金平糖のような星を一粒
これは誰かが忘れた純粋な陽の光。
少しの振動や風に当たると消えてしまいそう。
この小さくて無垢な希望の光を
絶やすことのないように
陽の光の番人は大切に守り続けた。
もうすでに旅立った大人は
この光を見るたび懐かしさと切なさで涙を流す。
番人はただ何も話さず見守っている。
丘の上から砂嵐がやってきて
光の前で静かに止まった。
砂嵐の中に人影が浮かぶ。
じっと目を凝らして見てみると
一つの顔が光を見つめていた。
重たい瞼の中に、水分もない枯れた瞳があった。
しかし、その目は泣いていた。
「もう私はこの時には戻れない。
同じような感情を抱くこともできず
ただ現状に不満と諦めを心に抱え
時間が過ぎる恐怖と隣り合わせで毎日をおくる。
もう何もかも嫌になったら考えず
目の前のことだけを楽しむのさ。
さもなければ、心の空虚に
どれだけたくさんの浅い感動を
埋めなければいけないんだろう。」
陽の光の番人は、光が消えないか心配で
砂嵐が近づくのを止めようとした。
すると、陽の光から金平糖のような
小星が一つ、また一つと溢れ出す。
今までこんな出来事がなかったので
びっくりして砂嵐に近づき見せようとした。
砂嵐の中から差し出す手に金平糖を一粒渡すと
金平糖に触れた砂は砂金に変わっていく。
その人は何かを思い出したかのように
金平糖をじっと見つめる。
光を受け取り、輝き出すその姿に番人は見惚れた。
太陽の光を受けて輝く月のようだった。
それはまるで、おとぎ話の魔法にかかったような
とても不思議な体験。
陽の光の番人は、とても大切な
仕事をしたような気分になった。
≪忘れ物はこちらですか≫