「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」を読んだ
初めて、韓国の小説を読んだ。
外国文学は、登場人物を把握できなくなるので苦手意識があったのだが、
この本が書店についてであるようだということと、表紙がとんでもなく可愛いということで、手に取った。
どんな文体なのだろう、結構分厚いけど読み進められるかな・・・とパラパラと中を読むと、ぐぐっと引き込まれた。
登場人物の考え方や、過ごし方がまさに自分が求めている世界で初めてハリーポッターを読んだときのような感動があった。
自分もこんな風に暮らして、「食事のように」働きたいと思った。
と、同時に現実に待ち構えている自分を傷つけうる人たちの存在に合流して疲弊するのが怖い、とも思う。
作中でも、人格者で仕事ができる主人公でさえも読書を通じて感情を慰める場面もあったり、面倒なお客さんがいないわけでもないような瞬間もあるけれど、物語はそこにはあまり注視しない。
仕事中の対人関係の悩みがあまり出ないで話が進んでいくのを読むと、私としては、仕事での苦悩とうまく付き合えていて大人だなあと思うし、自分は果たしてこんな風になれるのだろうかと読んでいて焦りもある。
主人公は、いろんな葛藤などもある中で、愛する本を人々に届けて、書店という環境を人々に届けるために不器用ながらに(私からするとだいぶ器用に)試行錯誤をしていく。
当初、意思や情熱に意味を求めないと言っていた主人公も、自分の心や周囲の人たちから応援されながら変化していく。
その変化は私(現在無職)には、自分にまだその変化が起きていない分刺激が強い。私は昨日、久しぶりに前職について切ないような恥ずかしいような苦しいような夢を見た(笑)
とはいえ、全員が主人公のようなスピードで変化していくわけではないので不安にならないで(?)いてもらいたい。
主人公の背中が眩しく、遠くに行ってしまったように見えた後にも私の肩の隣にいてくれるキャラクターたちがいる。
きっと、この本はこの後も何度も読むたびにいろんなキャラクターの隣に私が並んだり、追いかけたり、振り返ったりすることになる気がする。
良い本に巡り会えて幸せだ。
この本を通じているメッセージは「目の前のことに集中すること」
あとがきを読んで大変納得したのだが、著者がこの本でイメージしていた空気感は私が大好きなものたちだった。
あくまで、フィクションでは、ある。
だとしても、私自身、自分の中の方向キーを点検をしたくなった時には、またこの本を開けばいい。自分の「アジト」になるような場所と出会えたことを幸運だなと感じる。
最後に、今の自分が心地よいと感じる方向をミンジュンが言っていたので備忘録的に書いておこうと思う。
感謝できる人間であるということが成功した人生、ということなのかなと今現在の私は捉えている。
周りを傷つけることも含めて受け止めて、その上で感謝する、本当に修行のようなことだと思うけど、そういう方向に進んでいきたい。
装丁の表と裏が、夕方と夜遅く(?)で光の感じが変わっているのも素敵。
街中にこの書店の明かりがあるということはこの街の財産だなあと思わせる装丁で大好きだ。