MAはB2Bマーケティングで本当に必要なのか?
初めまして、株式会社才流の金森(@user_id_us)です。
本記事は、フィードフォース社主催「MAはB2Bマーケティングで本当に必要なのか? 」というイベントのレポートです。
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★要注目ポイント★
・MAツール利用の実態
・MAがワークする条件
・MAを活かすB2Bマーケティングの進め方
・BtoBマーケティングにおいて成功率が高い/低い/意見が分かれる施策
・MAとインサイドセールスの関係性
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■ 登壇者プロフィール
・栗原康太(@kotakurihara )
2011年にIT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。事業部長、経営会議メンバーを歴任。2016年に「才能を流通させる」をミッションに掲げる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。 アドテック東京などのカンファレンスでの登壇、宣伝会議・広報会議など主要業界紙での執筆、取材実績多数。
※ 前提:登壇者である栗原氏は、MAツールの専門家ではないが、10年間数百社のB2Bマーケの現場を見てきての傾向をお伝えする。
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【1】 MA(マーケティングオートメーション)とは
【1】では、MAの基本事項について解説。「MA(マーケティングオートメーション)について基本は押さえているよ。」という方は【2】からご覧ください。
▼ MA(マーケティングオートメーション)の定義
マーケティング活動のプロセスを支援するシステムの総称。データベースを基に顧客・見込み客とのコミュニケーションを行い、セグメンテーションや効果測定などを行う。このシステムの機能にはキャンペーンマネージメント等も含まれる。
(出典:マーケティングキャンパス)
▼具体的な機能例
・リード管理(顧客管理)
・行動ログ
・フォーム作成
・メール配信
・Web解析
・スコアリング
・シナリオ作成・自動化
・リード創出の効率化機能(ポップアップ通知)
etc.
MAには上記のような様々な機能が備わっているが、MAを普段から使いこなしている読者の方は、どんな機能をよく使っているだろうか。後ほど、MAの中でも「よく使われている機能」と「あまり使われていない機能」があることについて説明する。
▼ 市場規模 動向
栗原氏
最近、MAツールが増えてきている。老舗だとシャノンやSynagy!LEAD。
最近だと、SATORIやb→dash、List Finder。外資系だとMarketoやPardotなどが有名。本日参加者の方達もMAツールを入れられている方が多いことからも分かるように、業界的にもかなり右肩上がりの状態である。
では、MAはB2Bマーケティングで本当に必要と言えるのだろうか?
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【2】現場でのMA活用の実態
現場では一体、MAツールはどれほど活用されているのだろう。
栗原氏
月に10名単位のB2Bマーケターと情報交換をする中で、MAツールの利用動向をヒアリングしている。すると、MAツールの中でも『使われている機能』と『使われていない機能』で大きく分かれるということが見えてきた。
以下に、凄腕マーケターのからインタビューをしたことで分かったMAユーザーのリアルボイスを紹介する。
MAユーザーのリアルボイス(ネガティブ面)
・ケース①:シナリオ設計について
あまり使えなかった。設計するのが難しい。自由度が高すぎる。かつ、シナリオの妥当性もわからない。シナリオを設計する前に営業が電話してしまった方が速かった。
自由度が高すぎると、「どうやったら良いか分からない」といったケースや「作ったものが正しいのか分からない」というケースもある。シナリオ設計が難しいため、月1千〜2千件くらいリードが取れている会社さんですら、色々迷った挙句、全件電話をかけているという事例も。
・ケース②:ホットリードについて
ホットリードを可視化できても、「次に営業から電話する」以外の選択肢を持てなかった。すると、ホットリードの質が必ずしも高いわけではないので、営業が段々と電話をしなくなる。
ホットリードを上手く設計しないと、リストの中で競合が一番上に出てきてしまったり、既存ユーザーが一番上に出てきてしまったりする。(これでは意味がない。)
