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オートガイネフィリアについて 〈当事者としての考えと葛藤⑪〉
前回の記事を今朝改めて読み返して「ふふっ」と笑っている自分がいました。
なんかちょっと消化出来たみたいです。
今回がこのタイトルの最終章です。
書き終わったあとにこの文言を入れてるのでホントです。ただし、長いです。ご容赦ください。
もしこの記事から私の記事を発見し、気になってくださる方がいたらひとまず前々回の記事から読んでいただくとわかりやすいかと思います。
悪夢のミーティング後の日々
ミーティング後、私が取った行動はお店のみんなへの謝罪です。
店長という職位でありながら、みんなの前で取り乱し、大声でキッチン長に暴言を吐き、そして私の着任から不満を抱いていたスタッフさんたちの気持ちに気づくことも出来なかった。ちゃんと皆とコミュニケーションが取れていなかったのです。
とんだピエロです。
謝罪すればいいわけでもないですし、謝罪自体が自己満足です。
でも“私は今なにがしたいのか?”と問いかけたときに出てきたのが“みんなに謝りたい”でした。
意外だったのが、私に対して優しい言葉を掛けてくれるスタッフがほとんどだったこと。
本心でそう言ってくれてるかは分かりません。
何せ私はこのお店の最高権力者です。皆、私に対して下手な事は言えません。
でも「この人は本当に私のことを案じてくれている」と感じられる方も多数でした。嬉しかったです。
2週間くらいかけて、キッチン長以外とは本当に全員と面談して謝罪しました。
こんなことを言ってくれたキッチンのおばちゃんもいました。
「店長さ、こんなこというと辛辣かもしれないけど、“うちの会社の店長は”向いてないよ」
「うちの会社の店長って、結構瞬時の判断力を求められるから」
「店長はお店を利益体質にするとか、よく考えて行動することは得意だから、何か得意なことを伸ばせる部署で仕事してもいいんじゃない?」
「おばちゃんだから何でも言っちゃった、テヘペロ」
感動しました。
そんな風に自分を見てくれていたおばちゃん。
今まで自分が苦手なことを一生懸命に頑張っていたことに気づき、「自分頑張ってたんだ」と自分を認めたくなりました。
そして思いました。
“飲食店の現場からは身を引こう”と。
居なくなる前に最低限この場を整えよう
次なる思考は、
“私がいなくなっても大丈夫な店にして去ろう”でした。
まぁ、そんな考えもおこがましいんですが…
ひとまず私にしか出来ない仕事、私しかやっていなかった仕事、私しか知らないお店のこと、
ぜーんぶみんなに託しちゃえ、と思いました。
幸いにも優秀な部下と、優秀なホールスタッフのリーダー達がいるのです。
どんどん下ろしていきました。
今まで新人トレーナーを任せたことのないスタッフにも優秀な部下と組ませることで任せてみることにしました。その子は長年『強迫性障害』に苦しみ、それでも自分と向き合い、落ち込んだり浮上したりを繰り返し、それでも頑張って生きている、とっても素敵な子です。私の想像を超えて、その子は立派にやり遂げてくれました。私から見ても異常なまでの努力をして。前向きに。
そうしてみんなの協力でお店は急な欠員が出ようが慌てず騒がず安定した売上を叩き出す安定感を増していきました。
中でも部下の頑張りは凄かったです。部下が2人いた時は遠慮気味で前に出るタイプじゃなかったのですが、部下1人になってからは『私がやらなきゃ』と全てが積極的になりました。こんなに出来る子だったんだと驚きました。
“もう部下がいればこのお店は何とかなる”
そう思えた頃と、私の限界はほぼ同時期でした。
睡眠導入剤の効き目が悪くなってきた
精神科に罹った最初は強い薬を出されて、そのおかげでスコーンと寝られました。
でも強い薬は依存性もあります。
私は依存性の少ない「オレキシン拮抗薬」に切り替えたいと医師に申し出て、薬を切り替えました。
オレキシン拮抗薬は効き目は弱めですが、それでもそれなりに寝れました。
ですが、徐々に効かなくなってきました。
そして最初の強い薬に戻しました。
でも強い薬が効いてくれるのも僅かな間でした。だんだん薬が効かなくなってきて、慢性的に睡眠不足で抑うつ感が増していきました。
仕事は「無」の境地でやってました。
結局みんな腹の中で何を考えているかわからないという疑心暗鬼は拭えません。
部下たちの成長を実感しても、
「どうせ自分はここから消える」と虚しく思うばかりでした。
でも客商売をしている以上、笑顔は必須。
私達は笑顔でお客様からお金を頂いているのです。
“なんのために自分は笑ってるんだろう”
“もう笑いたくない”
もう仕事を辞めたい。でも辞めると言ってから次の店長が来るまでの期間は居なきゃいけないし、引き継ぎも必要。
休職出来るかな?という考えが浮かびました。
精神科の先生に「仕事を休みたい」と打ち明けました。
先生は「どのくらい休みたい?」と聞いてきたので、「1〜2ヶ月くらいですかね」と返しました。
「じゃ3ヶ月休もうか」と先生は言ってサラサラと診断書を書いてくれました。
部長にすぐに連絡しました。「お話ししたいことがあります、面談して欲しいです」と。
結局1週間後の会議前に面談が決まりました。
その1週間の間に通院したら、先生から
「まだ休んでないの?」と驚かれました。
“え?そんなに驚かれることなの?”
