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今こそ、土屋太鳳を語らせろ。

このところ、『海に眠るダイヤモンド』の土屋太鳳が話題になっていますね。複雑な感情を持ち合わせている百合子という難役を演じ、「素晴らしい」と各メディアやSNSで称賛の嵐です。

これまでの彼女は、清純派のイメージが先行し、時には「ぶりっ子」というレッテルまで貼られ、演技に関してあまり評価されてこなかったように感じます。そんなマイナス評価に対して、私は不満を持っていました。

もともと、『花子とアン』で見た時に、「この人は上手だ」と思いました。本来は演技力のある俳優なのに、事務所の仕事の選び方なのか、彼女の魅力をつぶす作品にばかり出演させられていると感じていました。

恋愛ドラマのヒロインのような素直で純粋な役より、陰のある役や意地悪な役のほうが彼女らしさが出ると、常々思っていました。だから、『海に眠るダイヤモンド』第1話で癖のありそうな百合子役を演じる彼女を見て、いよいよ土屋太鳳の演技力が日の目を見ると希望を持ちました。
心から、「今度こそ、彼女が認められて欲しい」と願っていました。

だから今、やっと土屋太鳳が評価されて、勝手に嬉しくなっています。

もっと彼女を知りたいと思う人たちに、見てほしい映画があります。

映画『累 -かさね-』

2018年公開。
芳根京子とダブル主演した作品。

土屋太鳳と芳根京子。
どちらも朝ドラで主演した経歴を持っています。

淵累(芳根京子)は伝説の女優・淵透世(檀れい)を母に持ち、母親ゆずりの天才的な演技力を持って生まれながらも、容姿は母に似ず、顔の大きな傷にも強いコンプレックスを抱いていた。そんな彼女に、母は一本の口紅を遺した。その口紅は、キスした相手の顔を奪い取ることができる不思議な力があった。一方、美貌に恵まれながら、決して他人には言えない理由により花開かずにいる舞台女優・丹沢ニナ(土屋太鳳)は、女優として大成することに異常な執念を募らせていた。ある日、累は、透世に世話になっていたという男・羽生田(浅野忠信)を通じてニナと出会う。互いに自分に足りない部分を埋めるように導かれた二人は、口紅の力を借りて入れ替わることを決断する。ニナの美貌と累の演技力を兼ね備えた完璧な女優“丹沢ニナ”は一躍脚光を浴び始め、二人の欲求は満たされていく。しかし、二人が恋に落ちた演出家・烏合(横山裕)を巡り、秘密の共同作業に亀裂が生じる。

以上、キネマ旬報より引用

累(かさね)とニナの顔が目まぐるしく入れ替わるので、演じる2人の力が問われる映画。一人二役を2人で背負っている状態です。そんな難しい設定を、2人は演じきっています。

共演の芳根京子も素晴らしいですが、私は土屋太鳳の素晴らしさを推したい。

映画の最初のほうで、累(芳根)とニナ(土屋)の顔が入れ替わり、ニナの舞台の一場面を累が演じるシーンがあります。この時のニナ本人の芝居と、ニナの顔になった累の芝居を演じ分ける姿に、私はすっかり心を奪われてしまいました。物語が進むにつれ、目まぐるしく変わる累とニナのキャラクターを、見事に演じています。

累とニナ。どちらも土屋太鳳なのに、すっかり別人として存在している。陰はあるけど演技力抜群の累と、演技力は伸び悩んでいるけど容姿に恵まれたニナ。累の演技力とニナの美貌を兼ね備えたニナは、まるで実在する人物のようです。熱演というべきか、怪演というべきか。映画の後半は、物語に入り込んでしまいそうになりました。

これまでのはつらつとしたヒロイン役で不評だった女優と同一人物とは思えないほど、土屋太鳳は作品の中で輝いています。

これよこれ!
こんな土屋太鳳を見たかった!

芳根京子の演技力はもともと評価されていましたが、土屋太鳳も芳根京子に勝るとも劣らないと言っても過言ではない。むしろ、2人の演技合戦が相乗効果になり、作品がぐっと面白くなっています。
主演の2人に熱量のあるこの作品、1人でも多くの人に見てもらえたら幸いです。

もともと土屋太鳳には演技力があります。
仕事とプライベートで様々な経験を積みかさねて、今開花したという声も聞かれますが、少し違うと思います。
認められたのは、もともと持っていた演技力を生かす役にやっと出会えたから。批判にさらされても、腐らずに彼女が努力して来たからだと、私は考えます。

はっきり言って、彼女のプライベートや性格には、あまり興味がありません。ぶりっ子かどうかなんて、どうでもいい。
ただ彼女が、これからも俳優として活躍してくれれば、それで十分なのです。

思いが込み上げて、色々書いてしまいました。
土屋太鳳が評価されているのが、とにかくうれしくて。
話題の作品で力を発揮している姿を見たら、彼女が報われているような気がして、もっと応援したくなりました。

何はともあれ、今、多くの人に、俳優・土屋太鳳の力が伝わっていることを、素直に喜びたい。彼女の魅力を分かち合いたい。

これからの一層の活躍を、いちファンとして心より祈っています。

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