ホットリードを可視化するダッシュボードがあって、営業会議で共有していたが、そこからのアクションを考えられなかった。結果、営業会議での共有も途中で辞めてしまった。
ホットリードになったらメール飛ばすことはできるが、もともと管理してるリードなので、既に連絡している事が多く意味があまり見いだせなかった。
・ケース③:ナーチャリングについて
MAを導入した後に気づいたマーケターの声。
事業特性上、トラブル発生時に急いで問い合わせをもらうことが多いので、ナーチャリングが有効なのか疑問もある。
このケースのように顧客の購買プロセス、情報収集プロセスを考えたところ、そもそも、MAが合う/合わないということも存在する。
・ケース④:費用対効果について
高機能で何でもできるため、どんな企業に合わせてでもカスタマイズ可能だが、カスタマイズに必要なコストも膨大。それほどのコストをかけてでも、自動化、人員削減を目指すのであれば、リード数が多い巨大企業に向いている。
MAユーザーのリアルボイス(ポジティブ面)
・ケース①:営業する際のコストダウンについて
資料請求や問い合わせがあるときの場合。
内勤のメンバーが電話しているが、行動履歴がわかるようになって電話でのコミュニケーションが楽になった。興味がある情報がわかっているので、自信を持って話せるようになった。(受注率が10%程度上がった。)
この企業のように複数サービスを持っている会社の場合、MAを入れる前まではイマイチ、顧客がどのサービスに興味を持っているのかが分からなかった。しかしMAを導入したことにより、「AさんはサービスXとサービスYで迷っているんだ」と言ったこと等が分かるようになった。
・ケース②:行動ログについて
高い成果を出しているメディアの編集長が言っていたこと。
問い合わせをしたユーザーを見て、どんなコンテンツを見ているのかということがわかるため、どういう記事をつくるかという指針になっている。
受注につながるユーザーは、ある特定の記事を見ていることがわかった。その結果、メディアの編集方針を変え、記事のリライト施策や新規コンテンツを作成するという指針を決めることができたという。
・ケース③:ユーザー会について
ユーザー会で他社のマーケターとつながれるのは有り難い。ユーザー会にお金を払っているといっても過言ではなく、捨てがたい。
※ マーケターが交流する機会はそもそも少ないため。
・ケース④:行動ログについて
一部のMAツールの話。
IPアドレスから、Webサイトに訪問しているユーザーの企業名が分かる機能は使っていた。その結果、ターゲット企業は比較検討系コンテンツを閲覧している傾向があった。
MAユーザーのリアルボイス(番外編)
栗原氏のツイートに対するビズリーチ茂野さんの声。
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【3】MAでできること/できないこと
【マーケティング部門がやるべきこと】
・ペルソナ、カスタマージャーニーの作成
・戦略立案と予算取り
・マーケティング課題と解決案出し
・マーケティングメッセージ作成
・シナリオ作成
・コンテンツ作成
・Webサイトや営業資料の改善
・セミナー/イベント開催
・インサイドセールス
・広告出稿
【MAがやること】
・リード管理
・メール送信や分析の効率化
・ユーザーの行動履歴の可視化
・シナリオの自動運用
まずしっかりと、マーケティング部門がやるべきことをやってから、MAを導入しないと、MAを導入しても上手くワークしない。
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【4】MAがワークする条件
以下の条件を満たしていると、MAがワークしやすい傾向にある。
①リード数が1万件以上ある
(ハウスリストが1万件くらい無いと、リストが枯れてくる。)
②毎年5千件〜1万件(※概算)の新規リードが供給される
③月1本以上のコンテンツ作成体制がある
(ex.記事コンテンツ、ホワイトペーパー、セミナー開催、プロダクトの新機能発表。つまり、リードの人たちとのコミュニケーションが取れるきっかけが必要。)
④ほぼフルコミットのMA運用担当者が1人以上いる
(インサイドセールスと兼任で可。インサイドセールス兼MA運用者くらいが最低条件。この条件を満たすと、ワークしている傾向がある。)
⑤インサイドセールスの体制がある
⑥スコアリング、シナリオを設計できるマーケター(or 外部パートナー)がいる
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【5】 MAを活かすB2Bマーケティングの進め方
