世界はこんなに美しい
いまの自分のこんな考え方に変わったターニングポイントが、比較的自覚的に、あります。
それは、
映画『空気人形』を観た時
です。
この映画は、空気人形、いわゆるダッチワイフの主人公(ペ・デュナ)が、ひょんなことから心を持ち、世の中を純粋な目線から知っていき、水滴や花など他愛もないものの美しさを知りながら、人の心育んでいきます。しかし、育んでいった先で、より深い人の心の美しさだけでなく汚らしさも知っていく。というような内容です。
身体は大人の女性で、心は純真無垢な空気人形を通して描かれる日常の世界が、本当に美しく描かれていて、ともすれば素通りしてしまうような存在たちに、ひとつひとつ感動していく姿が、とても愛らしい。
この映画を通して、空気人形の目線を通して、見た日常の美しさに、本当にハッとさせられ、
その時から、自分の世の中への意識がガラっと変わりました。
通り過ぎていったもののなかに、見落とした美しいものがたくさんいたのではないか。
ドラマやマンガ、アニメやゲームなどの誰かのフィルターを通さないものだってそれ以上に素敵なのではないか。
と。
もちろん、誰かがクリエイトしたものの良さや美しさはあるんだけど、自分がこれからなにかを作りたい、と思ったときに、その誰かの目線が、実は邪魔になるときがあります。
そして、それ以上に、
一度世の中の美しさや面白さに気づいたら、それらを見つけていくことが楽しくてしょうがないし、どんどん日常が特別になっていく感覚を得ることができました。
この映画から得た感覚に近いな、と思ったのは、カメラを始めたときです。
ぼくはfujifilmのxpro2という、fujifilmの当時のフラグシップモデルでカメラをはじめました。
ちょっと高かったですが、結果的にはこれがよかった。
本当になんでもない写真が魅力を持って映し出されていました。
初期に撮った街角スナップ。
たぶん、具体的には、光や奥行き感、物と物の重なり、色の濃淡など、世界の要素により意識が向くようになったのだと思います。
カメラをはじめたことで、より体感的に、意識的に
世界はこんなに美しい
と思えるようになりました。
くさい言葉ですが、日常をより特別に感じられる意識。
広まって欲しい意識です。