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ヒカリ

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光と影
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#短編小説

頬の上に雨粒プリズム

頬の上に雨粒プリズム

私は知っている。
あなたの頬の上には
雨粒プリズムがあることを。

だけど、ときおり
あなたに孤独がとても強く
色濃く見えることがある。

それは
大雨の中、傘もささずに
ただひたすらに涙を流して

雨粒が体にじわじわ染み込み
心までも冷たく
感情がどんどんなくなっていく
底の見えぬブラックホールを
心に浮かべているような

なす術もなく
時間が過ぎるのを
ただぼうっと見つめる
無気力の感情が光の

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金平糖のような星を一粒

金平糖のような星を一粒

これは誰かが忘れた純粋な陽の光。
少しの振動や風に当たると消えてしまいそう。

この小さくて無垢な希望の光を
絶やすことのないように
陽の光の番人は大切に守り続けた。

もうすでに旅立った大人は
この光を見るたび懐かしさと切なさで涙を流す。

番人はただ何も話さず見守っている。

丘の上から砂嵐がやってきて
光の前で静かに止まった。

砂嵐の中に人影が浮かぶ。
じっと目を凝らして見てみると
一つの

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