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うわのそら
2020年11月30日 21:50
「そう。彼、5日間研修に行ったのよ」彼のお母さんが言う。その先に続く言葉を、息を呑んで待った。落ち葉を巻き上げていた風が、一瞬止んだような気がした。彼と職場が合わなかったらどうしよう。嫌だと嘆いていたらどうしよう。記憶にある彼を思うと心配ばかり浮かぶ。けれど、続いた言葉はこうだった。「毎日『キノコがかわいかった』って帰ってくるの」よかった。心からそう思った。彼が「幸せだ