが、なんとか1日で片付けを済ますことができた。
古物や古本は、思っていたよりも査定額が高くて驚き、電化品は無料で引き取ってもらえた。
査定でいただいた分は、この地が気に入った母がしばらくはまだ住みたいようなので、リフォームの費用にあてることにした。