ファンタジーアースゼロの日々 ルーレット編
今から20年近く昔、ネットを通じて50人vs50人の陣取り合戦を遊ぶことのできる三人称視点のアクションゲームがあった。それがファンタジーアースゼロだ。これは、そんなファンタジーアースゼロの世界で青春を過ごすたスナガガの思い出話である。
カジノにかける男達
ある時大型のアップデートとともファンタジーアースゼロの世界に「カジノ」が誕生した。今まで最強クラスの装備を手に入れるには、課金して装備を買うか、国家を勝利に導くことでオープンするオフィシャルショップで購入するか、レベル最大のキャラクターのみが装備できるドロップ品を集めるしかなかった。そこにカジノのルーレットで当てるという方法が追加されたのだ。
ルーレットで手に入る装備はわりと低いレベルからでも装備することができ、耐久値や修正値は課金アイテムと遜色がなかった。さらにルーレットは無課金で手に入る通貨でも回すことができたのだ。そうなれば金のない高校生だったスナガガはもうルーレットにかけるしかなかった。ためにためたゲーム内通貨を消費するスナガガ。運の良いのか、悪いのか、お目当ての防具を手に入れることができた。しかしすっかりとその魅力に取り憑かれてしまったスナガガは、他のジョブの装備も集めようとどんどんルーレットにハマっていくのであった。
アカギ現る
ルーレットにハマり、ゲーム内通貨がほとんどそこを尽きた時、とんでもない遊び方をしているギルドメンバーの存在を知る。その人はカジノに併設されているハイアンドローというゲームで、ルーレット用のコインを荒稼ぎしていたのだ。
ハイアンドローのルールは至ってシンプル。場に出てる数字に対して、次に表示される数字が高いか低いか当てるだけ、連続で当てれば当てるほど景品が良くなり、ドロップすると景品がもらえるし、外れると景品は没収というゲームだ。
しかしこのハイアンドロー、後半に行けば行くほど確立道理ではない動きをしだす。スナガガも真似してやってみたけど、全然うまくいかなかった。脱衣麻雀ゲームよろしくの確率操作が行われていると噂されるほどだ。
それでも期待値の上を行くギルドメンバー曰く、そろそろ来そうだというタイミングでの90代は敢えて逆張りをしろ、10連続したあたりからは、ハイアンドローではなく、「表、裏、ドロップ」を当てるコインゲームだと思えというのだ。そんな凡人には理解できない迷言を残していたギルドメンバーだが、このハイアンドローのアルゴリズムの裏を掻くことに関しては天才だったのかもしれない。
とはいえ一通り遊べる装備が揃っていてしまえば、そんなにルーレットを回す必要もなくなり、いつもの戦争三昧の日々を過ごしていくことになるのだが、今でも他のゲームでハイアンドローが登場したり、カジノの話でハイアンドローという言葉が出てくると彼のアバターが頭を過ぎる。今もどこかでギャンブルに興じているのだろうか、名前も知らないギャンブラーに思いを馳せるスナガガでした。