栗原氏
上記資料は、ファネル状の導線と、実施して成果が出やすいマーケティング施策だけを抽出した貴重なスライド。どういう順番でやるべきか、ポイントは、原則コンバージョン(CV)に近い部分から改善すること。たとえば、LPやCTAというコンバージョンポイントを改善するだけで、CVが2~3倍になることもある。最近だとLP自体は、ほぼ無料で作れるものも出てきているし、フォーム自体も月に数千円程度で作成できる。それで、リスティング広告を掛け合わせてコンバージョンを取るだけでも結構良い。このように、コンバージョンの近いところから取り組み、リード獲得の場所を用意したら認知獲得施策を打っていくのが良い。リード獲得の場所が生まれて、後はそこに放り込むというイメージ。
リードが増えてくると営業さんが忙しくなる。その際は、インサイドセールスを入れて、フィールドセールスと分割させた方が生産性が向上する。
この辺りに来ると、セールスフェーズの課題が上がる。たとえば、無料トライアルまで行くけど、有料化しないというオンボーディングの課題。そういう時はサポートサイトの拡充などが必要。
僕の持論なので他意はないが...。僕がMAツールを導入するなら(上記資料のように)5番目に行う。リードの数も増えてきて、インサイドセールス部隊もおり、かつ豊富な情報(BANT、ニーズ情報、アクション履歴など)を貯める体制ができており、インサイドセールスにガンガン商談を設定してもらい、さらに売り上げを伸ばしたいという状態。そのフェーズまで行くとMAツールが無いと若干やり辛くなる、非効率になってくることも。
【結論】MAはB2Bマーケティングで本当に必要なのか?
◉月1,000件単位のリード供給
◉月1本以上のコンテンツ作成
◉インサイドセールス部隊がいる
この条件を満たすなら、MAを導入しても良さそう。
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【6】 BtoBマーケティングにおいて成功率が高い/低い/意見が分かれる施策について
下記資料は、栗原氏が「各社、どんなことをやったら成果が出ているのか?」ということを大量にヒアリングして導き出されたものである。業種・業態、顧客像、予算規模、事業のフェーズによって何がベストかは変わるものの、以下のことは割と汎用的に成果が出やすい施策であると言える。
◉ BtoBマーケティング領域で成功率の高い施策
・分かりやすいWebページ作成
・CTAの設計
・EFO(Entry Form Optimization)
・チャット
・電話フォローの最適化
・営業資料の改善
・事例コンテンツの充実(有名企業、同規模・業界)
・FAQ、サポートサイトの充実
・セミナー開催
・カンファレンス開催
・リスティング広告
・Facebook広告
・タクシー広告
・特定のCVワードでのSEO
・メディア露出
・オンライン商談
・ユーザーテスト
一方で、以下のものが成功率が低い傾向にある施策である。
(※ 成功しない施策では無い。上手くいっているケースもある。)
◉ BtoBマーケティング領域で成功率の低い施策
・飛び込み営業
・イベント、交流会参加
・オウンドメディア立ち上げ
・公式SNSアカウント運用
・MAツール導入
・Twitter広告出稿
・ディスプレイ広告出稿
・紙DM送付
さらに、こちらが評価の分かれる施策。
◉ BtoBマーケティング領域で評価が分かれる施策
・コールドコール(全く何の繋がりの無い相手に対して電話でセールスのアプローチをかけること)
・問い合わせフォームDM(営業メール)
・展示会出展
・業界メディアへの記事広告出稿
・コールドコールについて:テレアポからの受注率が10%前後あるというケース(cf.インバウンド:30%)も存在。他に、飲食店向けのサービスを提供している会社だとWebからアプローチできないので、時間を見計らってコールドコールして、かなりCPA低く受注できているというケースも。
・問い合わせフォームDMについて:営業メールのこと。たまに、100件送ったら4,5件くらいアポになるという話も。最近聞いた話だと、採用系サービス。特に、人が増加する傾向にある資金調達後のスタートアップにメールを送ると4,5%くらい返信が返ってきて、そこから結構受注するという。
・業界メディアへの記事広告出稿:Web業界だったら、MarkeZineやWeb担とか宣伝会議。それらに広告を出稿することが、コスパが合うのか合わないのかという難関なテーマ。単発で見ると、合う・合わないで評価が分かれる。
【7】 Q&A 8つ
①「資金調達すると、タクシー広告やるところが多いけど、あれは効果あるの?」(フィードフォース社の方からの質問)
