短歌週まとめ | 23.9.29-10.6
皓月は帰らぬ君を待ち侘びて無人の道を照らし続けた
背の老いた松に登れど月影は遠く遠くて懺悔もできず
そういえば自由に詠んでたはずだった赴くままに心隠して
暗がりの夜道に潜む黒猫とまた目が合って顔馴染みかな
インディアンポーカーだって嘘だけじゃ勝てないですよ黙って笑え
ひととせの木犀の香僅かにも思い出せない。あなたの声も
空想の庭で見上げた朝焼けの薄藤のただ麗しきこと
満月が夏を拐っていったのだ 冷たい風に頬を打たれた
ざらざらの梨の酸味に懐うのは家に独りで待つ淋しさよ