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【ホワイトペーパー付き】初めて作る人事評価制度~準備編~

こんにちは!「すごい人事(※)」情報局のゆいです。

組織が成長してきて社員数が増えてくると、経営層が直接接しない社員が増えてきますよね。そのタイミングになると、社員側から自分の処遇に対する不満が出てくることがあります。
人事としては、経営者の評価を透明化して、なるべく社員に納得してもらえるような制度を作る必要を感じると思います。

人事評価制度を作り始めてみようと思う方へ、制度を作るための準備ができるような情報をお届けしたいと思います。
今回はホワイトペーパーもありますので、ぜひご活用ください!

※すごい人事…「内発的動機」でイキイキ働ける人が増える「強い組織」づくりができる引っ張りだこ人事!

【このシリーズを読んでほしい人!】
・初めて人事評価制度を作る人事担当者、経営者の方
・社員が増えてきて人事評価が必要な気がしているが何をしたらいいかわからない人事担当者、経営者の方
・とりあえず人事評価制度を作ってみたけど不安な人事担当者、経営者の方

【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・明日からすぐ人事評価制度作成に取り掛かることができる
・人事評価制度を作るフローがわかる
・人事評価制度を理解できる

人事評価制度を作る目的

人事評価は、会社が各社員のことをどのように評価しているかを伝える手段の一つで、昇進昇給に関わるので、社員のモチベーションを大きく左右する制度となります。そのため、何のために人事評価制度を作るのかを明確にしていないと、社員に納得してもらえる説明ができないので、作成する目的を社内ですり合わせしておきましょう。
よくある人事評価制度を作る目的は次の3通りです。

①企業のMVVを伝えるため

人事評価制度は、組織のMission(使命)、Vision(ビジョン)、Values(価値観)を具体的に示す手段として活用されます。「行動評価」と呼ばれる、企業の価値観を落とし込んだ行動ができているかを評価する制度を用いることで、社員が自社の目標や方針を理解し、それに合わせて行動するための基準を提供し、企業のMVVを社員の行動に浸透させることができます。
例えば、株式会社10Xさんは3つのバリューの発揮度を行動評価項目にして、社員の等級に紐づけています。

②処遇を決める根拠にするため

人事評価制度は、給与や昇進などの処遇を公平かつ透明な方法で決定するための基盤となります。処遇を決める基準が無かったり公表されていなかったりすると、経営者のさじ加減で決められていると思われ社員の不信感に繋がります。成果や貢献度に基づいて報酬を設定し適切に運用することで、社員のモチベーション向上と組織のパフォーマンス向上が期待できます。

③人材育成の方針を示すため

評価制度は、社員のスキルや成長の方向性を明確に示すために活用されます。人事評価制度に紐づいた人材育成制度を作成し、社員は会社で活躍するためのスキルや経験を得て昇進昇格に繋げていきます。闇雲に人材育成するのではなく、自社のMissionを達成するために必要なスキルに焦点を当てて計画するためにも、基となる人事評価制度は必要となります。

人事評価制度を導入するタイミング

人事評価制度の導入タイミングは、経営者が直接把握できない社員が入ってくるタイミングがおすすめです。一般的に、社員数が20~30名程度に達した時が考えられます。経営者が直接社員を把握していたときは、経営者と社員とでコミュニケーションが密に取られていましたが、把握できない社員が増えることで社員の情報量にバラつきが出てしまい評価ができなくなります。

また、評価する業務も下部レイヤーへ委譲する必要が出てきます。そのためこのタイミングでは、組織の文化や価値観の定着を支援し、社員の成果を評価・報酬に反映させる機会を提供する必要があります。

人事評価制度の作成の流れ

①自社の現状把握

評価制度の作成には、まず自社の状況を徹底的に把握することが必要です。組織の規模、業界、文化、成長段階などの要因を考慮して、評価制度の目的と方針を明確化します。どのような価値観や行動が組織にとって重要であるかを理解し、それを基盤にして評価制度を構築します。

②人事評価制度の目的を決める

自社の状況を踏まえて、評価制度の目的を具体的に定義します。目的を社員に説明できないと不満の種になりがちです。よくある目的は先述した3点なので、参考にしていただければと思います。

