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音楽を続けるということ-DONSYΔRI 1st EP ''Immigration''セルフライナーノーツ

「宇宙最愛のダンボールヘッドアイドル」、自身をそう定義づけるDONSYΔRI(どんしゃり)は、自身の音楽活動に行き詰まりを感じていた。重労働で忙しすぎる仕事、うまくいかないプライベート、そういった全部を含めてパニック障害が再発。そんな中、EPを作らないかという話をもらい受け、自主制作にてEP制作を決意。めちゃくちゃになった精神状態で何度も折りかけた筆。そんな中でDONSYΔRIが描きたかったものとは?セルフライナーノーツ形式で、楽曲解説と今後の展望をゆるく書いた記事。

まだEP未聴の方はこれを機に聴いてみてください。
7.12 EP Release!いろんな配信サイトで聴けます。

とは言ったものの、何を書けばいいんやろうか……。制作の時の所感や歌詞の簡単な解説とかやってこうかなと思う。あんまり歌詞説明しすぎるのはダサいから、かいつまんでちょっとだけ。
(追記: ごめんやっぱ長なったわ!好きなとこだけ読んでね)

1.多面的な彼女

〇曲について
・MV制作もしたタイトル曲!vaporwave調のインテリアとインターネット的な絵面にこだわって制作したお気に入り。

・楽曲ジャンルとしては、ハウス、ムーンバートンみたいなところをイメージして制作。キラキラした音色とゆるくのれる感じを目指した。MV撮影中に、撮影クルーが歌いながら小っちゃく踊っていたのが印象的やった。私の音楽って人を踊らせるんだ~と嬉しく思った。

・しかし私の声可愛いな♪ 歌い方はいつもと変えておらず、あえて言えば少しだけ清涼感と、「ちょっと気になる女の子」が話しかけてきてる感じ?を意識。

〇歌詞について
・DONSYΔRIとして新しいスタートを切る、そしてスタートを切った先で新しい人々(ファン)出会う瞬間。そんな瞬間への願いとDONSYΔRIという存在のスタンスはこう!というのをすごく抽象的に描いた。

・歌詞めっちゃ好き。お気に入り。みんなもきっと気に入るはず。

・好きな歌を他人におすすめするときとか、「ほらあの、こういう今日だよ。(フレーズを歌う♪)」っていう流れ絶対やるじゃないですか。そういう場で思い出しやすいフレーズがあったらいいよね~と思い制作。

・ちょっとだけかじっていた韓国語と英語を日本語歌詞の中に混ぜて提供。Youtubeの字幕に、全編韓国語/全編英語の歌詞を設定してあるので、歌詞の本当の意味を全部知りたい人は、見て翻訳してみるといいかも。

・取り繕ってても、演技をしているようでも、「いま素じゃないよねw」とかウザいこと言われても、そのすべてが自分だと思うよね~という感じのことを歌詞を書いてるときに考えてた。

バイブスを殺さないうちに、次の曲へGO!!

2.嚥下困難

〇曲について
・きらきらしたSynthPop仕立てで、タイトル曲にしても遜色のないものを作るべく制作。ある意味ファンク?でかなりポップ。

・改めて曲を聴きなおすと、自分の声が甘すぎて引く。別に意識したわけじゃないねんけど……^^;

・制作中にAメロ~Bメロと、サビは違うノリでノれたらいいな~って思ってた。

・しかし、サビのメロディは神がかっていると思う。我ながら。「なぜか 泣きそうなくらい 飲み込めないよ いまはまだ」ここのメロディが歌っていて楽しいの。

〇歌詞について
・めっちゃかわいいキラキラSynth Pop楽曲になったので、歌詞も外国語含めて書くと音的に歌いやすいかなと思ったけど、あえて縛り感覚でタイトルと歌詞をほぼガチガチの日本語で制作。

・とんでもない出会いをしたときって、それまでのすべてが嘘だったように感じられることがある。「一目ぼれ」とかかなり良いように言えばそうかもしれないけど、運命的な出会いは時に呪いみたいな側面も持ってて……。そういった出会いの衝撃に耐えきれず、いまだ事態を「飲み込めていない」というフレーズを入れました。好きだわ~これ。

・タイトル、厳つくていいね。ギャップがある。「嚥下困難」て……。

3.愛・コンビニエンス

〇楽曲について
・バキバキのシンセアイドルサウンドみたいな?地下アイドルの現場になじみそうな音色を目指して制作。ゲームサウンドみたいでもある。

・音色選びが難しかった。バキバキの三角波っぽいシンセサウンドを目指しつつも、あんまりバキバキにしすぎると、オタク現場っぽくなくなるというか……。一昔前の音色にならないように気を付けながら選んだな。

