記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

ytv未成年感想⑦ 8話考察・感想

※注意
ytv未成年1話〜10話&アフターストーリー時点までのネタバレと、勝手な個人解釈を含みます。(原作未読)

前回↓



<8話あらすじ>

蛭川(上村謙信)の父・正彦(オクイシュージ)が亡くなって以来、蛭川は学校に来ない日々が続き、水無瀬(本島純政)は学校の成績も伸び悩んでいた。
そんな中、花火大会の夜に1人で家に帰ろうとした水無瀬の前に現れた蛭川は、自身が転校することになったこと、自分の力で生きていくために水無瀬にもう連絡はしないことを一方的に伝え、水無瀬の前から姿を消してしまう。

そこから月日が経ち、高校卒業を迎えた水無瀬は、かつて蛭川が住んでいた家をふと訪れる。
誰もいなくなった家に残されていた『水の音』のDVDを手に取り、蛭川と一緒に観た思い出を浮かべながら開けると、そこには「水無瀬へ」と書かれた1通の手紙が入っていた―――。

出典:ytv未成年公式HP


〜8話感想〜

 どん底展開に落とし込まれた7話から、浮上することなくそのまま高校編が終わる第8話。
手紙で泣かせてやるからと豪語していた蛭川に、まんまと泣かされる回。

・蛭川との別れ

蛭川(上村謙信)の父・正彦(オクイシュージ)が亡くなって以来、蛭川は学校に来ない日々が続き、水無瀬(本島純政)は学校の成績も伸び悩んでいた。
そんな中、花火大会の夜に1人で家に帰ろうとした水無瀬の前に現れた蛭川は、自身が転校することになったこと、自分の力で生きていくために水無瀬にもう連絡はしないことを一方的に伝え、水無瀬の前から姿を消してしまう。

※あらすじより引用


 今回も小説未成年のモノローグから始まる。もうすでに大学生なのかな? 水無瀬を見分けるには、前髪の微妙な変化で見分けなきゃいけない分難しい。

 さりげなく、蛭川と真島がいたはずの画角から映像取られるのずるいな〜。誰もいない窓際2席。自分のテストの点よりも、その席を気にする水無瀬。あと、夏休みはもう帰ってこない宣言する母親すごいな。ハイパーネグレクター。(自覚なし)

 2人で半分こするアイスを3人で歩いている時に購入するのってどんな!? ってびっくりしてしまったのは私だけだろうか。そんな些細なことからも、蛭川のことを思い出す水無瀬。勉強には全く身が入らず、来もしない連絡を永遠に待ち続けてしまう。
 蛭川が夏休み丸々姿を消していたのは、手続きが多かったからなのかな? 親の葬儀に、役所での手続き諸々に、高校の転入までとなるとなかなかの量。というか、高校の転入ってどうなんだろうな。義務教育じゃない分、手間が多そう。(ちょっと調べただけでも転入にも試験があるみたい。ブランクが多い分、時間かかっただろうな)


 すっきりしたような顔で水無瀬と再会する蛭川。楽しい建前を言って軽口を叩いて終わらせようとしていたつもりが、つい本音を言ってしまう。ここで蛭川の顔を隠すように背後から入る太陽光。水無瀬はこの時、蛭川に精神的に突き放される衝撃で、蛭川の顔が思い出せなかったんじゃないかと思う。

 やっぱり母親とは暮らさない(暮らせない)蛭川。
「お前と一緒に卒業したい」と言っていたはずの公園で、水無瀬を引き離す蛭川。2人を繋いでいた滑り台が、このシーンでは蛭川と水無瀬を分断するために使われるのがズルすぎる。
 俺のせいで水無瀬を振り回している。というのは蛭川の本心で、だからこその7話での突き放しなんだろうと思うけれども。それでも「良い大学に入って、良い企業に就職してさ、水無瀬仁の夢でしょ」と、突き放す手段に水無瀬自身を使うのは狡すぎるよ蛭川……。

「ちゃんとした、まともな大人になりたい」
 ytv未成年において、不条理として描かれている"大人"。それにも関わらず、蛭川が大人に対して希望を見出しているのは、父親の死や母親と離れて暮らす事により「親という呪縛からの解放(=自立)」を、水無瀬よりも先に得てたからなんだなと思う。
 対して、いまだ親をはじめとする大人の不条理さに縛られたままの水無瀬は、その大人に対して絶望を抱いたまま。だから冷めたように「大人……」と、つぶやく。

「だからもう連絡しない」
 ええ……連絡しなよ……。テスト期間にスマホ断ちする中学生感覚で、人との縁を切ろとするのはやめなさいよ……。

 学生時代の友達なんて、一度連絡取らなくなったら二度と取れないと思った方がいい。生活環境やら、価値観なんてものは社会に出るとあっという間に変わっちゃうもんだぞ……でも、そんな感想を抱くのは、大人の感覚なんだろうな……。とも思う。