③評価方法を決める

評価制度の核となる評価方法を決定します。定量的な評価方法として、KPI(Key Performance Indicators)や数字に基づく成果目標を導入することが考えられます。一方で、定性的な評価方法として、社員の行動やスキルを評価する行動評価を導入することで、組織文化に適した振る舞いを促進します。大切なことは、会社の希望だけを社員に押し付けるのではなく、社員のキャリア支援もできるような目標を設定し評価できる方法を導入することです。何のために評価制度を導入するかを立ち返りながら検討していきましょう。

④評価基準・評価項目を決める

評価の基準となる要素を明確に定義します。具体的な評価項目や成果の達成度などを決定し、これらが評価にどの程度影響するかを設定します。異なる役割や職務に応じて、評価項目をカスタマイズすることが重要です。とくに、定性的な評価基準は人によって解釈が異なってしまう場合があるので、社員に丁寧に周知することが大切です。

⑤評価するためのルールを決める

評価プロセスをスムーズかつ透明に進行させるためのルールを定めます。評価の頻度(年次評価、中間評価など)、評価者の選定基準、評価結果のフィードバック方法などを設定します。評価者と被評価者の役割や責任も明確に定義し、公平な評価を実現します。ルールが不透明であったり、評価者が信頼できない人物であったりすると、社員のエンゲージメントが下がる要因になる可能性があるので、評価制度を運用する上でルールの周知徹底と評価者教育が必要です。

⑥シミュレーションをする

評価制度を実際に適用する前に、シミュレーションを行います。架空のケースを通じて、評価プロセスの流れや評価結果の算出方法を確認します。制度設計をすることはかなり大変なので完成したらすぐ運用したくなりますが(笑)、ロジックは完璧に思えていても、運用してみると想定外の結果になることも多々あります。初めて評価制度を作るスタートアップ・ベンチャーだと時間に追われていると思うので、簡単にでもシミュレーションした後、ブラッシュアップ前提で運用しながらフィードバックをもらって改善していくと良いでしょう。

⑦社員へ制度説明・運用スタート

評価制度を社員に説明し、運用を開始します。社員に対して評価制度の意義や運用プロセス、フィードバックの重要性をわかりやすく伝えることが重要です。透明性とコミュニケーションを確保し、制度の運用が円滑に進むようサポートします。
ただし、誰もが納得する完璧な評価制度は無いと私は思っています。社員から様々なフィードバックが出てくると思いますが、全ての希望を叶えようとするのではなく、評価制度の目的に立ち返り、目的が達成できるようにブラッシュアップしていくことが大事です。

このように、評価制度の作成には組織の特性に合わせた計画的なプロセスが不可欠です。各段階を丁寧に進め、社員のモチベーション向上や組織の成果を最大化する制度を構築していきましょう。

人事評価制度を作るために必要な情報

人事評価制度を設計する際には、以下の情報を収集し統合することが重要です。これらの情報を基にして、組織に合った評価基準やプロセスを構築することが可能となります。

①企業のMVV(Mission, Vision, Values)

企業のMission(使命)、Vision(ビジョン)、Values(価値観)を言語化することで、評価制度が組織の方針に適合するよう設計できます。MVVを反映した評価基準や行動指針を組み込むことで、社員の行動と組織目標の連動を促進します。もしまだMVVを作っていない場合は、MVV作成から取り掛かることをおすすめします。

②社員の現状と期待役割

組織内の各社員のスキル、期待される役割、会社やチームへの貢献度を把握することが必要です。現在の組織の状態と目指す組織の状態を比較し、伸ばしたい箇所が評価されるような制度を作ることで組織の成長を促進します。また、現在評価されている社員を分析することで、評価基準を言語化する助けにもなります。

③各職種の市場ニーズ

給与設定や報酬体系に影響を与える要素として、各職種の市場価値を調査します。同業他社や産業全体の動向を分析し、適切な報酬レベルを設定するための基準とします。給与水準が同業他社を下回りすぎてしまうと、どんなにいい制度・組織であっても離職に繋がったり採用ができないことに繋がります。

④評価方法の種類の把握

定量的な評価方法(KPIや成果目標)と定性的な評価方法(行動評価やフィードバック)の種類を理解します。組織の文化や評価目的に応じて、適切な評価方法を組み合わせることで、総合的な評価を実現します。