・Aメロ→Bメロ→サビ→(※繰り返し)→大サビという、比較的単純な構成であるものの、サビのメロディは覚えやすく、歌いにくい……。歌いたいことを全部詰めるために、やや無理をしたメロディになった感はあったものの、「きっと愛はどこかイージー&ライト?」のフレーズなど、覚えやすく口ずさみやすい箇所を作るなどしたので、気に入っている。何事もバランス。

〇歌詞について
・16,7,8の私と今の私が歌うのでは、なんとなく意味が変わってきそうな曲に仕上がったなと思っている。アイドルらしく可愛い楽曲ではあるが、歌詞は相反して愛に悩んでいる。

・「韻を踏む」というか、言葉遊び的な要素をいくつか入れた。みんなはコンビニ行く?私はめっちゃ行く。日々高価なものを爆買いしているわけでないのに、なんか金欠やな~って時って基本的にコンビニ行き過ぎが原因やと思う。最近は自省してるけど、いろんな商品があって小っちゃいデパートみたいで好きやから、ほんとは思いついたらすぐ行きたい。何も買わない日もあるけど、それもいいよね。

・でもそうやって即物的な欲求に対応してくれる存在がありつつも、時代が変わっても即物的にならないものもあり……。簡単に人と知り合って、簡単に仲良くなれる環境があるけど、ふと「構築」という面に目を向けると、即時性に着目するのではなく、「積み上げる」ことを要求される。

・なんなんそれ!!難しい!!言うてよ!!ってずっと思ってるけど、懲りずその難しさに立ち向かったりするんでしょうね、これからも。みんなもそういう経験ある?私はちょっとあるかな。

4.素敵な食卓

〇楽曲について
・これまでの1~3曲と打って変わり、生音演奏含むバンドサウンドにこだわった楽曲。「愛・コンビニエンス」の後に配置したら、みんな温度差で風邪ひくかなと思ったけど、どうしてもそこに置きたかった。

・このEPの中で一番古い曲で、デモ自体いつ作ったのか記憶もない。たぶん原型と歌詞自体は、3年ぐらい前からある。

・左側から聞こえるギターのラインは私が作り、そのほかのラインはデモを参考に、編曲含めサウンドデザイナーさん(?)に作っていただいた。その節は難しい要求をたくさんして申し訳なかったです……。

・楽曲ジャンルは何にあたるんかな?作る際に参考にしてたバンドがあって、近いジャンルを選ぶとしたら、ポストロックやドリームポップ、まぁ全部ひっくるめて「インディーロック」なんじゃないですかね……。余談だが、「ポストロック」や「オルタナティブロック」と名乗るの過激派に刺されそうでちょっと怖いよ。

・音の作り方として、後頭部上のほうで感じられるものにしたかった。後頭部の上のほうで、細かい血管が切れたような感じがして、プチッじわーっとあたたかみが広がることない?あれににた感覚を音でやりたかった。そんな経験ない?ないか、あっそフーン。

〇歌詞について
・あえて歌詞に書いてない言葉/歌ってない言葉があって、そこは各々好きな言葉を入れて聴いてもらえるとええんちゃうかな。

・ブレスを歌詞の一部のようにとらえて、あえて残して収録してる部分がある。こだわりだね~。

・「理解」ってめちゃくちゃ難しくて、特に他人を理解したい時、多くの場合は会話や行動を通して理解を深めていく。でも逆に、理解が進めば進む(と思っていく)ほど、言語でのコミュニケーションは減少することがあり、「わかってるよね」「察してね」の態度を取ってしまうことがままある。

・わかる!そういう態度とっちゃうときあるよネ。まぁでも本当はちゃんと話したほうがいいよね。大事なことだけでもね。そう思うね、という曲。

・Aメロを二回繰り返しているのは、この部分の詞が好きだから♡

5.あたし・インポスター

〇楽曲について
・ガチの「カップリング曲」を目指した。ある意味一番力が入っている気がする。

・リズムを取るのが難し、収録に苦労した ;  ;

・ゆったりとしたコンテンポラリーR&Bチックなノリに、可愛らしいラップを添えて、構成はちょっと不思議に。夜の街灯下を、缶のお酒片手に散歩しながらゆっくり歩いて話している、そんな情景にぴったりの曲。

・つまり「コンビニエンスストアで360mlの缶ビール買って君と夜の散歩」ってコト……!?

