【EXな1on1シリーズ ♯4】「組織」に関する質問例
こんにちは!<Well-being>トレンド情報局の山越です!
今回も前回に引き続き、EXな1on1シリーズをご紹介したいと思います。
バックナンバーはコチラ↓
①「【EXな1on1シリーズ ♯1】実施の共通認識が最重要!
②「【EXな1on1シリーズ ♯2】「業務」に関する質問例
③「【EXな1on1シリーズ ♯3】「個人」に関する質問例
0.EXな1on1とは?
EXとは、「従業員体験価値」のことを指します。
UX(ユーザー体験)の従業員版、ですね。
UXが高いとユーザー満足度が上がるように、従業員満足度を高めたいのであれば、このEX(従業員体験価値)を高める努力が必要です。
EXな1on1とは、まさにこの「従業員体験価値」を上げるような1on1という意味。
そもそも1on1を実施すること自体がEX向上に効果的ではあるのですが、正しく実践できなければ、1on1の効果も薄れ、かつ継続性も見込めません。
本記事では、効果的な1on1を実施していただくためにも、「EXな1on1」=「従業員体験価値を上げるための1on1」について、詳しく掘り下げていきたいと思います。
1.あなたの会社では、EXな1on1を継続できていますか?
【~EX(従業員体験)をあげる組織開発 ~1on1シリーズ】
♯1:実施の目的認識が最重要!
♯2:「業務」に関する質問例
♯3:「個人」に関する質問例
♯4:「組織」に関する質問例 ※今回はコチラ!
2.「組織」に関する質問例
2-1.質問例①組織の理念・制度・文化について
メンバーが企業組織の理念や制度、文化についてベネフィットを感じないと、マネージャーがどれだけ1on1を頑張っても、うさん臭さや説教臭さを感じてしまうかもしれません。
エンゲージメントの観点からも、これらに関するすり合わせを様々なタイミングで実施することが大切だと思います。
・入社時や入社経緯などを聴くタイミングにて
個人のWhy(価値観)と組織のWhy(目指すもの)をすり合わせましょう。
✔「仕事をする上で大切にしていることはなんだろう?」
✔「うちの会社の存在意義は何だと思う?」
・メンバーが新しく自部署に異動、もしくは配属されたタイミングにて
自部署の歴史や大切にしてきたこと、所属している人の特徴などを伝えましょう。
✔「今までうちの部署が何をやってきて、何を大切にしてきたかというと・・・」
✔「うちの部署にいる人の特徴は・・・」
・既存の制度やルールについて触れるタイミングにて
文字通り、制度やルールをすり合わせながら、メンバーの認識を確認してみるとよいでしょう。
✔「この社内制度ができた背景を聞いたことある?」
✔「会社が重点をおいている制度は何だと思う?」
・組織の歴史について触れるタイミングにて
事業やサービス、組織構造、人の入れ替わりなど、組織に何かしらの変化があった時にすり合わせてみましょう。
✔「以前も同じように無くなった事業があったんだけど、聞いたことある?」
✔「今回、組織体制が変わったど、実は3年前の体制に戻ってるんだ」
・評価について考えるタイミングにて
評価制度のポイントとその活用方法をすり合わせましょう。
✔「今の評価制度のうち、会社が大切にしているポイントって何かわかる?」
✔「どうしたら評価されるか、社内で評価されている人の事例を考えてみよう」
2-2.質問例②組織の人間関係について
エン転職の2018年の調査によると、転職のきっかけに人間関係をあげた方のうち、どの関係者が影響したかというと、先輩が45%、同僚が22%、直属の上司が18%という結果でした。【※図2】
まさに半径5メートル内にいる身近な人の存在が、良くも悪くも転機のきっかけを生んでしまっているんですね。
人間関係の悩みについての多くは、相互理解不足が原因です。理不尽な人間関係による退職を防ぎたいのであれば、メンバーに影響を与える社内関係者(チームメンバー、役員や他部署の人たち、直属の上司など)について、きちんと対話ですり合わせておくことが大切です。
1万人に聞く「職場の人間関係」意識調査―『エン転職』ユーザーアンケート―より
①チームメンバーについて
周囲の人間関係の悩みや不安を解消し、それにつながる離職を防止することが目的になります。たとえば、日頃のメンバーの様子を観察し、以下のような質問を通して相手の反応を見てみましょう。
普段からメンバーの観察やメンバーとの会話による情報収集があると、対話がより効果的になります。
マネージャーは、1対1だけでなく、チームマネジメントも意識しなくてはならないので、メンバーの人間関係に関心をもち、把握しておくことが重要です。
・変化に基づいた質問
✔「最近あまり外にランチ行ってないけど、どうしてる?」
✔「〇〇さんと仕事で絡むことが増えてきたね。順調?」
・メンバーの視野を広げて成長を支援する質問
✔「チームメンバーで良いなと思う人いる?」
✔「今のチームの課題は何だろう?」
✔「会議でメンバーがもっと活性化するためにはどうしたら良いと思う?」
✔「もっとチームを良くするためにはどんなことができるかな?」
②役員や他部署の人たちについて
会社は、会社で働く人たちの活動によってつくられます。
会社をよく知るとことは、会社で働く人をよく知ることでもあります。
規模が大きかったり急成長著しい組織においてよくありがちな、「最近知らない人増えたね」という話を社員間でされることがあるでしょう。
これに対し、「そうだね」で終わらせるのではなく、メンバーは知る努力が必要ですし、マネージャーは知らせる努力も必要です。
