レビュー『デザインのめざめ』原研哉 著
概要
デザインの専門書ではなく、万人が生活に役立たせることができる内容です。
デザインと聞くと、見た目のカッコよさを思い浮かべがちです。この本では、情報をより伝わりやすくしたり、どういう意図でデザインされているかに焦点を当てて紹介しています。
身近にあるものをデザインの視点で紹介しています。
1つのテーマにつき、3ページでまとまっていて、サクサク読めます。
特に面白かった内容
特に気に入った箇所をピックアップしました。気になった章から、気になった文章を引用しました。
・エレガントなハエ
ハエの絵が描いてあるトイレがある。そのトイレは常にぴかぴかな状態を保っているので、ハエを描く余裕が生まれると著者は考えた。
以下、著者オリジナルの「エレガントの法則」を抜粋。
エレガントというものは懸命に努力して最高に良い状態を目指してもそこには決して生まれてこない。むしろ自分の美点や長所を知り抜いた上であえてそれを抑制するか、あるいはちょっぴり破綻を加えてやるくらいの姿勢からうまれてくるのである。
・ピラニアの味
強烈な自然に身を置くとこのロッジのような人工物がとても愛しい。自然に優しいデザインなどという言葉もここでは虚しい。自然は強靭で、風は人間のために吹いているのではない。そういうことをひしひしと噛みしめつつ、まずいピラニアを食べた。
・心を通わせる布
一流レストランのテーブルクロスは白い。その理由をご存知だろうか。食事をするテーブルは汚れや数。だから管理の手間をはぶいたり、汚れを隠す方向に意識が働くならば、ビニール素材や、濃い色の洗濯もある。【中略】それを常にしみひとつない洗い立ての状態に保っておくことで、レストラン側はそのサービスの良質性をお客に伝えることができるのだ。つまり一流のレストランではテーブルクロスを店の意識を伝達するメディアとして使っている。
・表面張力の美学
この章を読んだら、イサムノグチの彫刻「ウォーターストーン」を見てみたくなります。
この本が及ぼす実生活への影響
普段の生活の中で、ホスピタリティーについて考えるきっかけになります。デザインについての見方が変わると、物を選ぶときの基準や、何かを判断するときの基準が変化しはじめました。
サクッと読めるので、おすすめです。
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たぶん、もっと頑張れるようになります。