短歌30首連作｢あぶく｣

朝日浴びふわりと風受けてなびく春色のAラインスカート

お味噌汁に浮かぶネギの小口切りみんな揃ってBの形

CCレモンとはしゃぐ声 いつの時も変わらぬ手遊びの形

｢リモコンにDボタンが付く瞬間を見に行く時間旅行｣￥30,000

子供の頃からスポーツはてんでダメですもちろんeスポーツもです

登校班君がぼくを呼びに来る声はいつもfff(フォルテッシシモ)

君の弾くひどくかすれて不安げな『G線上のアリア』を聴く午後

アルバムの空撮写真 懐かしい顔とHの形の校舎

初めての街にiの文字 右も左も分からぬ私の道標

母の日コンクール『おかあちんいつもありがとう たなかＪょうた(5)』

あそこにもここにもそこにも音もなくひっそりといるKの文字

棚の角についてるL字のクッションのようにささやかな君の優しさ

僕と君の心の距離は何m 近づいてみても離れてくばかり

1キロは10Nだと習いましたこれもゆとり教育でしょうか

｢手書きだとOと0は似てるから｣とメアドの0を0̸と書いてた

四角い所を丸く掃く君のオムライスに刺さる旗はPの形

君は最後に大きなQを投げかけて僕の前から姿を消した

君は多分日本一R-1ヨーグルトの可能性を信じてる

いくつものS字カーブを越えた先 ラスボス“お義父さん”の待つ家

君の着てるTシャツはいつもかっこよくていつもちょっとだけ大きいサイズ

口元がにんまりUの字になっている 相当いいことがあったらしい

いつも教室の隅に居る無口な子の集合写真での控えめなV

旅行先カメラのレンズ越しに見る屈託のないWピース

君はかなり適当な人だったから‪✕‬をXで代用してた

君が躊躇いながら見せた誰に見せるほどでも無いY字バランス

ねるまえにパパにえほんをよんでもらう 5ふんごきこえるZZZといびき

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話しかけられあやふやなまま答え ？飛び交うエレベーター内

アポストロフィ なんとかっこいい名前 みんな｢ちょん｣って呼んでるけど

残り2分 一心不乱に書き綴り最後にそっとピリオドを打つ