まずは身近な人のことから知り、それから中枢を担う経営幹部の方についての理解を深めましょう。
その人たちのキャラクターや素性を知ることで、組織への親近感が増し、組織の意思決定への共感性も高まります。
また、 マネージャーとして、組織の意思決定に関して思うことがあったとしても、メンバーに共有する際は、良い面を伝えるようにしましょう。
メンバーは、マネージャーが自分の知らない他部署や経営層の状況を教えてくれたことに対して有意義に感じ、思考の質が高まるきっかけにもなります。
③直属のマネージャーについて
多くのメンバーは、マネージャーがどのような仕事をしているか、詳しくは知りません。
大切なのは、マネージャーが「今、こういうことで大変なんだよね」と伝えること。
つまり、マネージャー自らが自己開示をすることです。
マネージャーの自己開示によって、メンバーの貢献意欲が高まり、信頼関係が構築でき、関係の質の向上につながります。
会社が今大切にしていることや、会社の方向性を知る機会にもなり、
さらには、部署の心理的安全性を高め、メンバーも意見を伝えやすくなる、という好循環がうまれます。
他、下記二点もマネージャーとして重要なポイントです。
☑マネージャーが単なる連絡係になっていないか
☑マネージャーはメンバーに報連相をしているか
2-3.質問例③組織の方針について
組織方針をすり合わせることによって、
・メンバーが組織の方向性と業務でのつながりを見出すことにより不安が解消され、業務遂行に充実感を得られる。
・組織の方向性とメンバー個人のキャリアの方向性との合致点を見出すことで、安心感が得られる。
・価値観レベルでの組織とメンバー個人との接点を見出すことで、そこに所属することの誇りが得られる。
組織としては、従業員のエンゲージメントの醸成につながる。
など多くのメリットが生まれます。
毎回の1on1で言及する必要はなくても、入社や異動、昇格、組織として今後の新たな方針が発表された時、マネージャーが参加した会議の内容をフィードバックする時、全体会議の後など、必要なタイミングでメンバーの理解度を確認するたためにも、下記のような対話を行うとよいでしょう。
①各種施策や組織体制について(組織方針から個人不安の解消へ)
メンバーの個々の理解度の確認や不明点をすり合わせ、全体戦略や各種組織施策が自分の業務とどのようにつながるのか、翻訳作業をするつもりで対話をしてみましょう。
②新たに決まった制度やルールについて(組織方針から業務不安や業務改善へ)
施策やルールが導入される際には、背景を丁寧に共有し理解を高めましょう。
導入してからは、実際に体験した上での個人のリアルな感想や納得度、改善について対話してみましょう。
③会社の記事や経営陣の発信について(組織方針から将来のキャリアへ)
自社での可能性を十分知ってもらうために、他事業部やグループ会社などにも興味をもってもらわないと、勘違い離職(ポジティブ退職)が起こりえます。
自組織のことだけではなく、会社全体に視野を広げられるような情報提供をした上で、メンバーの将来のキャリアを確認することが必要です。
④組織状況の進捗について(組織方針から業務改善や人間関係へ)
自分以外の部門や会社全体が今どのような進捗なのか、事業の参入・撤退情報などの話を材料に対話することで、メンバーの視野が広まるとともに、組織の一員としての意識が高まります。
✔「全体数字やプロジェクトの進捗と今後の展開」
✔「新規事業の参入・撤退」
✔「出された企画が採用された理由・不採用の理由」
✔「他部署状況」
4.おまけTips マネージャーは質問の視点を随時変えてみよう
ここで一つの事例をご紹介したいと思います。
Aマネージャーは、Bメンバーに対して、「将来の目標がない、ダメなメンバーだなあ」と頭を抱えていました。
なぜなら、1on1などを通して2年ほどコミュニケーションを取り続けていても、Bメンバーが「自分のやりたいことが分からない」と考えていたからです。
そこで、あるキャリアコンサルタントが、Aマネージャーに対し、
「視点を変えた問いかけをしてみてはどうか?」とアドバイスを送りました。
アドバイスを踏まえ、AマネージャーはBメンバーに以下のように質問してみました。
「自分の将来は置いといて、チームメンバーにどんな貢献ができるかな?」
すると、Bメンバーは、霧が晴れたように自分の考えを語ってきたそうです。
同じような質問内容でも、質問の仕方や視点を変えることで、メンバーからの回答がまったく異なるときがありますよね。
上記事例のように、時にはマネージャーの質問で、メンバーが思考の枠をつくってしまうことがあります。
マネージャーも人間なので、100%の質問をすることは難しいと思います。大事なことは一回の回答ですべてを判断しないこと。
同じような質問も、視点を変えて定期的にメンバーに問いかけることにより、メンバー・マネージャー相互の本質理解につながるはずです。
あるメンバーに対しての1on1評価があいまいだったり、ご紹介した1on1質問例を使用してもいまいちしっくりきていないマネージャーがいたら、上記のようなアドバイスをしてあげると良いかもしれませんね。
5.まとめ
冒頭でもお伝えしましたが、社内でEXな1on1を継続するためにはメンターに「1on1やってね!」と丸投げするのではなく、メンターへのトレーニングや、すぐ実践できる質問例、ノウハウをシェアすることが大切です。
今回含め全4シリーズでご紹介した1on1メソッドや質問例、コミュニケーションポイントなどをぜひ、社内でご活用いただけると私たちも嬉しいです!
※1on1シリーズバックナンバーは記事文頭にてご案内しています。