シティポップスブームについて思うこと
何年か前から若者たちの間でシティポップスがブームらしい。竹内まりやの「プラスティック・ラブ」や松原みきの「真夜中のドア」が、Youtubeやサブスクを通して海外のリスナーに「発見」されてバズり、それをきっかけに日本のシティポップス全体が世界的に評価され、逆輸入的に日本の若者に人気ってのが大筋のストーリーなんだけど、個人的にはこれちょっと懐疑的。
昨今のシティポップスブームの実際
レアグルーヴ観点でのシティポップスの発掘って、もともとは00年代前半に端を発していて、流線形が03年にリリースしたデビュー作のCITY MUSIC(というか東京コースター)がオルガンバー界隈で話題になり始めてた時に、金澤寿和さんのLight Mellow和モノ669が発売され当時のDJ連中にバーッと知れ渡ったのがきっかけ(当然その前の90年代に達郎の曲がMuroさんや辰緒さんのテープに入ってアングラでヒットしたり、ECDが歌謡曲でDJし始めた流れも重要なので悪しからず)。
それから10年くらいかけて現場レベルでシーンが作り上げられた後、2012年にタワレコが間宮貴子のLove Tripを復刻したのを皮切りに、それまで高額で一部マニアしか買えなかった当時のマイナー盤が軒並み再発。それが2~3年でひと段落して、Youtubeやサブスクにアップされるようになったことで海外の一部マニアに届き拡散。
そこにCDが売れなくなって困ってる日本の音楽業界が飛びついてブームを仕立て上げ、次々と復刻LPを量産してるってのが本当のところかと。もともとが国内の作品だから権利関係辿るのも比較的容易と思われ、そんなところも都合が良かったんだろうね。この辺の構図は和ジャズとも同じ。
高騰するLPと浮世絵現象
まぁレコード会社がリイシュー盤作ってそれが売れるのはいいんだけど、困るのは当時のオリジナル盤の高騰。もともと超マイナーでレア盤だった作品はともかく、山下達郎のFor Youが1万円近くで売られてるとか異常だよ。もちろん内容は最高だけど、これ当時もメチャクチャ売れてて、ほんの数年前までレコファンで100円で投げ売りされてたから。。。ガンプラがコロナ禍でアホみたいな値段で転売されていたのとまったく同じ。
おまけにDiscogsあたりで海外のマニアが買うものだから、国内からどんどんレコードがなくなっちゃって金とか浮世絵みたいな現象が起きてる。少し高く設定しても円安で売れちゃうから、転売ヤーさんは一時的に潤うのかもしれないけど、文化的にはとても危惧するべきことだと思うよ、コレ。けっこう真剣に考え直した方がいいと思うけど・・・。
ちなみに↓は2年前、8年ぶりに作ったシティポップス系の自作コンピ。あまり再生数カウンター回ってないけど内容的には決して悪くないはず。
ブログでこのコンピを紹介した際の記事も合わせてリンク貼っておくので、よかったらチェックしてみて。