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紡ぐ

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自分の書いた、少し長めの文章
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#読書感想文

耳慣れないチャイムは絶望の音がした。

耳慣れないチャイムは絶望の音がした。

――キーンコーンカーンコーン。

耳慣れたチャイムは絶望を運んだ。
手の先が冷えていき、音は少し遠くに聞こえる。
誰もいない校舎にひとり。
私はあのときの感覚を、きっと一生忘れない。

宮澤賢治の作品に『よだかの星』というものがある。
数か月前に大学の授業で触れたことで開いた記憶の扉。
このまま閉じ込めておくのは悔しいと思うくらいには強くなったので、
小さないじめの話を、今日はしたい。

どこにで

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人生で初めて泣かされた本。

人生で初めて泣かされた本。

人生で初めて泣かされた本を覚えているだろうか。

「泣く」と言っても、ほろりと涙が零れるような綺麗なものではない。

抑えることもできずに顔から色んな液体が溢れ出す、いわゆる「号泣」だ。

そこがどこであっても、いつであろうとお構い無しに泣かせてきた本を覚えているだろうか。

その本は、その著者にしては珍しい終わり方をする。
落ち着いて考えれば「いつもと少し違う感じがするな」と思うようになるのだが

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