タクシー広告をやっているマーケター何人かに聞いたところ、割と効果があるそう。ただしCPAがかなり低いとか、数が取れているというより、ブランディングとか市場啓蒙的位置付けを含めると良いと思う。
②「うちはチャット機能を入れていないんですが、チャットは効果高いんですか?」(フィードフォース社の方からの質問)
チャットに関しては、自社でやったときはあまりワークしなかった。クライアント先でもあまりワークしていないのだが、とあるマーケターによれば稀にチャットが大きい効果を発揮するところもあるそう。実際、マーケティングツールの会社さんが、チャットの導入が今年やって一番良かった施策だと言っていた。
③「月1,000件単位のリード供給が必要という結論において使われている、リードの定義、リードの質のレベル感について。」(参加者からの質問)
いわゆる名刺情報が1000件取れているかどうかくらいのザックリとしたレベル。広めに取りに行く。そこからインサイドセールスや営業なりを通して、濾過していく方が判断も速くなる。マーケティングの思想上、これがベストとは言えないが、組織という行動としては割り切った方が速くなる。
④「シナジーマーケティングなどのツールで十分に感じるのですが、MAの方が良いですか?」(参加者からの質問)
最近だと、ferret OneとかCMSにリード管理機能とメール配信機能があるのでスモールスタートできる。ベンチャー企業などには、ferret Oneなどの(他のMAツールよりは安価で使いやすい)ツールを入れてもらって運用する体制をまずは作ってもらうのが良いだろう。
⑤「展示会などで名刺交換した人に対して、初めてメールを送る時はどんな内容がいいの?」(参加者からの質問)
▼会場内にいたMAツール導入支援会のコンサルタントの声
展示会だと、会社自体のポジショニングなどが認知されていないケースが大半なので、会社としての認知を入れるためのリンク(ex.動画のリンク)などを入れる。そこでまず信頼感を得る。ブログなどをやっている会社であれば、「きっとお役に立つであろう人気記事があるので良かったらご覧ください」と言ったコミュニケーションを取ると良いでしょう。
⑥「ホームページやブログがあっても、LPは必要ですか?」(参加者からの質問)
ちゃんと商材の説明がされているページが必要。単体でLPが必要かと言われると、ケースバイケースという感じ。1枚ペラにしてヘッダー、フッターも取り除いてしまって問い合わせしかできないLPでコンバージョンが上がるケースもある。一方で、縦長のLPを四分割して、(コンテンツを変えずに)4ページのマイクロサイトぽくしたらコンバージョンが上がったというケースもあり、それは面白い事例だった。
⑦「シナリオ作りはワークしない点について。作ること自体が難しいのか、作ったとしてもワークしないのか、あるいは他の理由でしょうか?」(参加者からの質問)
▼会場内にいたMAツール導入支援会のコンサルタントの声
お客さんがシナリオ設計するのは、いきなりではできない。まず、オススメしているのはステップメールに近いようなシンプルさ(3回ぐらい)。1ヵ月でPDCAが回るような内容を導入支援側と行い、短期間でPDCAが回るようなステップにする。そこで初めて、シナリオを分岐させることもある。一つのシナリオで継ぎ足してやらずにシナリオ自体を分ける方が良いことも。
⑧「MAが語られる時に、セットでインサイドセールスについて語られることが多いですが、MAとインサイドセールスの関係についてはどう考えていますか?」(参加者からの質問)
僕はもはや、MAはインサイドセールス用ツールと捉えている。インサイドセールスの生産性を上げるためにMAは必要。コンテンツ作成やリード獲得用でMAを入れる理由はあまりない。1回入れてデータを分析して、受注したユーザーの行動分析をして、それを把握してから解約してしまうのがベストプラクティスだと、僕は思う。
イベントの内容は以上となります。
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株式会社才流について
真ん中である「マーケティング戦略」、「施策の立案」、「体制作り」これらがしっかりしていない限り、周りの一つ一つの施策はワークしづらいです。周り(手段)から入るのではなく、根幹から入ることが重要。株式会社才流は、この真ん中の部分を担うマーケティング代行/コンサルティングを提供しています。
才流ではMAツールの導入・運用定着支援も含めて、BtoBマーケティング全般の支援が可能です。興味のある方は下記までお問い合わせください。
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