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写真を加工しないという選択と美学

無加工を楽しむ人々のお話
この数年のトレンドに、スマホやオールドコンデジで撮って無加工(か、すごく暗く加工して)でSNSに載せる人が多いのはご存知でしょうか。主に若い世代でファッションやカフェ、暮らしなど、自分自身や身の回りを見せるために載せているアカウントが多い印象です。
例えばこういうの↓

日本の方でもインスタで特によく見かけますが、それらが私は、結構好きです。写真というかマインドが。

彼ら彼女らは加工の仕方がわからないから無加工で投稿しているわけじゃないんですよね。あえて、これが最良だと選択しているわけです。
そして加工だけでなく、きっと一眼レフなどで綺麗に撮るのではダサいとまで思ってるんじゃないかなって勝手に想像しています。

発症はわかりませんが、おしゃれな方々が広めたであろうこのスマホ無加工ブームは、一眼レフで撮る方が当然綺麗で美しいと思うこと自体、私を含む古典的な「THE・写真を趣味や仕事にしている人たち」の驕りであることを突きつけられているようでハッとします。

こちらはスマホで撮った写真をどれだけスマホっぽさをなくせるかに注力しているというのに…まさに真逆の価値観です。

韓国アイドルのイメージもスマホ無加工。
韓国はプチプラなアパレル通販のイメージ写真ですらスマホ無加工っぽい自撮りが中心だったりと、いち早く企業がトレンドを取り入れてる印象があります。
(人物の顔や体型の補正はまた別の話になるので、
今回は触れません…いや今後も触れないけど…)


以前オールドコンデジが流行ってると聞いて、コンデジで撮ってアプリでレトロに加工するのを楽しんでると思い込んでたんです。
でも、20歳前後のスマホしか知らない世代は、オールドコンデジの画質自体が見慣れないから無加工が新鮮でかわいく見えるんですね…あれには驚きでした。

無補正のCANON IXY10。
結構普通だけどかわいいのでしょうか…?



私のかわいいは彼女にとっての変だった

学生の頃、思ったことをなんでも口に出す友人に明るいトーンの写真を見せたら

「なにこれ、うす!」

と言われたことがあります。私の中では当時明るい写真=かわいい写真という方程式があったので、その言葉には鈍器で殴られたような衝撃があり、そうか、写真を趣味にしなかったり、意識して見たりしない人にとってはただの薄くて見辛い写真なのかと、妙に関心してしまいずっと覚えています。

ハーフカメラで明るい写真を撮るのにはまっていました。

自分たちがより良いと思っていたり、美しいと思っている価値観が、時には理解されないどころか変だな、ダサいなって思われてる可能性も十分にあること。
それらを忘れずにいたいです。


写真のジャンルは既にたくさんあるのかも
最初に紹介したような写真はスマホでぱっと撮って投稿するだけで楽そう、と一見思うけど、ある程度色んな人の写真を見て参考にして、暗めでも素敵に写る時間や場所を選んで、おしゃれな構図でセンス良く撮影しないと成り立たない世界観なんですよね。
試しにデスクの上にあったものでトップ画像撮ってみましたけど、綺麗すぎてもだめだし雑然とするのもだめだし…って混乱した結果超絶いまいちな写真にしか仕上がりませんでした…難しい。

今日はひとりご飯だったので夜も撮ってみた。
いまいちすぎでは…?ただ撮るって難しい。
右上の花瓶は心の消しゴムで消してください…
あとお皿欠けてるのはこういうアンティーク品です…

写真にはジャンルがないなあって以前のnoteに書きましたが、実は明確な名前がないだけでもうジャンルはいくつもあるのかもしれない。
写真を趣味や仕事にしている人以外でも、写真を撮ることに夢中になっている人はたくさんいることをすっかり忘れていました。国民総カメラマン時代だというのに。


誰もがスマホを持ち写真を撮る時代ではあるけれど、その価値観は様々。
きっとこれからもパッと見では理解できないようなトレンドがたくさん生まれていくのでしょう。
それらを拒絶するのは簡単だけど、掘り下げてみるときっとその人たちなりの美学があるはずなので、自分の価値観を正解だとは思わず、柔軟に興味を持って歩み寄れる人でい続けたいものです。


普段はXにスマホ無加工写真とは縁のない補正だらけの写真を投稿しています。


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