《私たちのさいごの旅》は、死別の悲しみに寄り添ってくれるやさしいゲームでした
ちょっとアタマをつかうけど、サクサクっと終わるゲームがやりたくて、以前から気になってた【私たちのさいごの旅】をプレイしてみました。
2〜3時間もあれば終わる、みじかくて簡単なパズルゲームでしたが、心に残るゲームだったので、レビューしてみたいとおもいます。
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① どんなゲームか?
全45ステージ(9ステージ × 5チャプター)のパズルゲームです。
主人公は、おばあちゃんで、
というところからゲームがはじまります。
あとはひたすら、おじいちゃんの姿を追い求めて、パズルを解きながら、おばあちゃんが空に浮かぶ島から島へと走っていきます。
トレーラー動画からもわかるとおり、フィールドは広くても 7 × 7 マス程度。そのなかでブロックを押して動かしたり、スイッチを押してギミックを発動させたりして、通路をつなげておばあちゃんをゴールまでたどりつかせたらステージクリア → 次の島へ、というパズルゲームです。
全体的にシンプルにできているゲームです。
おばあちゃんにさせることは、以下の3種類のみです。スイッチで発動するギミックも単純です。
なので、操作上のルールに頭をなやませることなく、直感的におばあちゃんを操作し、パズルを解いていくことができます。
パズルの難易度は高くありません。多少ややこしいものもありますが、何度か試行錯誤するうちにたいがいは解けます。
なかにはどうしても解けないパズルもあります。そのときはナビに頼りましょう。ナビモードに切り替えると、おばあちゃんを移動させるべきマスを一手ずつ表示してくれるので、必ず最後まで解くことができます(ただし、動画広告視聴が必要です)。
しかも、ここから先はナビはいらない……と思ったら、ナビモードを離脱して残りは自力で解くように切り替えられるんです! こんなプレーヤー思いの機能があると、使う使わないは別として、製作者の心配りが感じられてうれしいですよね。
一方、ちょっと残念なところもあります。それは、「一手戻す」ができないこと。間違えてしまったらステージをリセットして一手目からやり直しに……これがなかなかもどかしいです(T_T)。
個人的に、特徴的だなぁ、と思っているのは、おばあちゃんを移動させるポイントをタップしたとき、ピアノの音の効果音が鳴ることです(移動できない場所をタップすると、×印と重いトーンの効果音が出ます)。あるかないかのかすかな BGM とあいまって、まるで自分が音楽を奏でているような気分がしてきます。
インタラクティブなゲームをプレイしているかのようなおもしろさがあるので、ぜひ、効果音も楽しみながらプレイしてみてくださいね。
② 死別の悲しみに寄り添ってくれる、やさしい世界
プレイしていると、「お年寄りをこんなに動き回らさせていいのか……」「ましてやおばあちゃんにこんな重そうなブロックを動かさせるだなんて……」と、良心がとがめる瞬間がなきにしもあらず。なのですが、それもこれも「亡きおじいちゃんと再会したい!」というおばあちゃんの熱い愛情ゆえ、と思うと、ついついこちらも力が入ってしまいます。そして、どんな困難にも、おじいちゃんに会うためにひたむきに取り組むおばあちゃんの姿には、涙腺がうるっ……となりそうになってしまいます。
私自身、ごく最近、知人の訃報に接したばかりで落ち込んでいたので、おばあちゃんのいちずさに、亡くなったひとをおもう悲しみが癒やされる気持ちがしました。おばあちゃんに感情移入しながらプレイすることが、お互いの悲しみに寄り添い合いうような作用をもたらせたのではないか、と思っています。
また、これはネタバレになりますが……
ゲームの途中で、おばあちゃんはおじいちゃんに追いつきます。ですが、当然、おじいちゃんには「いまは一緒にいけない」といわれてしまいます。
その瞬間、「これは私もそう……亡くなったひとは逝くにまかせて、自分はこちらで自分の人生を生きていかねば……」と、ハッとわれにかえる……なんて体験もありました。
きっとおばあちゃんも、おじいちゃんのいないさびしさをかかえつつも、残りの人生を自分の人生としてエンジョイし尽くしたのでしょうね……おせんべ焼いたりしながら。そう信じたいです。
あくまでも私個人の見解になりますが、この【私たちのさいごの旅】というゲームは、純粋にパズルを楽しむためのゲームであるのはもちろんのことですが、それだけでなく、別れの悲しみを十分に悲しみ尽くすためのゲームでもあるようです。
誰しも、悲しい別れの経験はあるとおもいます。いままさに、別れの悲しみのさなかにいるひともいると思います。
そんなひとたちにとって、【私たちのさいごの旅】が、おばあちゃんと死別の悲しみを分かち合い、新しい一歩を踏み出すきっかけになりますように。
③ メンタルの不調を抱える方へのオススメ度は……
さいごに、【私たちのさいごの旅】のオススメ度を。
私自身もうつを抱えています。
その経験から、メンタルが不調な場合は、
を兼ね備えたゲームを選んだ方が、疲れも少ないし、気持ちも落ち着くと考えています。
ましてや、いま悲しみの真っ最中にあるひとには、悲しみをいやし、気分の落ち込みをやわらげてくれるようなゲームをおすすめしたいです。
では、項目ごとに評価してみたいと思います。
・脳への負担度 ……中
全体的に脳への負担は軽いのですが、判定はあえて、脳への負担度は中、で。
というのも、難易度が低いとしても、パズルを解くこと自体が疲れた脳には負担になるときがあります。そんなこともあって私の note では、簡単なパズルゲームでも負担はより重めに判定するようにしています。
健康なときにはなんでもないようなパズルでも、メンタルが不調なときには予想以上に負担になったりするので、その点についてはご注意くださいね。
・感覚への刺激度 ……低
ということで、感覚への刺激度は低、です。
・受容への心理的抵抗度 ……低
受容への心理的抵抗度は低、です。
ですが、死をあつかっている以上、なかには受け入れられないひともいることと思います。
・広告の煩わしさ ……無し
亡き人を追いかけて空の上をひた走る……という、静謐な世界観をこわさないよう配慮されています。ということで、広告の煩わしさはほぼ無しです。
・区切りのつけやすさ ……つけやすい
ひとつのチャプターがちょうどいいボリュームですし、チャプターごとに世界観が切り替わるので、プレイに区切りをつけるきっかけにできます。また、夢中になりすぎたとしても数時間で終わる短いゲームですので、区切りはつけやすいです。
・心への栄養 ……たっぷり
心への栄養はたっぷり、だと思います。
悲しいときには悲しみに寄り添ってくれるコンテンツが必要になりますが、おばあちゃんに共感しながらプレイすることは、その役割を十分にはたしてくれるのではないでしょうか。
また、メンタルがしんどいときは、ゲームの音声をオフにしたほうが疲労がすくなくなるのですが、【私たちのさいごの旅】はBGMもうるさくないですし、効果音でインタラクティブ的な楽しみ方もできるので、むしろ音響の良い環境で楽しんだほうが癒やし効果が期待できそうです。
以上をふまえて、【私たちのさいごの旅】のメンタルが不調な方への総合的なオススメ度は……
★★★★☆
星4つ!
パズルを解く以上、一定の脳への負荷はさけられません。脳の疲労に気をつけながら、心を癒やしてくださいね(*^_^*)
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