私、全てが麻痺していたようです。
面談までの間に部下にだけは自分の状況を打ち明けました。迷惑をかけるかもしれないと謝罪しました。
部下は「大丈夫です。なんとかなります。そうなるようにしてきたじゃないですか。私結構まだまだ行けますよ!そりゃ疲れますけど、でもやれると思うんです」と、言ってくれました。カッコイイ。
いつのまにそんな男前な女性になったのでしょう。
私は「ありがとう。あとは宜しくおねがいします。」と言いました。
そして休職
会議前に部長と面談し、その日から会議も出ずに休むことになりました。
即決で休ませてくれた部長には感謝です。
まぁ、もともと部長が私から部下を1人奪い、代わりの正社員を必ず補充すると口約束しながら、反故にした恨みは別として…
会議で発表されて部内に少なからず衝撃が走ったようで、他の店長たちからLINEが届きました。リアクションだけ送り、画面を消しました。
自宅に戻り、処方された抗うつ薬を飲みました。
実はそれまでの1週間、抗うつ薬は飲んでいませんでした。会議の前日に仲良しな女友達と会って飲む約束をしていたからです。抗うつ薬を飲みだしたらお酒は厳禁です。
ちなみに私はお酒が好きです。
特にビールが。
特に『水曜日のネコ』という缶ビールが。
ちなみに「水曜日」も「ネコ」も好きです。
きれいに自分のハンドルネームを回収したところで次に行きます。
休職の日々
なんか心の底からホッとしました。
“もうあの場所にしばらく行かなくて良いんだ”と。
“自分の好きなことをしよう”と思いました。
読書、ラジオ、水泳、ランニング、昼寝。
YouTubeも大好きで、1日YouTubeを見て過ごす日もありました。見そびれていた話題のアニメも摂取しました。
とにかく睡眠を大事に、規則正しい生活を心がけ、栄養バランス良く食べ、適度に運動し、お酒は一滴も飲まない。
そんな日々を過ごし、心からの安らぎを覚えました。
穏やかな日々を送り、暇を感じて今まで興味はあったけど勉強まではする気になれなかったFP(ファイナンシャルプランナー)の資格の勉強を始めました。
“勉強が楽しい”と思えたのは小学校低学年以来です。中学受験から勉強が嫌いになっていました。
店長をやっていて労務関係でよくわからないことは山ほどありました。
“そーゆーことだったんだ!”と新鮮な驚きに満ち満ちていました。勉強楽しい!
しかし、うつ病の症状はそれほどでもないのに、睡眠障害だけは全然良くなりません。
“なにがいけないんだろう?”
と考えた時に、
“本当の自分と向き合えていないからではないか?”という考えが閃きました。
まぁ、暇ですから、
自慰行為も盛んになります。自慰行為をすると一気に興奮が冷めてスヤスヤ寝れたりもするので。
女装も久しぶりにしました。
のめり込みました。ほどほどになんて出来ないほどに。
女装をしながら勉強をして、ムラムラして自慰をして、を繰り返す日々。
これはまずい、と流石に思いました。
やっぱり自分は女性になりたいのだろうか?
