1から設計した会社の休暇制度①『SRHR休暇』〜生理休暇をもっと使いやすく〜
以前からインターンとして関わらせていただいていたPoliPoliに4月から新卒入社し、4ヶ月が過ぎようとしています。
PoliPoliが正社員の採用を開始したのは、私が入社する1ヶ月前のことで正に今ここから人事制度や労働環境が整備されていくという状況でした。
未熟ながらもHRマネージャーとして、人事制度の設計を任され、試行錯誤して休暇制度の整備を終えました。全容はこちら!
その中でも、今回はSRHR休暇について紹介します…!!
SRHRとは…?
簡単にいうと、自分の「性(自認するもの、生物学的なもの、など多角的な性が含まれる)」が尊重されていて、パートナーの有無・妊娠出産の希望など本人の意思が社会的に認められ心身ともに健康的な状態でいることを意味します。
SRHR休暇の内容
SRHRの意味は広く、休暇に当てはまるものは限られてきますが、全ての人の「性と生殖に関する健康と権利」が尊重されるために必要な休暇をまとめてPoliPoliではSRHR休暇としています。
必ずしも取得条件のどれに該当するかは報告する必要はありません。
※育児関連の休暇や出産前後の休暇は別途存在します。
きっかけは生理休暇への疑問
「生理休暇ってウチの会社にもあるけど、使ってる人見たことないもん。」
某広告ベンチャー企業勤務の友人とご飯を食べに行った時に、聞いた言葉です。PoliPoli社内の女性メンバーからも、「前職でも使っている人はほとんどいなかった」「存在すら知らなかった」「言い出しにくい感はあるよね」という声もチラホラ聞かれました。
生理休暇は、労働基準法第68条に「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」としっかり明記されているはずなのに、まだまだ取得のハードルが他の休暇に比べて高いようです。
令和2年の厚生労働省の調査によると、女性労働者がいる事業所のうち、平成 31 年4月1日から令和2年3月 31 日までの間 に生理休暇の請求者がいた事業所の割合は 3.3%(平成 27 年度 2.2%)。 女性労働者のうち、生理休暇を請求した者の割合は 0.9%でした。(「令和 2年度雇用均等基本調査」の結果 - 厚生労働省)
ホルモンバランスに起因すると言われているPMS(月経前症候群)などでは心身共に不安定な状態が続き、仕事に支障が出てしまうことも多くあります。女性の何割が重度の症状が出ているのかはデータによって差が大きくあり、定かではなく(女性自身もPMSなのかそれ以外なのか判断しづらい)、現時点での生理休暇の使用率が妥当なのかどうかは正直私もわかりません。
ただ、使いづらいが理由で使えていない人がいるのであれば、それは休暇制度の意味がないなと感じています。
他社の生理休暇への工夫
エフ休暇
サイバーエージェントでは、女性が月に1度理由なしで取得できる有休を「エフ休(Female休暇)」と呼び、上司や周囲に利用用途が分からないようにして、取得理由の言いづらさ、取得しづらさに配慮しています。
ライフサポート休暇
株式会社クリーブウェアでは、従来の生理休暇をより拡張させ、不妊治療などの項目も含めてライフサポート休暇に名称を変更しています。
色々な会社で生理休暇の名称変更が行われており、エフ休暇とライフサポート休暇と呼ぶようになったところが多くありました。この2つはもう鉄板になりつつありますね!
