山はおそろしい【詩】
山はおそろしい
遠くから眺めるその姿は
四季をうつし雄大な親心で
わたしを見下ろす
だけれども
近づいてみるとそのきっぱりとした稜線は
空を分かち
濃い緑の守人たちが一斉に
威嚇のような声を上げる
わからないことはおそろしい
早く答えをだせと頭の中の声がする
答えがないこともあるのだよ
何度言い聞かせても
わがままに答えをせがむ
形がないものがおそろしい
視覚ではとらえられないもの
有象無象がよってたかって
のぞきこむ
見えないものこそ本質だと
わかっているからおそろしい
わからないはわからないまま
わたしは山と対峙する
赤子のようにふるえながら丸腰で
純真だけをたよりに
わたしは山と対峙する
それしか持ち合わせていないのだから
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