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【映画感想文】「踊る」成分は薄い。でも気になる! 『室井慎次 敗れざる者』

※この記事は、 #ネタバレ を含みます。

『室井慎次 敗れざる者』、見に行ってきました。

もう踊るシリーズの続編はないと思っていたので、公開を聞いたときは正直驚きました。あの踊るシリーズが見られるのは嬉しいけど、大好きだった世界観を維持できるのかという心配もあり、映画を見る前は複雑な気持ちでした。

作品を見て嬉しかったのは、シリーズの登場人物が12年間生き続けていたような描写が多かったところです。過去作の懐かしいシーンや登場人物が、ちょくちょく出てきます。
往年のファンには嬉しいポイントです。

しかし結論を言うと、「踊る」の印象は薄いです。
シリーズの成分は散りばめられている程度。
これまでの過去作とは、趣が違う気がします。
あくまで、室井慎次の物語です。

生まれ故郷の秋田とはいえ、慣れない子育て(しかも里子)と閉鎖的な地域での人間関係に翻弄されながらも、静かに暮らす室井。しかし、室井の自宅近くで腐敗死体が発見された事件をきっかけに、穏やかだった生活に不穏な空気が流れます。
これが大体のあらすじ。

ここからは、個人的に感じたことを書きます。

まず、閉鎖的な地元住民が不気味です。
人間関係に不器用な室井のことを、地元住民は疎ましく思っている様子。わざわざ家まで来て、じろじろと家の中を観察しながら、この地から離れるよう嫌味を言う。他にも、室井を邪険に扱う描写は、ところどころで描かれます。
今どきこんな閉鎖的な地域があるのか疑問ですが、妙にリアルでした。室井もうまくやればいいのにと思いつつも、こういう不器用なところが室井らしいとも感じます。

事件と時を同じくして室井たちの前に現れた少女・日向杏(母は猟奇的殺人犯・日向真奈美)も、何を考えているのかわからず怖い印象。室井と子どもたちとのつながりを引き裂こうとしたり、室井に隠れて猟銃の保管庫をあけるのに執着するなど、不穏な動きを見せます。目が笑ってるようで笑ってない。不気味です。
日向杏の目的が、気になります。

子どもたちの過去、事件の真相など気になるところは、今作では解決しません。唯一解決したのは、里子の一人であるタカの件だけ。
母親を殺した犯人と刑務所の面会室で対峙するタカが心の内を話すシーンは、今作の一番の見どころだと思います。「踊る」シリーズらしい、とてもいいシーンでした。

果たして次回作では「踊る」らしさを取り戻すのか。
それとも、今作のようにあくまで室井慎次の物語として進んでいくのか。
一般人となった室井が、事件にどう関わるのか。
里子たちと室井の関係は、どうなるか。

続きが気になるから、次回作も見ます。
次回作次第で、今作の評価が決まる。
そんな気がします。

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