#短歌
うたの日に出した短歌99
10/22 題「ぶれ」
掃除しに息子の部屋へ ゴミ箱を見ると書き損じたラブレター
10/23 題「盗」
泥棒に盗まれたんだと思いたいほどに口座がすっからかん
10/24 題「絡」
複雑に絡んだ自律神経を解けないまま夜が更けていく
10/25 題「鍵」
宝物に鍵掛けてしまっといたのにその鍵を入れた箱の鍵がない
10/26 題「魚」
誰からも好かれたいのにうっすらと嫌われている君という魚
うたの日に出した短歌96
10/7 題「追」
液晶をじっと睨んで米5キロの行方追跡する日曜日
10/8 題「旅」
やけにでかい旅行かばんを乗せて山手線はぐるぐる回る
10/9 題「特」
昨日まで変哲もなかった道が今日は特別眩しく見えた
10/10 題「自由詠」
秋はいつも急にふらっと現れて死に体のスイカフラッペ残る
10/11 題「十」
君が十数えてパンと手を叩く そしたら全部霞になるよ
うたの日に出した短歌95
10/1 題「有/無」
ネットでは嘘と真が混ざり合う 敢えて見上げる無月の空
10/2 題「慰」
ただ酒を飲みたいだけの上司らに引き連れられて慰労会へ
10/3 題「晴」
1Kに半額シールと発泡酒 晴海埠頭の先にある光
10/4 題「好きな都市」
絶望も希望も全てがあるけれど富士そばだけがない錦糸町
10/5 題「好」
好きな物は好きと言える人でいたい モスでひとりごつ ティーサングリア
うたの日に出した短歌94
9/26 題「長」
ミルクプリン 秋の夜長の寂しさの緩衝材としてひとすくい
9/27 題「鈴」
心ここに在らず 半開きの君の口に鈴カステラを放り込む
9/28 題「土」
ズムサタを消して会社に行く俺はこの世の全てを殺す目でいる
9/29 題「肉」
胃に穴が空きかけている ミノハチノスセンマイギアラ全部焼いて食う
9/30 題「月」
長い夜の寂しさ全部混ぜて焼く満月のようなホットケーキ
うたの日に出した短歌93
9/20 題「書」
書は人の心を映す 虚勢だけ1人前で気が小さい字
9/21 題「欲」
欲張ってフラッペにする クリームと甘ったるさで辟易とする
9/23 題「紅葉」
天ぷらを食べてから私の中で紅葉狩りの意味が変わった
9/24 題「自」
各々の自由帳をば開きたる 四角四面の自由が並ぶ
9/25 題「落」
あの木から最後の葉っぱが落ちたとて君は死なない 盲腸取れたし
うたの日に出した短歌91
9/8 題「バス」
殿様になった気分を味わえる一番後ろの真ん中に座る
9/9 題「九」
廊下には2年生の声が響く 7の段でみなつまづいている
9/10 題「自由詠」
数時間前の雨の匂い運ぶ エレベーターはタイムカプセル
9/11 題「梨」
涼むため入った駅のスーパーででかい梨ひとつ買って出ていく
9/12 題「柿」
年の暮祖母が毎年大量にくれる干し柿 指まで美味い