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少女葬 櫛木理宇 読書感想

格安のシェアハウス・グリーンヴィラ
シャアハウスという名だが訳アリの人々が集まりどんどん内部の空気が悪くなっていく
父親からの圧力から逃げ出した綾希は母親の恋人からの性的暴力から逃れた眞実と仲良くなる
しかし少しずつ二人の間に距離が出来始めていく

この小説はプロローグで既に結末が書かれている
ハッピーエンドにならないよと示されてしまっているので、ちょっとした明るいシーンも、でもこの後は、と考えてしまう

安易な道を選ぶと確実に堕ちるだけ、とも書かれている
しかし保護者無し、身元保証人無し、職無し、家無しの未成年が普通に生活するのはなかなか困難な話だと思う

グリーンヴィラにやって来る未成年はただ家が嫌で飛び出しただけの子達とは違う
耐えがたい父親からのパワハラに、性暴力、借金を負わせて利用する親
この親の元にいて成人するまで我慢しなさいなんて軽々しく言えるものじゃない
子供の我儘で片付けるにはあまりにも凄惨な環境
見付かったら親元に連れ戻される そんなシステムになっているのもおかしい
親が子供を食いものにしている場合はなんとかその親と隔離出来るようにしてくれないものか


主人公の綾希だが、彼女は楽な道に流されることはなく最後には自活の道を勝ち取った
たまたま逃げ込んだ店の女性が親切にしてくれて、たまたまそこには同じ世代のイケメンの息子がいて、自分も好きになって好かれてくっつきました
ちょっとこれは都合が良過ぎる展開とは思うが、これは意図的に書いたのかもしれない
事実、物語の中で運がいい、と指摘をされている。
現実的に書くとしたら安易な道に流された眞実の生き方が多いと思う
それだけを書いたとしたら暗すぎてなんの希望もない物語で終わっただろう

安易な方へ流されないで。この物語はそう訴えている。
でも弱いままで考えられない人はいるよ。
そういう人は食いものにされるだけなんだろうか。


「弱さは罪じゃないっていうけれど、そんなの嘘よ。馬鹿は罪、弱いのも罪」

少女葬

弱いままで考えられない人はどうやって生きたらいいの?
子供は無条件で弱い存在だけど、耐えるしかないんだろうか。

ところでこの本は文庫本で少女葬に改題している
その前はタイトルFEED(餌)
FEEDの方が実は合っていると思う
ただ手に取ってもらえるのは少女葬だとも思う
何故FEEDの方が合っていると思ったのか
それは弱くて愚かな人はただ食いものにされるだけというのがこの本の印象だったから。
しかしタイトルを変えて手に取ってもらう工夫をする
それも大事なことなんですよね。

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