ytv未成年感想④ 5話感想
※注意
ytv未成年1話〜10話&アフターストーリー時点までのネタバレと、勝手な個人解釈を含みます。(原作未読)
前回↓
<5話あらすじ>
(それにしてもあらすじのプレビュー画像が美しすぎる)
〜5話感想〜
1話〜4話を通して視聴者に、え〜……なんなんだよこの罪深いメロ男と思わせてきた(※勝手に私は思ってる)蛭川の答え合わせの回。
蛭川のモノローグで構成されている冒頭に加えて、蛭川母親の登場により、蛭川という人物に深みが増す。2話で「親父と別れてすぐ再婚した」と言われていた母親が、新生児を連れている姿が描かれるキツイ回でもある。
・蛭川モノローグ(答え合わせ編)
死にたいと思わなきゃ父を殺してしまうから、殴られてる間は死にたいと思っている蛭川。そんなの明確に自分で自分のこと殺しちゃってるじゃん、開始早々辛えよ……。でもそうなのである、高校生ともなると本気出せば互角。なんなら若さからくる瞬発力がある分、父親を凌駕する可能性もある。"母親のために反抗しない"という、蛭川の意思により今の形になってしまっている。(子の意思により包み隠される家庭内暴力なんてあってたまるか)
というか「本当に俺の子かよ、違うかもしれねえのか」の発言から、母親っていつから今の旦那と関係あったんだ……と邪推してしまう。元々共通の知り合いだったりしない? それきつすぎる。
あと父親繋がりで言うと、妻子あるにも関わらず「家族とは愛を強要されるが故に、悲劇にもなりうる関係」とかインタビューで答えちゃう水無瀬父にも好感が持てないのは私だけなのか……?
「水無瀬といる時は忘れてしまう。俺が耐えられなくなったら悲劇が起きるんだってこと」特大の感情表現、まさに「君(の存在)は僕の救いだ」である。これだから作品のために書き下ろされた楽曲は素晴らしい。
そんな蛭川のモノローグに、2話で2人並んで見た「水の音」の蛭川の映画解釈が被せられる。……って、それってつまり、蛭川があの映画に惹かれてしまうのは"水際で苦しみの波が大事な人に押し寄せないように海に残って守ってる少年"に、"父親を監視することによって、母親を守ろうとしてる自分"を写し合わせてた。ということがはっきりとわかっちゃう。おいお前、高校生がそんな重荷背負うなよ😢
蛭川母が出て行ったのは中学生前後という、自我が少しずつ確立している段階。なのでおそらく蛭川も「新しい家庭を持つにあたって、自分の存在が邪魔」と理解した上で、父親側について行ってる。その上で大切な母親に父の手が及ばんように黙って殴られるわけだ。父親のことなんて露知らず、幸せな母親が新生児と共に描かれる。
キツイ。なんならボロボロな顔の蛭川のことを見て喧嘩と決めつける。(喧嘩なら拳までボロボロになるはずだが、蛭川の手は人なんか殴ったことのない綺麗なお手てだ。HiGH&LOWを観ろ。バトルキングでもいい不良は手がボロボロなんだよ)
その上で「ここに住みたい」という願望を新生児の泣き声に上書きされる。というかなりキツい3コンボ。ytv未成年において、自立前の未成年に対する大人って本当徹底してかなり非情に描かれている。
・居場所を探す蛭川
「どこかに行きたかった。俺を受け入れてくれるどこかに」
やっぱ蛭川って居場所探しているんだよねずっと😢😢
可哀想って言われてほのかに嬉しそうな顔にするのなんて君くらいだ。
蛭川はずっと水無瀬に「自分の居場所になってくれる人なのか」を手探りでさぐっていて、自分からモーションを起こす時は必ず「これをしてもいいか?」と問いかけるような動作を行なっていることが回想で再確認できる。(1話の水間接キス、2話のお試しキス)主導権はあくまで水無瀬。なぜなら臆病だから。家庭環境による影響なんだろうなと思えるのがかなりキツい。
ただ、年相応の動きをしていることもあり、3話は一貫してかなり衝動的に動いている。これは2話でキスの承認を得て、さらなる承認への期待や期待に伴う高揚感で自分の気持ちが昂り、抑えきれてない故の行動だろうな、本当に高校生らしい。
謙信くんの「ダメだってわかってたのに、つい」のモノローグへの感情の込め方すげー好だ。本当な切羽詰まっている感情が現れている。
「おれ、お前のこと好きになったりしないから"男同士じゃん"でしょ?」が「これが好きってことなんだって」に被さる演出も凄いよな〜(本当にただの感想)というかめちゃくちゃ好きじゃんな蛭川。
あとここ、"お前のことを好きにならない根拠"が、2話で自分が発した言葉を引用した「男同士だから」なんですよね。俺たち男同士じゃんって言葉に水無瀬否定しなかったもんね? だから俺はお前のこと好きにならないんだよね?
