年間100本Steamゲーを遊んだ男による沼レビューまとめ2022
こんにちは、2022年もゲーム周辺境界人として社の畜をしながらオフでは趣味ゲーをひたすらハムっていたすいそです。
今年も1年間に遊んだSteamゲームの中からピックアップして30本+αを紹介していきます。ジャンルが偏っている上に今年の新作ではなかったり文量の差が激しかったりもしますが、新たなゲームと出会う一助になれば幸いです。
■デッキビルド
イリスと巨人
物憂げな雰囲気漂うローグライト。淡いタッチのアートワークに反してかなりシビアなゲーム性なものの、ガイドやローカライズは丁寧なので遊び方は自然と身に付く。カードは使い捨て且つデッキ切れで負けというルールで、ライフを守るか補充を急ぐか、その場を凌ぐか先を見据えるかでプレイングが出る。
Fights in Tight Spaces
デッキビルドにタクティカルシミュのような要素を足したローグライク。マス目のあるマップで位置取りによるアドバンテージをとっていくゲーム性のため、移動を伴う効果が付いたカードが多く、独自の戦略が楽しめる。戦闘後にリプレイを再生する機能があり、それだけを見るととてもカードゲームとは思えない豪快なアクションで敵を倒していく様子を見ることができる。BGMがずっとブレイクビーツなのもミニマルな雰囲気にマッチしてて最高。
Nitro Kid
前述の『Fights in Tight Spaces』と比べると敵の追尾と反撃が多くて少し窮屈な印象。ヒットアンドアウェイよりバフデバフでうまくやれって感じなのだと思うけど、位置取りの要素は薄味かも。ただハンドこねくり回してシナジー掛け合わせていくカードゲームとしての戦略は充分。BGMが全編シンセウェイヴなのと、ステージ背景が不穏なのも好き。
Roguebook
3人(DLCで追加1人)のヒーローからリーダーとバディを選んでチャレンジするローグライクデッキビルド。ヒーローの組み合わせによる多彩なシナジーに加えて、前列後列の概念やマップ探索など独特の要素が多く、『Slay the Spire』周辺作品の中でも新しい遊びを提示しようとしている熱意を感じた。60時間ほどプレイして、全ヒーローの組み合わせ試しつつエピローグレベル10くらいまではクリア。追加ヒーローのフーゴロがバブリーな戦法できて楽しいのでDLCは買って損なし。
Monster Train
4階建ての列車にモンスターを配置して律儀に1階から登ってくる天使と戦うローグライクデッキビルド。WAVE毎に設置と強化を繰り返すバトルはタワーディフェンスのような感覚だけど、表示される戦闘の結果を手札を駆使して最適解に近づけていくプレイングはタクティカルシミュっぽさもある。ぱっと見で明らかに強いこと書いてあるカードが多くて新しいカードに出会う楽しさが強烈だった。ランダムイベントが基本的にいいことしか起きない上にある程度選択肢を用意してくれているのもやさしい。負けるときはあっさり負けるけど、自分でトレードオフしてきた結果なので理不尽さもあまり感じず、ニクい。
Gordian Quest
長編RPGの本編とローグライク的な遊びに特化した2モードがメイン。本編はクリアまで30時間弱かかったものの、ハクスラとキャラビルドが絡んだシステムが楽しくて一気に遊べた。イベントの成否や行動準をダイスロールで決めたりでところどころTRPGのにおいがするのも好み。拠点で会話や物資の補充などをして、広大なマップを一歩ずつ進みながら時にはダンジョンに潜ったりキャンプをしたり、遊びの要素がほんとに多くて作り込まれてた。その上でハクスラとデッキビルドがしっかり軸になってる。『Library Of Ruina』や『Griftlands』好きにもオススメ。
Vault of the Void
『Slay the Spire』が切り開いた道の先でひたすら深い沼を形成しているジャンル最奥タイトル。まず画面の情報量が狂ってて、法務書類も泣いて逃げ出すキーワードの多さに最初は面食らったのだけど、気が付いたら今年一番遊んだタイトルになってた。頭が追いつくとすべてが理に適っているように思えてくる。ハンドを任意で捨ててマナ変換できるので何もできないターンというのが生まれにくかったり、戦闘ごとにデッキの中身を入れ替えられるので特定エネミー用のメタカードや揃いきっていないコンボパーツをピックしやすかったりと、プレイヤーに選択させる箇所を徹底的に増やしたゲーム性が肝。当然、理不尽さが排除されている分負けの責任をゲームに押し付けられないので、ガチのプレイングが試される。要素の多さも相まって敷居は高めなものの、ローグライクデッキビルドが好きなら間違いなくハマれるはず。
