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ファンタジーアースゼロの日々 一撃キマイラ編

   今から20年近く昔、ネットを通じて50人vs50人の陣取り合戦を遊ぶことのできる三人称視点のアクションゲームがあった。それがファンタジーアースゼロだ。これは、そんなファンタジーアースゼロの世界で青春を過ごすたスナガガの思い出話である。

一発逆転のキマイラ

  ファンタジーアースゼロのゲームのルール上、大差のついた状態からの大逆転というのは結構難しい。確保している陣地の広さに応じて、じわじわと敵本陣にダメージが入るというルールになっており、敵本拠地を直接攻撃したりしても対したダメージにはならない。なので決死の特攻で本拠地に集団で攻め入ることに成功したとしても、とりわけ有利になるわけでもなく、むしろ手薄になった他のエリアの陣地を確保されますます不利になってしまうのだ。
  そんな中唯一本拠地に、一発で33%のダメージを与えることのできる召喚獣がいた。それがキマイラだ。事前にキマイラに変身できるアイテムと戦争中に採掘できるクリスタルという資源を使い、1戦中に各陣営2回だけ召喚することができる特殊な召喚獣で、基本的に戦闘力は高く、キマイラ1体いれば周りの味方とともに軽々と前線を押し上げられる。


    そして前述の通り、敵本拠地に接近した状態で『ファイナルバースト』というスキルを使用することで、命と引き換えに敵本拠地のHPのおよそ三割を削り取ることができ、一発逆転の要素をFEZに盛り込んだ面白い召喚獣だった 。

キマイラと共にあらん事を…

   キマイラの運用方法は戦況に応じてさまざまな方針があったが、そのどれもがパーティやギルドの枠を超え、ソロプレイヤーまでをも巻き込み一致団結をする必要があるものだった。スナガガの決めた数少ない『ファイナルバースト』も前線で戦っていていた歩兵全員を集合させ一点突破の布陣で、他のエリアの確保をかなぐり捨てた方法で決めた記憶がある。それには全員の意思統一が重要で、プレイヤースキル以上に一致団結が欠かせないものだった。
   その他にも『ファイナルバースト』にかけるよりも、現状の戦場を少しでも押し上げて接戦を制しようという作戦や、なるべく敵の目がないところ縫って敵陣まで辿り着こうという戦法などあったが、どれも仲間との連携や報連相が重要で、それ無しにはなかなか逆転というのが難しかった。
  そのため『ファイナルバースト』が決まったときの喜びは50人全員に共有され、その一体感は今のヒーローシューター系のゲームでは味わえないパーティやギルドの枠組みを超えた一期一会の喜びであった。

他ゲームとコラボするほど人気だった!?

悩みのタネでもあるキマイラ

  そんな大きな喜びをもたらす反面、悩みのタネでもあった。一戦中最大で2回しか召喚できないキマイラは運用方法でしばしば意見の分かれることがある。例えばどうせ負けてるんだからダメ元で『ファイナルバースト』を狙いにいこうと言う派閥と、少しでも善戦するために歩兵に随伴させて運用したいという派閥だ。そんな議論を戦闘しながらチャット欄でしていたのだから、とても器用だ。しばしば意見がまとまらず、機会を失ってキマイラを召喚せずに終わるなんてこともたびたびあったと思う。
   ともあれみんながそれだけ本気で議論しているのだから本当に面白いゲームだったのだなぁと記憶を辿るごとに実感できる。しかしあまりのヒートアップしすぎて某掲示板に晒し合うということは大人げないのでやめようねとも思った高校時代のスナガガでした。


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