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#62 本の感想2024年1〜2月

◯『バグダードのフランケンシュタイン』/アフマド・サアダーウィー
読書会の課題本になっていたので読んでみた本。
中東が舞台。翻訳物。SFやディストピアといった普段は手に取らないジャンルの本で、しかも400ページ弱という歯ごたえのある小説でした。
何度も冒頭に載っていた登場人物一覧を見返しながら読みました。
自爆テロがある意味日常である世界でも、普通の生活は営まれています。
幸せな人も不幸な人もそれぞれが生きています。
名無しさん正義なのか?悪なのか?
読み切れただけでも良かったと思います。

○『「やりたいこと」の見つけ方』/八木仁平
自分の方向性に迷っているときにお勧めしていただいた本。
こういった本を読むことは皆無だったけど、本書は非常に参考になると思いました。
自分にとってマイナスの思考はプラス変えられるかも知れません。
自己理解メソッドを使って、自分の方向性を考えたいと思います。

○『有頂天家族 二代目の帰朝』/森見登美彦
なんかよくわからないけど、最後まで読めてしまいました。
前作を読んだのがだいぶ前だったので、いろいろ忘れていましたが、この小説だけでも充分楽しめました。
最後は少し心配しましたが、無事にハッピーエンド?で終わります。
小難しい表現や、面倒くさい感じも森見作品の醍醐味ですね。
阿呆でも面白いことは良きことなり!

〇『夜明けのすべて』/瀬尾まいこ
映画公開ということで再読。
家族でも恋人でもないけど、本音を言い合える人や場所はとても貴重なことだと思います。
家族や恋人ではないからこそ、助け合えたり分かり合えたりすることもあるのではないでしょうか。
自分が大変でも相手も違った種類の大変さがあり、それを少しでも想像できるかできないかは大事になってきます。
特に何かハンディがある場合は、周りの環境が重要になってくると思います。
1つでも優しい世界を増やしていきたいですね。

〇『お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい』/向野幾世
「ごめんなさいね おかあさん」から始まる詩に心を掴まれた本。
脳性麻痺のやっちゃんの生涯を中心に、養護学校でやっちゃんのことを担当していた著者が綴ったノンフィクション。
ちなみに「ごめんなさいね おかあさん」の言葉が完成するまでになんと1カ月かかったとのこと。
脳性麻痺で言葉がしゃべれず目をつぶったらイエス、舌を出したらノーというサインでコミュニケーションを取っていたやっちゃん。
「ごめんなさい」でも「ごめんね」でもなく「ごめんなさいね」。
言葉への強いこだわりに感銘を受けるとともに、辛抱強く聞き取った先生もすごいなと思いました。
「ごめんなさいね、おかあさん」と言わせてしまう社会に問題があることを示してくれる素晴らしい詩に偶然出会えたのはとても幸運なことだと思います(長崎にあるひとやすみ書店で見つけた本)。
「悲しさこそが美しい」ってどういう意味だろうと思っていたけど、著者は「うめき、苦しんでいることこそ、一番美しいのだ」と言っているようだと考えられています。
重度障害の子供を持つお母さんたちに忍び寄る死の誘惑。
将来を悲観して子供とともに死のうと考えるお母さんに対して、「死ぬんやったら、お母ちゃん一人で死んでんか。ぼくはすることいっぱいあるんやから」と言い切った子供の言葉が印象的でした。
子供は自分の私有物ではなく、子供も一人の人間ということですね。
50年以上前のエピソードなのに、今読んでも心に強い印象を残す本。
この本に出会えて本当に良かったです。

https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594046422

〇『誰もいない場所を探している』/庄野雄治
コーヒー屋・アアルトコーヒーを経営する著者が実践した37のアイデアが書かれた本。
仕事に必要な考えというよりは、人生に必要な考えが書かれているのだと思います。
地に足が着いた体験談や、読者と同じ目線が語ってくれる話にとて共感できました。
「夢や希望がなくったって、楽しく幸せに暮らしていけるんだ。(略)一生懸命やっていれば何とかなる。それだけで大丈夫だよ」
「夢や希望ばかり言う人の話は、誰も聞いてくれない。だけど知識や経験、戦力や資金を持っている人の夢や希望はみんな聞いてくれる」
「自分は何ができるかを意識して、できることを確実にやる。(略)仕事に夢や希望がなくても、誰かが笑顔になってくれるのなら、それで十分。自分の仕事に「ありがとう」と言ってもらえる以上に、嬉しいことなんてないのだから」
「たくさん本を読むのだけれど、内容はすぐに忘れてしまう。メモはとらない(略)知識を得るために読んでいるのではなく、ただ本が好きだから読んでいる。(略)知らない間に自分の中に何かが蓄積されている。(略)無意識に残ったものの純度は高い」
自分には著者の言葉がとてもしっくりきます。


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