■オートバトル
Necrosmith
拾った死体のパーツを組み合わせて、意味不明なクリーチャーを蘇らせては野に放っていくRTS。リソース管理系ローグライトにハクスラとTD要素も混ざっていて、流行りのオートバトルミクスチャージャンルとしての可能性を感じた。たまに特定の組み合わせでボーナスがつくレシピが発見できることがあり、エントとエレメントで「燃える木」とか、デーモンとエンジェルの「混血」とか、クリーチャーコレクター的な楽しみ方もできる。ウオノラゴンやパッチルドンみたいなカセキメラポケモン萌えなひとにも刺さるかも。
RUNGORE: Beginner Experience
2023年リリース予定の『RUNGORE』プロローグ版。割り込み自由な非ターン制バトルがスピーディーで面白い。カードも使い捨てで、デッキビルドというよりもここ数年トレンドのオートバトルの系譜という感じ。派手なエフェクトとユーモアに富んだテキストが小気味よい。流行りそう。
Vampire Survivors
今年の一世風靡ゲー。キャラオーバーの制限から解放されたTD系RTSの面白さは『まもって騎士』で感じたことはあったけど、そこへさらにビルドの要素を詰め込んで新ジャンルとして確立させたのは本当にすごい。オートバトル系は難化複雑化したジャンル(ソウルライク、ヴァニア、デッキビルドなど)へのカウンターカルチャーだと個人的に感じていて、プレイヤーが関与できる要素を絞り込んだ上で、クリッカー系と比べて自らの選択によって達成感を得られるゲーム性を残しているのが流行の要因になったんじゃないかなとか思った。
■パズル
Superliminal
視覚トリックを用いたパズルADV。プレイヤーを気付きに誘導させるための絶妙な動線と、その上で(文字通り)どんでん返しを仕掛けてくるトリックに絶句。裏切りがうますぎる。ジェットコースターで落ちる瞬間の浮遊感みたいなのが意識の外からやってきて、三半規管根こそぎ持ってかれたような感覚になった。プレイ動画とか一切見ずにとにかく自分の手で体験してほしい。古来からのトリックアートのユーモアを、現代のインタラクティブとして鮮やかに昇華させた人類史に残るべき名作。
inbento
お手本に合わせてお弁当を詰め詰めしていくパズル。最初は向きを回転させるだけだったのが、位置入れ替え、イチマスずらし、一時取り出し、コピペなどなどルールがどんどん増えていって、先読みの思考力が試される。かわいい見た目とは裏腹に手ごたえのある難易度なので、ちまちま遊ぶ頭の体操にはもってこい。
Neon Girls
なんてことのないすっぽんぽんパズル。DJで使いたくてサントラ目的で買って遊んでいたら身内でプチブームが巻き起こって笑った。HENTAIゲーはたまにサントラが要チェックなタイトルがあって、定期的にディグってしまう。
Cat Lady - The Card Game
ドラフト系ボードゲームライクな手触りのカードゲーム。猫と餌の組み合わせが基本点になり、そこにオモチャやマタタビでボーナス倍率がかかって最終スコアを競い合うというルール。猫飼いとしてカジュアルに楽しんでいたら、ゲームをやめるときに「本気ですか?」「猫たちを置いていっちゃうんですか?」という問いが提示されて本物の圧を感じた。
■アドベンチャー
Strange Horticulture
曖昧なメモやスケッチが書かれた図鑑をもとに草花を特定しながら探索、謎解き、お悩み解決、エリクサー作り、カルト教への入信、儀式の手引き、殺人への加担などをしていくオカルトミステリーパズルADV。あまりにも手触りやモチーフが魅力的すぎて熱中した。穴の開いたコインを地図に置いて暗号表と照らし合わせるとか、植物の学名の頭文字と花弁の枚数が座標になるとか、絶対好きじゃん。
GNOSIA