と、主導権をこれまた水無瀬に握らせる。蛭川の自己肯定感の低さどうよ。いや、あんだけ大人に踏み躙られ、同級生からも勘違いされている蛭川のことを思うとそうなるのか……
「ただそばにいたい、(水無瀬が)いなかった頃の自分には戻れそうもなかった」
えっ、
ええっ〜〜〜
……そんなのめちゃくちゃ
「たとえばあなたといた日々を、記憶の全てを消し去ることができたとしてもうそれは私ではないと思う」
じゃん……
清水依与吏もしかしてytv未成年のために書き下ろしてた……?(※本楽曲は2011年の曲です)
・初デート
好きな子との初デートで落ち着かなくてタバコ吸っちゃって、でも臭いままは会いたくないから慣れない香水をつけてむせる。
とかいう情景が水無瀬には伝わらないのもどかしすぎるので、私に「小説「未成年」の裏側」とかいうタイトルで小説書かせてほしい。まんまと「なんかいい匂いする」とか言われた後のニヤつき顔にこっちまでニヤける。
あと、やっぱ本職アイドルってすごいな、ポケットに手入れて歩く姿ですら様になる。水無瀬は距離感があざとすぎないか? 男性同士ってこんなもん? (NICEボタン連打させてほしい。山里亮太は距離感の罪深さを指摘してくれると思う)
不安そうに「俺たち同性愛者なのかな?」と尋ねる水無瀬に対して、視線をキョロキョロさせる蛭川。ちょっと嬉しそうに「ほう、今好きって言った?」とか言う。
なんせ、蛭川もセクシュアリティに対する明確な答えは持ってないものの、殴られてまで水無瀬に会いたい。水無瀬のことが好きって答えは出ている。それに、蛭川が水無瀬を好きにならない根拠を「お前のこと好きになったりしないから"男同士じゃん"でしょ?」と、同性同士だからという理由にしている。
そんな中で、「自宅に招くことやキスをすることは許してくれるけど、好きになってはくれないかもしれない相手」だった水無瀬が、一足飛びに映画の中の仲睦まじい恋人たちに自己を投影させ、「同性愛者かもしれないという不安」に到達している。
それって俺に対する好意もあるからだよね? ってまた一つ承認されたようなもんなのだ蛭川は。そりゃ嬉しいよな。
でも、現状水無瀬は不安そうだし、「同性愛者なのかも」なんて伝えようもんなら、混乱させたり受け止めてもらえなくなるかもしれない。最悪自分から離れていかれるのは絶対に嫌。だから、「俺のこと好きってこと?」と、ちょっと茶化してはぐらかすって行動をとったんだろう。水無瀬を知る前にはもう戻れないので。本当に繊細な人だ蛭川。
>(自分の話)セクシュアリティについて
ものすごく話が逸れるのでここから数行は読み飛ばしてもらいたいものの、「同性恋愛はおかしくないよ」とかいうのは、俯瞰して物事を見ることができる、対他人へ向けて言える事だなって思う。実際自分がバイだと気づいた思春期は、怖かったし不安だった。バイセクシュアリティのコミュニティに所属したことがない分、なんならいまだに私ってバイなのか……? と思ったりする時もある。(バイじゃなかったら、元カノに対する感情を否定してしまうのでそんなことは絶対にない)
だから未成年をテーマにした今作で、水無瀬がセクシュアリティに対して真剣に悩んでいる姿が描かれているのはかなり好感が持てた。そうだよね、不安にもなるよね。身近に同じセクシュアリティの人間がいないと、塞ぎ込んで不安になる気持ちわかるよ。ytv未成年は、ちゃんと舞台を私が住む現代の日本に置いた作品だなって嬉しくなる。
同性恋愛はおかしいことじゃないよ、でも自分事になると不安になる。そして、不安になるのもおかしいことじゃない。って水無瀬に伝えたいアラサー。
・蛭川のさらなる試し行動
閑話休題。
それにしても、好きな人の写真見てる時におやすみメッセージくるの良すぎるな。
プールサイドに呼び出される水無瀬。蛭川と水無瀬が学校で会うのは大体水辺が多い。手を引っ張って座らせ、それからずっと手を繋いでたのが本当にさりげない角度の違いで見せてくるのすごい。フェティシズムを感じる。
プールサイドキス後「学校ではするな」により、キスは許してくれることを確認できた蛭川はご満悦。あと本当にさりげないながら、"緊張"が伝染するのに互いの境界が少しずつ交わっているなという感じがする。
蛭川が水無瀬に試し行動をして、承認の範囲を少しずつ広げている最中ということがわかる5話だった。
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