米澤泉著「おしゃれ嫌い 〜私たちがユニクロを選ぶ本当の理由」を読んで思うこと
おしゃれ嫌い 〜私たちがユニクロを選ぶ本当の理由 / 著: 米澤泉
バブル期の頃、会社には制服がありまして。
一般職も総合職も、女性は皆お揃いの制服着ていました。
まぁ、総合職の一部の女性は、制服着たくない！と上司に訴えて、制服着なくても良いよと言われている人もいましたが。
会社で制服だと、遊び着にとことんお金かけられるんですよね(笑
本当に、あの時代、家着はスウェット又は寝巻き、外出着はJUNKO SHIMADA等のブランド服でした。(私だけかもしれないけど…)
通勤着は何着ていたの？と言われると、どーせ制服に着替えるからと、チノパンにシャツとか、ボーダーTeeとか、そんな適当な格好だった気が。
年配の方々は、冬はコートの下に制服着て、通勤していたし(笑
週末だけは気合い入れて、ボディコン服着て、ハイヒール履いて、退社後遊びに行っていました。
週末、遊びに行く時のお洒落が、とても楽しかったですね。
そんなバブル期にとっかえひっかえ違う服を着て、毎週末服を買いに行っていた私からしたら、今の時代、なんでこんなお洒落する事を楽しまないんだろ、UNIQLOばかり着ていてつまんなくないのかと疑問でしたが、この本読んで腑に落ちました。
私達のライフスタイルが変化しだしたのは、東日本大震災からだと思うんですよね。
この本で語られている通り、ファッション雑誌が「私達は何故おしゃれをするんだろう？」と言い出し、ファッションに関する記事より、暮らしに関する記事が多くなってきたのは、あきらかに東日本大震災以降。
あの震災以降、どこもかしこも暮らしを見つめ直す特集が雑誌で組まれ、ミニマリストが持て囃されるようになったのもそうでした。
そして、やたら筋トレやオーガニック等のヘルシー志向が異常に高まりをみせたのもこの頃だった気が。
「ヘルシーこそ最強のトレンド」とVOGUEが言ったように、スポーツをする事や筋トレ、オーガニック食品にコスメにと、ヘルシーである事は正しい！善だ！と強要される時代に今の私達は生きている。
それに伴い、お洒落が綺麗でステキなトレンドファッションを着るという事から、生活をお洒落に楽しむデイリーファッションに変化したんですよね。
今やスポーツウェアは、そのまま着て街中に行っても良いくらい、お洒落。
お洒落は、週一や月一にある非日常の為にするのでなく、もう日常そのものをお洒落にする。
服は週末の夜に遊びに行く為の服やデート服ではなく、部屋着の延長レベルでシンプルで着心地の良い、見た目の良い部屋着の延長線上にあるものに。
生活を楽しむのにCHANELは要らない。UNIQLOがあれば充分なんですよね。
そりゃ百貨店で売られている、一流メゾンのこれクリーニング出せるの？みたいな素材の服や、青山や六本木辺りのセレクトショップで売られている、どうして良いのか判らないデザインの服は、非日常を楽しむ為の服であって、日常生活を楽しむ為の服では無いので、要らないってなりますよね…
買い手が求めているのは着心地良く、シンプルで、お手入れの簡単な、お洒落なライフスタイルに合う服な訳なんですから。
そして、お洒落なライフスタイルと今ワンセットになっているのは、丁寧な暮らし。
この言葉、違和感しかなかったんですよね…
バブルの頃だって、その前の時代だって、人は丁寧に暮らしてきたと思うけど、何故急にこんな丁寧な暮らしって言い始めたのか。
綺麗に片付けられたシンプルで無機質な部屋、
そこに花を飾るとか、朝ご飯はちゃんと食べるとか、筋トレを毎日するとかが、丁寧な暮らしとは言わないと思うんですけどね。
ライフスタイル全般にも、意識高い系が入り込んでくるとは(笑
でも、意識高い部屋に住んでいても、家族との関係疎かにして、毎日喧嘩の連続だったら、丁寧な暮らしとは言わないですしね…
いやー、ファッションって侮れないと思いました。
着ている服で、こんなにもライフスタイルを支配されるとは。
UNIQLOの意識高い系のお洒落なライフスタイル戦略に、まんまと日本全国してやられたな感が私は強いですね。
意識高い系の生活を横並びで実践している、日本。
ぶっちゃけ、薄気味悪いです。
皆、シンプルで無機質な家に住み、筋トレして、UNIQLOのシンプルな服着て。
「目に見えない意識の高さを競い合う」ってあったけど、確かにそう。
でも、やってる事は周りと一緒という。
確かに、お洒落でお手頃の日常着ってUNIQLOが人気出る前って無かったので、中々うまいとこついた戦略だなとは思います。
自分達は、ラグジュアリーな非日常服は作れないし、じゃ何が作れるかと思ったら、お洒落な日常着という事だったのでしょう。
それだけだと売るのにコンセプトとしては弱いから、そこに丁寧に暮らすライフスタイルを持ってきた。
これが大ヒットして、UNIQLOは今や国民服に。
まぁ、そういう時代になったんだなと思いつつ、私はこれからも好きな服や靴を愛でつつ、自分なりにお洒落楽しみ、お洒落をしながら、これからよ日本のお洒落を静観していこうかなと思います。
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