【二人の嘘】悲しさの中に感じた温かさ
こんにちは!ひまわりです🌻
あと約1週間で10月も終わりですね。
家にいる時間が長いと、日にち感覚とか曜日感覚とかが失われがちになるので、時々こうして意識的に可視化するようにしています。
さて、今日は久しぶりに、読書感想をここに残しておこうと思います。
読み終わった日に、Twitterに読了ツイートはしたものの、読書ノートもまだ全然ちゃんと書けてません。
清書するまでには少し時間がかかりそうなので、サッと書いたメモを写すかたちで、先にこのnoteにアウトプットすることにしました!
今回読んだ本は、一雫ライオンさんの『二人の嘘』。
◇出版社:幻冬舎
◇読了日:2021.10.20(水)
「気を悪くしないでもらいたいのだが、君は勝ちつづけている。優秀な成績で東大法学部に入学し、想像もできない平均点数で卒業した。いまもその記録は破られていない。裁判官になってからも評価にたがわぬ活躍ぶりだ。が一方で―ささやかな機微とでもいうか、そのような点には疎くなってしまう傾向がある。(略)」(143p・長野判事が礼子にかけた言葉)
次のページにも「人が当たり前に持っていなくてはいけない、大切なものだよ。我々は本能を見失っている」っていう言葉が出てくるけど、人としての細やかな心みたいなものを大事にしていきたいと思った。
礼子の場合、業種・職種的に仕方ないなかもしれない。でも、あまりにもロボット感覚になっていると、大事なことを見落としてしまう危険性があるから気をつけよう。
じぶんのことは放置し、相手のことだけを考えているのだ。(197p・蛭間の言動を受けた礼子の頭の中)
私は、いつも自分のことを優先しがち…。
蛭間みたいに自分のことは置いておいて、真っ先に相手を想い、相手のことだけを考える…そんな優しさを身につけたいな。
そこまで想える人がいる蛭間が羨ましい。
「このままでいいじゃないですか」
「あなたのなかで、唯一醜い部分だから」(364p・礼子の親指を見つめながら言った蛭間の言葉)
礼子の弱さを包み込むような、蛭間の温かさ♡
弱さを持って生きてきた人は強い…。
だから、醜い部分も隠さなくていい。本当なら周りに見せたくない部分も丸ごと受けとめてくれる人は、必ずいる。
ないものはないのだ。求めても、望んでもしかたがない。だから嘘をついた。(370p・過去を振り返っている時の礼子の頭の中)
「ないものはないんだから、求めても望んでもしかたがない」っている考え方に、すごく共感する。ただ、私が違うのは「しかたがない…だから正直でいる」こと。
礼子は小さい頃の境遇とか、大人になってからの立場とか、いろんな面で嘘をつかなければ生きてこれなかった。たぶん、自分自身を守るために…。
「なんで人は、大事なことを話すとき、横にいるんでしょうか」
「―むきあってしまえば、目を見てしまう。目を見てしまえば、真実を語りたくなってしまう―」(417p・海を見つめながら礼子と蛭間が交わした言葉)
真実と向き合い続けながら生きるのは苦しい。
その真実が大事なことであれば、余計に苦しくなってしまうかもしれない。打ち明けられた相手にとっても…。
だから、きっと人は相手の目を見ずに「嘘」をつく。できるだけ苦しくならずに済むように。
どうしても嘘をつかなければいけない時は、せめて優しさのオブラートに包めるといいなぁ☆
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恋で終われば、
この悲劇は
起きなかった。
この帯文から、悲しい結末であることはわかっていた。
たしかに悲しい結末だった。
…でも、悲しさと同時に温かさも感じた。
最後に、お互いの想いが結ばれて、一緒に尊いひとときを過ごすことができた。
その想い出を胸に蛭間は自らの人生を閉じ、礼子は強く生きていく…!
そう思うと、礼子と蛭間にとっては、もしかしたらハッピーエンドだったのかもしれない。