人に相談したいけど、どうすれば…
そんな時にネットで見つけたのが、
『アスク ドクター(AskDoctors)』のアプリでした。
アスクドクター
お試し500円課金で1ヶ月間医師に質問が出来て、回答をいただけるアプリです。
オートガイネフィリアに関する質問をされてる方もいました。課金しなければ閲覧出来なかったので即課金しました。
私の悩みと似ているけどちょっと違う。
そんな他の相談者さんの悩みに対して医師免許を持つ方の回答がしっかりとされていました。
“私も悩みを相談してみようかな”
そんな気がしてきました。
長くなりますが相談の様子をここに全部載せます。
私は40年間男性として社会生活を送ってきましたが、自身の性嗜好であるオートガイネフィリアに長年悩んでいます。
小学生の頃から女性への憧れがあり、自傷衝動に駆られたこともありました。自慰行為は、女性になった自分を想像することで興奮を得るというもので、小学生の頃から続いています。
3年前に自身が抱える感情がオートガイネフィリアという性嗜好であることを知りました。長年抱えていた孤独感から解放され、自身を肯定できるようになった一方で、女性ホルモンの服用や性転換手術への願望も芽生え始めました。
しかし、性転換することへの不安も抱えています。長身細身で骨張った体格であることや、社会的に女性として生活できるイメージが湧かないことなどがその理由です。オートガイネフィリアは性別違和ではないため、性転換をしても後悔するという情報もあり、女性になりたい気持ちと、現状維持の狭間で揺れ動いています。
このような状況で、今後どのように向き合っていくべきか悩んでいます。
先生にご相談させて頂きたい内容は以下の通りです。
* オートガイネフィリアについて、詳しく教えて頂けますでしょうか。
* オートガイネフィリアである私が、今後どのように生きていくのが良いのでしょうか。
* 女性ホルモンの服用や性転換手術について、メリット・デメリットを教えて頂けますでしょうか。
* オートガイネフィリアに関する専門家や相談窓口をご紹介頂けますでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、ご回答頂けますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
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お忙しい中迅速かつ丁寧なご回答をいただき、本当にありがとうございます。
先生からの温かいお言葉に、今まで誰にも相談できずに抱え込んでいた悩みを打ち明けたことへの感動と安堵を覚えました。墓場まで持っていく覚悟だった悩みを文章化し、先生に受け止めていただけたことで、心が救われたような気持ちです。
現在の私は、家で一人女性の服を着て幸福感を得ることに留まっていますが、当面の目標として、女性の姿で外出すること、そして一人旅をすることを考えています。とはいえ身長が185cmもあり、どうしても目立ってしまうので、悪目立ちしたくなくて踏み出せずにいます。
仲の良い女友達もいますが、相談することで友人関係が壊れてしまうことへの恐怖が拭えず、打ち明けられずにいます。
先生がおっしゃっていたオンラインフォーラムでは、同じような悩みを持つ方々と交流できるのでしょうか?もしそうであれば、ぜひ参加してみたいと考えています。
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お忙しい中、度々のご回答をいただきありがとうございます。
昨日、先生に教えていただいたオンラインフォーラムについて調べてみました。日本のオンラインフォーラムは見つかりませんでしたが、Redditという英語のコミュニティを見つけることができました。
様々なオートガイネフィリアの方の意見を目にすることができ、大変興味深かったです。Googleの自動翻訳機能を利用したのですが、便利な世の中になったと改めて実感しました。このようなコミュニティの存在を教えていただくまで、私は全く知りませんでした。
このコミュニティで様々な方の意見を受け止めながら、ひとまずは女性ホルモンや性転換といった選択肢は置いておいて、自分らしくあるための生き方を模索していこうと思っています。
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noteで探す、SNSでハッシュタグをつけて検索する、なるほどその手があったか(!)と目からウロコです。結構記事があることにビックリです。書き手によって様々な意見がありますが、真面目で好感の持てる記事もありました。
なるほど…この手があったかぁ。
先生との今回のやりとりは私にとって生涯の宝物です。この度は、真摯にご対応いただき、本当にありがとうございました。
また本アプリを通してご質問させていただくことがあればご対応いただければ幸いです。
という訳でnoteへと足を踏み入れた私でした。
今こうして、私の記事を読んでくださり、
スキやフォローやコメントをしてくださる方々が居て、私はこの上なく幸せです。
これからの生き方
“自分はこれからどう生きるか”
40歳、『ミドルエイジクライシス』という言葉も昨今話題になっていますが、この休職が人生を見つめ直す良い機会となりました。
私が大切にしたい軸を3つ掲げました。
『怖がらずに自分はもっと自分を表現したい』
『自分の好きを発信したい』
『好きなものを共有出来る人と繋がりたい』
だからこうして自分で記事を書いて世に放ったのでした。
自分の記事を改めて読んでいくと、
私は「男らしさ」「女らしさ」に随分と“執着”していることに気づかされます。
そして今の私が大事にしたいものは
「自分らしさ」
であると気づきました。
なーんだ、結局当たり前のことを言ってるじゃん。て思われるかもしれません。
でも40歳にしてやっとここまでたどり着きました。
noteでいろいろな方の体験談を拝見すると、もっと若くてこの境地にたどり着いている方も多く羨ましく思います。
イソップ童話『兎と亀』でいうところの亀です、私は。
でも亀な私も愛すべきところがあります。それは異常なほどの粘り強さです。
そしてゴールを目指してひたむきに歩むその姿です。
なんとか耐え抜いて生きてきた私は亀でいいんです。あとはどこをゴールとするか。最終的なゴールはまだ見えていません。
でも「自分らしく」「自分の“好き”を大切に」生きていればきっとゴールが見つかると思います。
「ゴールが見えなくても歩みを止めない亀のように生きよう」と心に決めた私でした。
というわけで、
ご愛読くださった皆様、本当に本当にありがとうございました。
繰り返しになりますが、読者の皆様の反応がどれほど私の励みになったか。
これからもnoteを通して、「自分の“好き”」を発信していきます。
他の記事を書いたらまた読んでくださると嬉しいです。
ありがとうございました。
ではまた!