・その楽曲を意識したわけではないが、そういうシチュエーションとその楽曲は好きだ。というか散歩が好きだ。

〇歌詞について
・「あたし」は、誰かに対して何かを偽っている状態。というか、何かが違うと感じているんだね。存在的に。

・(補足するけど、不倫とか浮気とかそういうことは一切意図してないから、そういうこと考えたやつはで直しな!)

・ラップの歌詞を考えるのが楽しかった。歌い方も、バキバキのフィメールラップ感は排除して、ぽつぽつと思いついたことを語っていくような形を理想として制作した。

・EPの中で、一番直接的な曲なんじゃないですか?と、このDONSYΔRIは思うわけ。口ずさみやすいし、台所仕事とかしながら歌ってみてよ。おいしく出来上がるかも。

EP制作を終えて~干からびたダンボール箱

構想から発表まで約1年の期間を要したDONSYΔRI 1st EP ''Immigration''。
もっと早く発表できる予定だったのが、制作時のトラブルや、自身の精神疾患、重労働などでバタバタと後ろ倒しになって行き、何度も発表を「あきらめよう」「出したとしても、こんなにつらい作業ばかりなら、これを最初で最後の音源にしよう」と考えるまで追い込まれていた時期があった。

何でそれ乗り越えられたの?というところなんだけど、発表した今もその答えは出ていない。就活とかで「困難を乗り越えたエピソード」として発表するなら、ガチ不採用って感じなんだけど、あえて言うなら「創作に対する執念」かなという感じ。

何年か前に不安障害/パニック障害を発症した時を境に、苦戦していた楽曲制作はさらに苦悩の一途をたどるようになり、ここ2年くらいは、正直もういつ音楽制作をやめても仕方ないことなのかな、とすら思っていた。薬を飲むまでは、頭の中が常に考え事や感じたことでいっぱいで、それをいくらでもアウトプットしたり、形にして作品として発表することができていた。雑念・不安なこと・突拍子もないことや思い出さなくていいトラウマまで、私の頭の中では常にうるさい吹き出しが出続けており、すぐ疲れてしまっていた。お薬を飲み始めてからは、そういった「余計なこと」を考えなくなって、頭の中に余白ができたように感じられた。けれど同時に、創作活動は失速の道をグングン進んでいき、なんとなくそのころから活動に対しても諦めムードが漂うようになっていった。

症状は緩解し、薬を飲まなくてよくなったタイミングで、「楽曲制作で作品を残したい」「ほかの創作物から刺激されて、私も何か作りたい」と、かなりポジティブな動機で創作に対する意欲が出始めた。ちょうどその時、EP制作をしてみないか、と協力いただいた制作会社のほうからお声がけをいただいたのだ。物事はタイミングだね……。

楽曲制作/MVに携わっていただいたスタッフの皆さんはもちろんのこと、コロナの後遺症で右耳だけ半音下がって聴こえるようになってしまった私の代わりに音量バランスをチェックしてくれる津嶋さんや、創作活動をしているお友達のみなさんなど、いろいろな人にお世話になり、その協力が無かったら発表までこぎつけられてないな、と月並みながら改めてそう思った。

これを書いている今も、楽曲制作自体はちまちまと続けていて……。今後は、恒常的なカバー動画の投稿と同時に、自作曲の投稿頻度を上げていき、やりたいなと思ったことをもっと気軽にやっていけるようになりたいな~と思っている。まぁ、仕事のこともあるし、体調のこともあるから、様子見ながら、焦らずではあるんだけど。
まだまだ希少だけど、私の作るものを面白がってくれたり、今後の展望を楽しみにしてくれる人もいるしね!なんか月並みな感想になっちゃうけれど、創作活動は一人じゃ達成できず、どんな形であれ他人との接触ないしコミュニケーションが発生してこそ楽しくなるみたい。

DONSYΔRIという存在・コンテンツの拡張性は、私ですらも計り知れず、このまま大きくなっていけば、数年後にはとんでもないことに発展していっている気すらある。今の状況だって、数年前の自分は予想していなかったはずだ。まさか「アイドル」を名乗って活動することになるなんて……。
これを読んでくれた方はぜひ、いまからファンになり、古参顔をしていっていただけたらと思います。

お父さん、お母さん、あなたの娘は遠く離れた地でダンボール箱をかぶりながら生活しています。

これからの活動も、こうご期待!

▶1st EP ''Immigration''
各種ストリーミングサービス・ストアにて配信中!

▶収録タイトル曲『多面的な彼女』Official MV
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