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紡ぐ

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自分の書いた、少し長めの文章
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#直島

文通ってもっと億劫なものだと思ってた。

文通ってもっと億劫なものだと思ってた。

見覚えのないハガキだった。

青い雪景色が描かれていた。
端に黒い二本線が滲んでいて、しばらく見つめてからそれが消印だと気がつく。

「クリスマスカードだろうか」

和紙のちぎり絵で表されたその雪景色はあまりに繊細で、印刷されていると知っていてもその部分に触れるのは憚られた。
ハガキの端を持って裏を返す。
途端、びっしりと敷き詰められた文字たちが目に飛び込んできた。

私はその筆跡を知っていた。

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