これらの情報を収集し、徹底的に分析・評価することで、組織に適した人事評価制度を構築する基盤ができます。情報収集段階での正確なデータや洞察は、評価制度の公正性や効果を向上させる重要な要素となります。

必要情報の集め方

①企業のMVV(Mission, Vision, Values)

MVVを作成してある場合もそうでない場合も、一度使ってみてほしいフレームワークがあります。「マッキンゼーの7S」というフレームワークで、アメリカの経営コンサルティング会社マッキンゼーが提唱している組織分析をするための7項目です。
7Sは、組織の3つのハード要素と4つのソフト要素の頭文字を取っています。

<ハード>

戦略 (Strategy): 組織の長期的な目標、計画、戦略。組織がどのように競争し、成功するかを指定します。

組織構造 (Structure): 組織の階層構造、役割、責任、権限などの形式的な要素。組織の中で情報や権限がどのように流れるかを示します。

システム (Systems): 組織内のプロセス、手順、ルーチン。組織が日常的に業務を遂行し、意思決定を行う方法を指定します。

<ソフト>

スキル (Skills): 組織の従業員やチームのスキル、専門知識、能力。組織が必要とするスキルセットを示します。

人材 (Staff): 組織の従業員、役員、リーダーシップチーム。組織の人的資源に関連する要素を指定します。

スタイル (Style): 組織のリーダーシップスタイル、文化、価値観。組織内のコミュニケーションと振る舞いに関する要素を示します。

共通の価値観 (Shared Values): 組織の共有された価値観や信念。これらの共有された価値観が組織の行動と方針に影響を与えます。

この要素に沿った質問を組織内の異なる関係者に対して調査し、それぞれの要素に関する情報を収集することで、組織全体の評価と分析を行うのに役立ちます。

②社員の現状と期待役割

経営者目線での社員分析は7Sで分析できるので、社員と面談して社員側から見た自身の立ち位置や組織について調査していきます。社員のキャリアビジョンをヒアリングすることで、自社の社員がどのような価値観を持ち、普段どういう行動をしていて、将来どうしたいのかを確認することができます。大変ですが、手分けしてでも全社員と面談できるとベストです。

ヒアリングシート例(DLできます)

③各職種の市場ニーズ

各職種の市場ニーズは他社の求人票を調査することで把握できます。同業他社が利用していそうな求人媒体を使って調査すると、自社の立ち位置がわかりやすくなります。同職種であっても、スタートアップ・ベンチャーと大企業とでは給与体系が異なるので、同規模・同業種の企業で比較することをおすすめします。

④評価方法の種類の把握

何をどのように評価するかによって、評価方法が異なります。評価制度を導入する目的を達成するためにどの手段を使えばいいのかを判断するには、様々な評価方法を知っておくことが大事です。
私が参考にしているのは、壺中天の坪谷邦生さんの図です。

壺中天「成果は測れても、能力や意欲は測り難い。日々の行動をよく「見る」こと」

評価の対象と、定量的に評価できる項目・定性的に評価できる項目に分けて整理して情報をキャッチアップしましょう。

内製化が難しそうな場合は人事業務委託に頼るのもあり!

自社内でできる人がいない、人事担当者はいるけど制度づくりのプロではない、といった課題に対し、スポットで成長企業での制度づくり経験のあるプロ人事に入ってもらうことも選択肢の1つです。
大手企業であればステークホルダーが多くなるため、しっかりとしたコンサルティング形式で入ってもらうのもおすすめですが、まだまだ成長過程の企業で改訂していくことを前提にする場合、フットワークの軽いプロ人事に、貴社の1人事メンバーとしてプロジェクト的に入ってもらうことも可能です。

Crepeでは「すごい人事パートナー」に人事制度設計経験メンバーがおりますので、まずはお気軽にご相談ください!

組織分析シート例

ここまで読んでいただきありがとうございました!

ライター:西田ゆい
名古屋の老舗企業とベンチャー企業で人事を経験後、独立してフリーランスの人事になる。現在は5~6社に入り、採用・労務・組織開発など幅広い業務を担当している。「誰もが楽しく働ける社会へ」を個人ミッションとして日々邁進中。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe
Crepeでは、「人事が変われば、組織が変わる」というコンセプトのもと、
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