 というのも、蛭川もまだなんだかんだ子供。社会に出たことがない分、手段を知らないために視野も狭い。そんな蛭川が、
・側にいれば水無瀬を傷つけてしまうかも……
・「まともじゃない自分」は水無瀬の隣にいるべきじゃない……
・現に今、水無瀬を振り回し、水無瀬の生活をめちゃくちゃにしてしまっている……
→じゃあ消えなきゃ。
って短絡的な思考に陥るのも、仕方ないのかもなと思う。(本当、未成年ってタイトルが光る)
 ずっと居場所がなくなることを怖がっていたのに、自分が一番嫌なはずの手段でケジメをつけているわけである。ケジメなさいあなたと言えども……。もっとこう、さあ……。
 母親のこと守るためにDV受け続けたり、あるかもわからない自分からの暴力から水無瀬を守るため存在そのものを消したり、本当に自尊心どうなってるんだ君……。

 でも、自尊心低い人って一周回ってめちゃくちゃ自己勝手なところあったりするんだよな〜……。卑下するあまり、周りが見えてないっていう。蛭川に言ってるんですけど。

 そんで、周りが見えてないが故に。
「ありがとう。俺と友達になってくれて」
とか言っちゃう。
 今までの全ての感情や好意は"友達"でした。と関係性の定義を、友達に押し戻して留めてしまう蛭川。(最初から最後まで友達じゃなくて好きな子に対するムーブだっただろうがい)
 水無瀬側からの好意は見えてないね君。自尊心が低すぎるが故に、俺と正反対で、賢くていい男な水無瀬が俺のことなんか好きになるわけがないとか思ってるやろ。(あと、水無瀬がセクシュアリティに悩む姿を見ていることも原因するのかな、とかも思った)

 自分の気持ちを伝えかけた水無瀬、2人を引き裂くのは花火。Twitterでひるみなのイメソンは大塚愛のプラネタリウムだとツイートしている人がいた。天才かと思った。プラネタリウムを聞け蛭川。

……じゃなきゃ、別の人の彼女になったよを永遠に聞かせ続けるぞ。

(全然関係ないけど、蛭川は映画見てても水無瀬より泣いてそう)

・蛭川からの手紙

そこから月日が経ち、高校卒業を迎えた水無瀬は、かつて蛭川が住んでいた家をふと訪れる。誰もいなくなった家に残されていた『水の音』のDVDを手に取り、蛭川と一緒に観た思い出を浮かべながら開けると、そこには「水無瀬へ」と書かれた1通の手紙が入っていた―――。

※あらすじから引用

 あっという間に卒業式が訪れ、蛭川との出会いの場所で水道に手をかざす水無瀬。もういくら蛭川と同じ行為をしようとも、蛭川の気持ちを読み取ることはできない。(これはマントルピースの前で、はらはらと涙を流すティモシー・シャラメを思い出した)

 留年確定した根本(のちに無自覚ハイパーキューピットになる最高ボーイ)。「みんな揃って卒業できてよかったじゃん」という発言に、目を泳がせる本島純政。売り物件となっている蛭川家に足を運んでしまう。

 そして、水の音を見つける水無瀬。本島純政による手紙の読み上げから、上村謙信に繋がる。読み上げの切り替えが"蛭川が水無瀬に言いたいこと"からなところに光る演出を感じる。
「本当は転校したくない、これは俺のわがままだから」
またも本音を飲み込んでしまった蛭川くん。そしてついぞ「好きだった」とは言わない。8話演出のテクニックが本当にいやらしい。すごい監督だあと思う。
 実際、この好きだったよって言葉、水無瀬は蛭川の口から聞いたことがない言葉なんだもんな。自分の脳内で再生させようとも、蛭川が一体どんな声色でこの言葉を伝えてくれるのか、水無瀬は知らないわけだ。
 水の音のDVDに水無瀬への手紙を挟んだの、まさに自分の心の葛藤を、「水の音(=蛭川にとって、全てを肯定してくれる映画)」に肯定してもらいたかったからなんだろうな。水無瀬がそばにいない状態の蛭川って、水の音を通してじゃないと自己肯定できないのか。難儀な人だ。
 本当は蛭川、生家の事も大切に思ってたんだろうなって思う。もちろん苦い思い出はあっただろうけど、母親との記憶が残るあの家の中の、好きな人と好きな映画を観たあの部屋に、何よりも大事なDVDを置いてきたんだもんな。加えてその中に、本当に一番大切な自分の本音を置いてくるっていう。

 今度こそ俺がお前を守ってやりたい。ごめんね、好きだよ。現在形の告白をする水無瀬。


 時はさらに進んで2024年。水無瀬も大学生に。蛭川が吸っていたタバコを吸う水無瀬。失った片割れを埋められるのは失った片割れのものしかないもんな。
待って本島純政、そのスマホケースの閉じ方は手癖か? バタバタバタンッてなってるじゃん。

 出さない手紙(小説未成年)をおそらく4年〜5年書き続けている水無瀬。愛のしたため方が雅すぎる。もはや平安。

 無自覚ハッピーキューピットボーイ根本ジョージにより、思わぬ再会のチャンスが。
「君の海と僕の海はきっとどこかで繋がっている。今もそう、信じている」
メタファーは海と魚。希望が見え隠れするラストシーンからの、絶望の次回予告。
いい加減幸せになってくれひるみな〜。


→next


いいなと思ったら応援しよう!