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 耳から読書/双子のライオン堂/いまさらながら「Audible」/つらいところもするする/遠藤周作のいる通勤路など


1.耳から読書をするなんて


 食わず嫌いのように、耳から小説を読むなんてと思っていた。ややもすると、耳から聞いている人を「ちょっとちがうな」とも思っていた。ごめんなさい。じぶんでは、視覚が優先なにんげんだと思っていたけど、聴覚も意外といけるようだ。

2.きっかけは「双子のライオン堂」 


 きっかけをつくってくれたのは、谷崎潤一郎だ。『細雪』の読書会に参加している。読書会の多くは、2024年から双子のライオン堂にて参加するようになった。読書会のある人生は、とても豊かな人生なのだ。

 ライオン堂さんの提供する読書会の課題本は、実はどれも骨太である。ちょっとやそっとではやっつけられない。じぶんルールとして、課題本は2.5回は読んで参加しようと課している。だから、時間もかかる。さらに、骨太なのでどうにもこうにも時間が溶ける。

3.「Audible」を試しに使ってみる


 しかし、参加者の中には「Audible」を使っている人が複数名いた。さきほど書いたように、ちょっとマイナスのイメージとして「ふむふむ」と思っていたが、あまりに課題本が重くて試してみた。私は弱い人間でもある。

 なんと課題本の『細雪』の指定範囲は、通勤の往復30㎞の自転車で聞き終わってしまった。たった1日で……おそるべし。もちろん、話の筋もつかんでいるので、読書メモも作りやすい。「Audible」は、ながら族にもかなり優しいツールなのだ。

4.遠藤周作まで読ませてしまう

 さらに、三島由紀夫の読書会に参加したときに参加者の一人が、遠藤周作の『深い河』を読んでいると語っていた。なんとなく、遠藤周作とは縁がないまま生きてきた。ふと、調べてみると「Audible」で聞けるではないか。なおかつ、最初の数か月特典で99円で使える。使わない手はない。

 耳で聴く最大の利点は、つらいところすっと読めるからだ。私は誰かが苦しむシーンや死ぬシーンがあまり好きではない。だから、紙の本の場合は、ぱたんと閉じてしまう。しかし、耳はずるいものでつらいところもするする進む。「するする」が「Audible」の皮肉にも最大の利点なのだ。

 今日も行き帰りで約2時間『深い河』三昧だ。2025年の読書量が増えそうな予感がする。紙以外の本は、もしかしたらいままで以上に価値があるのかもしれない。