社会人1年目の読書感想文#4「きみはポラリス」三浦しをん
自分にとって何が大切で、何をこれから目印にして生きていくのか
ふと悩む時がある。
誰かを好きになることは、きっと永遠ではないし
何かを続けたいと思う気持ちもまた、永遠ではない。
でもそのたびに一つ、輝く特別な光があれば
それさえあれば、変わらずに大切に思い続けられるのだろう。
「きみはポラリス」
何度も題名は聞いていたし
読もうか、と思ってそういえば図書書簡で借りたこともあったのに
結局読まずに返却した思い出がある。
この本は、11の短編小説が掲載されていて
11人(?)の「恋」の定義を感じることができる。
結論から言いましょう。
恐ろしいほど今の自分には理解外にある恋が山程あった。
5つくらいは想像できる「恋」だった。
誰かを大切に思う気持ちだったり
心がじわじわと
例えるならば焼く前に食パンにバターをたっぷり乗っけて
それをトースターで焼いているのを眺めているような
そんな「恋」
残りは、もう突っ込まずにはいられないほど何が恋なのか
どうしたらそこに恋が?
と思わずにはいられない。
今の自分にとっては、とにかく「理解外にある情動」のことを「恋」と定義していた。
何も理解できない。
でも、きっと「恋」とはそういうものなのだろう。
『人は生まれながらにして、恋を恋と知っている』
というワードに惹かれて手に取ったこの本
みな恋を恋と知っているのではなく、
初めて強く激しい情動を得たとき、
その相手やもの、原因を思う特別で新しい気持ちを
恋と定義するのではないだろうか。
だからこそ、毎回毎回「これは本気の恋だ」とかいう
気持ちに陥るのではないだろうか。
バターが溶けていく様も、
締め付けられる胸の様も
すべて、個人が定義した恋を
だれかが自分の経験に置き換えて味わう恋のことなのかもしれない。
ポラリス、とはきっとその情動のことなのだ。
中毒気のあるあの情動を
次、また同じように得るための
一つの目印のことなのだと。
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