頬の上に雨粒プリズム
私は知っている。
あなたの頬の上には
雨粒プリズムがあることを。
だけど、ときおり
あなたに孤独がとても強く
色濃く見えることがある。
それは
大雨の中、傘もささずに
ただひたすらに涙を流して
雨粒が体にじわじわ染み込み
心までも冷たく
感情がどんどんなくなっていく
底の見えぬブラックホールを
心に浮かべているような
なす術もなく
時間が過ぎるのを
ただぼうっと見つめる
無気力の感情が光の速さで
鼻からスッと入り込み
心がグッと締め付けられている。
こんなにもあなたの孤独を感じるのに
決して同じ場所にいることができない。
共有の仲になることができず
ただただ、わたしは切なさを味わう。
「きっと気づかないだろう」
と思いながらも
近づいて傘をさすと
あなたの目に意識が戻り、私を見た。
あなたの世界に私が登場した瞬間だった。
たったそれだけで私は幸せに満ち溢れる。
胸の内から暖かい風が沸き起こり
目頭がぼわっと熱くなる。
どうにか体を動かして
内側に籠る熱を外に出したい。
全ての感情は柔らかく居心地がいい。
チラッとあなたを見てみると
たくさんの雨粒に
ほんの少しの光で色が生まれ
頬の上に虹が浮かんでいるようだった。
≪色が見えた≫