ずっとやりたかった作品。対面人狼のそこそこの経験があった上でのプレイだったのと、同じく人狼モチーフのノベルゲーム『レイジングループ』が好きだったので、最初は思ってたより淡々とCPU人狼してる感覚だった。だから割とロジカルに行動しているつもりだったのに、次第に今回はこいつをからかってやろうとか、今度はこいつと仲良くしてみようとか、そういうロジックに反した動きをするのが楽しくなってきて、今思うと完全に術中にハマってたよね。前のループでクソ騙されてクソ裏切られたのに次のループだと白確で感情モチョモチョになったりもするんだけど、段々それも含めて楽しめるようになってくるというか、みんなで集まってロールプレイしながらわいわいゲームしてるような感覚になってきて、気が付くと全員好きになってた。恐ろしいよこのゲーム。本当に全員好き。いや、強いて推しをひとり挙げるならSQちゃんだけど、とにかくキャラクターに存在感を持たせていくやり方がうますぎる。少しずつ明らかになっていく個性やバックボーンが人狼ゲームの中でのクセに結びついて、最初感じたCPUっぽさが嘘みたいに思えてくる。SFミステリーとしての壮大なトリックも、ループものならではのニクい演出も、このキャラクターたちとだからこそ感動したし、はっきりとした喪失感があった。去年『Inscryption』やった時も思ったけど、来世でもまたやりたいゲーム。
OneShot
ずっとやりたかった作品その2。もはや古典になりつつあるんじゃないかと思うけど、第四の壁演出とギミックには見惚れるね。細かいとこだと最後のアレを歩けたのが感動した。『Doki Doki Literature Club!』でも感じたこことして、こちら側へ語りかけられれば語りかけられるほど、かえってどうあがいても越えられない壁を感じてしまって切なくなるのもお約束。スクショは推しの図書館長。
わだつみのこだま
海の向こうから聞こえる音と同じ音が鳴るものを漂流物の中から探していく涼感ADV。ゲームジャム作品らしい。15分くらいでクリアできてさらっとした味わいなので、がっつりゲームやった後のちょっとした気分転換とかにどうぞ。
Behind the Frame ~とっておきの景色を~
絵描きの短編パズルADV。手触りよし後味よしなので、映画を1本観るような感覚で休日にさくっとプレイするのにオススメ。猫もいっぱい出てくる。
Project Kat - Paper Lily Prologue
2023年1月にリリースを控えた『Paper Lily - Chapter 1』のプロローグにあたる短編ホラー。RPGツクール製の国産フリゲのような手触りで、言わば『Ib』とか『魔女の家』とかの系譜。様式美的な凄惨エンドも含め安心して楽しめる。キャラクターがしっかりしていて、雰囲気重視で考察させるタイプではなく、わりとちゃんと語ってくれる作りになっていたのは個人的に好感触。
NEEDY GIRL OVERDOSE
ネットミームと美少女コンテンツのハイコンテクストな引用にまみれた現代フィクションに対して、あるいは承認欲求と躁鬱の狭間でがむしゃらに生きているあめちゃんというひとりの人間に対して、憧れを持ったり気持ちが楽になったりする人がいて、本気で苦しんでいることを軽く扱われたり馬鹿にされているように感じて傷ついたり憤ったりしている人がいて、バズったり燃えたり真剣に批評されたりしているのが、めちゃめちゃ自然で健康的で痛快で、自分は10代の頃のトラウマで死生観が死んでて、フィクションの中でそういうのがキャラクターや舞台装置として必然として描かれた上でエンタメ然とした表象になっているのが本当に好きで、もっとぶっちゃけると当事者にとっての極めてシリアスな死が当事者以外(残されたキャラクターもしくはプレイヤー)に向けての最大級の自己顕示になっている現象がたまらなく好きで、最大の賛辞として最低の発言をするけど本当に死なないとできないことと死なれないとわからないことはあるからこれだけ研ぎ澄まされたフィクションの中で真剣に死んでくれるのが嬉しいし、全員違う悲しみや怒りや喜びがある中で、あめちゃんが自分の悲しみや怒りや喜びをむき出しにして、これだけ注目されて愛された人になって、売れに売れた作品になったのが最高だよね、よかったよね。
■シミュレーション
Graveyard Keeper
墓守ライフシミュ。定期的に運ばれてくる死体がリソースの源になっていて、人肉を食ったり売ったりは当然のこと、臓器を錬金術の材料にするもよし、ゾンビにして労働力にするもよし、火葬という名の証拠隠滅をしたあとは灰をインクにして経典(もちろん紙は死体から剥いだ皮膚でできてる)を書けば信者からがっぽり金儲けもできる。およそ冒涜的と思えるあらゆる行為がこのゲームではセオリーになっていて、墓守とは何なのかレベルでやることが多い。しかも全部相互に影響し合うので、どれかひとつが詰まると他が進まなくなったり、逆にひとつ達成すると一気にできること増えたりで目が回る面白さ。今日は広場で火刑の日だ、ビールが売れる、みたいなぶっ壊れた倫理観になれるのもいいところ。
PowerWash Simulator
ドリル洗えるとかわかりすぎてるわこのゲーム。ドリル洗いたくない人間なんてこの世にいないからな。
