連載『数学はなぜ嫌われるか』 2章「数学は役に立つのか」

さて。
数学をやりたくねえ(と、てめえでは思ってる)奴らの、昔ながらの最もメジャーな主張は、
「数学なんか勉強して将来何の役に立つんだ!?」
「数学は世の中のどんな役に立っているんだ!?」
っていうもんだ。
これはクソ大事な主張なので、この主張について詳しく見ていこう。
こうした主張にもさまざまな種類・段階があり、ひとつには、
「算数・算術は役に立つけど数学は役に立たねえ」
っていうもんがある。
即ち、
「日常に必要な、足す・引く・かけるなどのそろばん勘定さえできりゃ、生きていくのに困らねえ」
っていうわけだ。
昔から読み・書き・そろばんって言うように、国語では読みと書き、算数では四則演算さえ教わりゃいい、って意見だ。
すんどめはこれを、読み・書き・そろばんの重要性を主張する、クソ貴重な意見だと思っている。
っていうのも、仮に数学をやるにせよ、まさにこのそろばん勘定が基本の基本、土台の土台となって来ざるを得ねえからだ。
ここで言うそろばん勘定にゃ、カネの高や品もんの個数、集団の人数といった数を、足したり引いたりかけたりすることが想定されている。
だから日常に必要だ、っていうわけだ。
こうしたカネの高や品もんの個数、集団の人数に使われる数は、ご存知のように、

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, ……

みてえな数だ。
こういう数は、小学校1年生の算数で、最初に数を習うときに習う数だ。
小学校1年生の算数では、ショッパナは0(ゼロ)を習わねえんだ。
最初は1とか2とかを習って、しばらく経ってから0の登場だ。
このことは、死ぬほど重要なんだ。
だってこの、

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, ……

みてえな数は、人類が歴史上、ショッパナに使い始めた数だからだ!!
想像してみろ。

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