PoliPoliの月経に対するスタンス
PoliPoliでは、仕事をする上で3つの価値観を大切にしています。
PoliPoliでは、Slack上で自分の精神状態も含め、業務の進捗などをオープンにするようにしています。それは、ユーザーの幸せに鬼コミットするためにどんな問題が発生しているのか率直に発信し、日進月歩改善しながら事業を進める必要があるからです。そして、従業員の幸せに鬼コミットするために、組織内でどんな問題が発生しているのかを明らかにし、日進月歩改善しながら良い組織を作っていくという側面にもつながるのです。
もちろん、月経はプライベートな問題ですので、無理に発信する必要はありません!しかし、変な圧力や雰囲気によって発言が妨げられているのであれば、それは会社として健全な状態ではないですよね🥲
このような価値観を持ったPoliPoliでは、普段から女性メンバーも月経などを含め自身の状況を発信する方が多いように思います。また、発信することで症状が軽い女性や男性も月経やPMSに関する情報をより身近に感じることができ、症状の重いメンバーに対しての理解が深まります。
このように、「オープンでいこう」を掲げるPoliPoliだからこそ「言わなくても休暇を取れる」という仕組みづくりだけでなく、月経やPMSも含め自分の心身の情報発信をすることは良いことだという組織づくりも心がけています。
生理休暇だけではない性別の条件がある制度
生理休暇以外にも特定の性別の従業員のみが取得可能な休暇制度があります。現在では、徐々に男性側の育休取得が推進されるようになってきていますが、不妊治療や妊婦健診などは、まだまだ「女性の話」として捉えられがちで、会社によっては休暇制度も男性は適用外なこともあります。
私自身も妊娠出産を経験していますが、妊婦健診で身体検査をしてもらうのは妊婦のみだとしても、お腹にいるのは2人の子どもなのにどうして健診には女性ばかりなのかと疑問を持っていました。健診では、「発育に問題はないだろうか」「異常な数値が出たりしないだろうか」という不安を抱えることも少なくありません。私の場合は、横にパートナーがいるだけでもかなり精神的に救われていました。
男性の育休取得の推進が行われていますが、その前に一緒に妊娠のこと出産のことについても考える時間が女性よりも圧倒的に少ないように感じています。PoliPoliでは、少なくとも、どちらの選択もできる環境は整えておきたいと思いました。
昔から、男女平等のためには、女性を労働から保護すべきなのかそれとも保護しないべきなのか、議論がかわされてきています。色々な考え方がありますが、一つ言えるのは、常に女性の働き方ばかり議論が進み、男性の働き方を見直す機会が逃されてきました。
また、現代は性に対する考え方も非常に多様化しており、必ずしも自認する性と身体的な性が一致するとは限りません。月経や妊婦健診に関する休暇を”女性の休暇”として括ってしまうと逆に取得しにくくなってしまう人もいるかもしれません。
多様なメンバーがいる組織だからこそ、自分の心身のアイデンティを含めた「性」や「妊娠出産の選択」について男性とか女性とか区切ることなくみんなで尊重し合いたい。「みんな頑張ってるのに自分だけ・・・」という後ろめたい気持ちではなく、自分自身を大切にするという心持ちで休んでほしい。そのような想いから、大きく内包したSRHR休暇というものを作ることになりました。
PoliPoliのSRHR休暇のこれから
現時点のSRHR休暇は、「性と生殖に関する健康と権利」が尊重されるための休暇としてはまだ不十分かもしれません。条件や対象もまだ広くはありません。
例えば、PoliPoliは比較的若いメンバーが多く、まだ更年期に関する制度なども整えられている状態ではありません。更年期も性に関わる部分も多く、SRHRに内包できる可能性があります。
人事制度は組織の文化や状態によっても変わってきます。PoliPoliでは、このように制度設計を行いましたが、アファーマティブアクションの一環として、あえて男女を分け、女性活躍を推進するという考え方や取り組みをおこなっているところもあります。また、PoliPoliのようなスタートアップでは、まだまだ人事制度にかけられる予算も限られています。
それでもできることから少しずつ。
政治・行政という老若男女全員が関わる領域で活動する会社だからこそ、より多様なメンバーの声に耳を傾け、みんながより働きやすい環境を作っていく必要があると感じています。
これからたくさんのメンバーに入っていただき、日本社会がそうであってほしいように、絶え間ないアップデートをおこなっていきたいと思います。
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