Placid Plastic Duck Simulator
マルシンハンバーグのプロパガンダ。
たこパ サバイバル
オンラインマルチでプレイしていて、具材を持った同士がお見合いになったときに訪れる、緊張の中全員が生地を待つ一瞬の間がたまんないよね。
Tumbleweed Destiny
『古銭プッシャーフレンズ』でも思ったけど、クリッカーをマルチプレイにしてレイドバトルさせてんのバカすぎて大好きなんだよね。シチュエーションが意味不明であればあるほど芸術点高いみたいなバズりの美学がある。
Mindustry
ほぼ『Factorio』。油断すると一瞬で崩壊するのは『Kingdom: New Lands』とか『Ratropolis』を思い出す。とにかくコンベア繋ぎまくってるだけで楽しいし、キモキモ生産ラインを眺めながら一晩中ニヤニヤできる。
■RPG
Ikenfell
魔法学園モノのRPG。戦闘はグリッド上に敵味方が配置されてわちゃわちゃするタイプのタクティカルシミュ系で、『スーパーマリオRPG』のような攻撃タイミングに合わせたアクション要素がスパイスになってる。世界観はファンタジーだけどすごく現代的な視点で性の多様性が自然とキャラクターに落とし込まれていて、決してそれをテーマにするまでもなく、彼ら彼女らの行動原理やドラマに魅力を与えている作りに新しさを感じた。感情があっちこっちいきながらも天真爛漫に振る舞って好意を表現するギルダ(属性が雷なのもいい)が特に好き。
Floppy Knights
『Dicey Dungeons』のデザイナーがアートワークを手掛けたステージクリア型のSRPG。デッキビルドといえばそうだけど、ランダムピックやローグライクの要素はなくて、あくまでパーティー編成とコマンド選択をカードでやっている感じ。遊びとしては自由度の高い戦略を楽しむというより、持ち込む駒から考えていくタイプの詰め将棋パズルに近いかも。
■アクション
Going Under
ポップでキッチュな見た目のダンジョンクロウル。憧れの最先端飲料ベンチャーにインターンで入ったら、倒産して呪いを振りまく近所の会社でモンスター退治をさせられるというブラックなストーリー。そこらへんに落ちてる文具やパソコンから謎のオモチャまでなんでも装備できるんだけど、武器や敵のモチーフがいちいち面白くて、風刺が効いるのが楽しかった。特にツボったのが仮想通貨ベンチャーの鉱山ダンジョン。ブロックチェーンがブロックをチェーンで繋いだものとしてあるの、よすぎんか。
Witch Explorer
魔女っ娘タワーディフェンスシューティング。ノンストップで進行するステージで自機操作しながらショット、設置、強化、回収、弾避け全部同時にやるのでなかなか忙しい。拠点には自由に戻れて永続強化もできるので、アーケードライクではなくじっくり遊べるレベルデザインのカジュアルRTSという感じ。リザルトでサイハイの絶対領域を見せるアングルで飛んでくれることと、メシがうまそうなのが推せる。
Rhythm Doctor
リズムに乗って様々な悩みを持つ患者に心理療法を施していく音ゲー。ノリとゲーム性は『リズム天国』シリーズに近い。アクションは基本的に一貫しているものの、ベースミュージックを主体にあの手この手のリズムパターンと演出で攻めてくるのが楽しい。終盤ステージのグリッチ的な画面演出には度肝を抜かれた。『Muse Dash』や『UNBEATABLE』とのコラボステージもあって、再現性が凄まじいので元ゲームを知っているなら一見の価値あり。
Melatonin
チルアウトミュージックに合わせてゲームや筋トレやマッチングアプリに興じながら、ユニコーンカラーの夢世界を巡っていくリズムアクション。数ステージごとにこれまでのルールが矢継ぎ早に切り替わるいわゆるリミックスステージが用意されていて、ユーモアに溢れた演出とカオス感からは『リズム天国』の遺伝子を強く感じる。一方で本作はどちらかというと視覚情報が重視された設計になっていて、かの「ハッハーイ」とか「テキパキどっかーん」のような単純明快な掛け声は本当に偉大だったんだなとも気づかされる。
おしまい。趣味でゲーム音楽DJもやっているのですが、今年はSteamゲーの曲だけを繋いだノンストップDJミックスなんかも作ったりしていました。3月にやったオンラインイベントで一度お披露目して、最近YouTubeにもアップしたのでよかったら聞いてみてね。ほぼゲームの話しかしてないTwitterもよろすこ。
正月休みは積みゲーに捧げます。よいお年を。