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ウエルカムいなり寿司
今日は温泉旅行にやってきた。遠出はせず県内の温泉地を選んだが、今回は特別な宿に泊まることにした。何より部屋に露天風呂がついているのが嬉しい。部屋の露天風呂は源泉ではないものの、大浴場やその他の露天風呂は源泉で、疲れを取るには最適だ。
この宿には、貸し切り露天風呂が2つ、男女別の露天風呂、足湯、大浴場、さらに我々の部屋には露天風呂が付いている。温泉宿という名にふさわしいラインナップだ。
少し早めに宿に着き、チェックインのために受付に行くと、近くのソファで待つように指示された。数分後、氷とグラスのぶつかる涼やかな音とともに麦茶が運ばれてきた。ここでチェックインや説明を済ませるようだ。ソファでくつろぎながら宿泊者情報を記入し、宿の説明や注意事項の確認が始まった。
注意事項の紙を見ていると、気になる文言が目に入った。「いなり寿司を食べない場合は冷蔵庫に入れて下さい。」目を疑った。部屋にいなり寿司があることが当然のように書かれている。いなり寿司?部屋に?なぜ?不思議に思い、宿のスタッフが席を外したとき、彼女に聞いてみたが、彼女もわからないという。どうやらこの旅館の特別な文化のようだ。
その後、チェックインが終わり、スタッフさんが施設の説明と部屋までの案内をしてくれた。広い施設だが、必要な場所への導線は短く簡単で、すぐに覚えられた。部屋に着くと、思っていた以上に広く、畳の和室には広いスペースとソファがあり、窓からは絶景のオーシャンビューが楽しめた。さらに、露天風呂からもオーシャンビューを満喫できる。この部屋の広さ、綺麗さ、眺めに感動していると、スタッフさんが部屋の説明をしてくれた。露天風呂の注意事項や貴重品の扱いについて話していたが、私は心の中でいなり寿司を探していた。
いなり寿司があるとしたら、机の上か冷蔵庫だ。机の上には黒い箱があり、隣にはお菓子が置いてあったので、もしかするとお茶の類かと推理する。すると、その思考を察したかのように、スタッフさんが箱のふたを開けた。中にはいなり寿司が2貫入っていた。本当にいなり寿司があったのだ。面食らっていると、スタッフさんが説明を始めた。
今回の宿泊は愛知県蒲郡市の西浦温泉にした。蒲郡市の隣には豊川市があり、豊川稲荷が有名だ。そこで、この宿では地域の名物料理のいなり寿司をウェルカムサービスとして提供しているらしい。
納得がいった。意識していなかったが、確かに豊川が近い。豊川稲荷を意識して、いなり寿司が出てくるのは納得できる。説明を終えたスタッフさんが退室すると、彼女とともにいなり寿司をいただいた。油揚げにはよく味がしみ込んでおり、旅の始まりに感じた謎に対する答えとして、ぴったりな甘じょっぱさとやさしい味わいだった。
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旅はまだ序盤だが、長くなるので今回はこの辺で終わります。