神怪小説、神魔小説とは
神怪小説、神魔小説とは
中国古典の神怪(神魔)小説というのは、中国古典小説のうち、主に明代・清代の古典小説で、神仙などが主題となっているもののことです。
魯迅が『中国小説史略』という本で、「神魔小説」という言葉を使って、初めて分類されました。その後、孫楷第が『中国通俗小説書目』で「明清小説部 霊怪」に分類しました。
神魔小説と呼ぶことも、神怪小説と呼ぶこともありますが、このノートでは神怪小説で統一させていただきます。
神怪小説のはしり『平妖伝』について
神怪小説のはしりは、『平妖伝』です。
『三遂平妖伝』は、『三国志演義』で有名な羅貫中が最初に二十回にまとめて、それを明末の馮夢竜が四十回に書き直したとされています。
画像は、『墨憨斎批点北宋三遂平妖伝』(国立公文書館蔵)の挿画です。右ページに、豆と藁を人馬に変えて戦わせる、有名なシーンがあります。
『平妖伝』は、日本でも江戸時代から好んで読まれてきました。
翻訳も複数出版されています。訳本としては、解説が充実している中国古典文学大系 『平妖伝』
佐藤春夫訳で手軽に読める、ちくま文庫版 分二冊 上 下 などをお勧めします。
二十回とか、四十回とかいうのは、当時の小説は、多くは章回小説という、続き物の形で書かれていたためです。読者は、一回ごとに、「続きは次回をお読み下さい」といった言葉で次の回に導かれます。
そして、明代当時、小説は、基本的に個人作家が独自に創作したものではなく、書き継がれ、編集を経て形を変えていくものでした。このため、二十回本と四十回本では、だいぶ趣の異なる小説になっているのですが、どちらも『平妖伝』ということになります。詳しくは、中国古典文学大系 『平妖伝』の解説をお読みいただければと思います。多くの図書館に置いてあるはずです。
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