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未経験の職種にチャレンジする時に参考にしたい人生の先輩達の言葉
1.はじめに
社会人になって今年で11年目になりました。
約6年前に営業職から現在のWebマーケティング職に未経験からチャレンジし今に至ります。
働いている会社は従業員数が1,000名を超える比較的大きい会社ですが、営業職からマーケティング職に職種転換する社員は極めて少なく、
中途社員/経験者ばかりの組織に放り込まれた当初は大変でした。
一方で今振り返ってみると職種を変えることは
最良のキャリアチャレンジだったと思っています。
チャレンジする過程で「本当に職種変更は正しかったのか?」分からなくなり、不安になったこともありましたが、多くの人生の先輩達からの言葉に勇気をもらい頑張れました。
私がキャリア転換を決意する前後で大変参考になったビジネスパーソンのメッセージをまとめてみたいと思います。
今後、職種転換などのキャリアチェンジを考えている方の参考材料になればと思います。
2. 経営学者 楠木健氏の小話「学者の喜びのツボ3つ」
経営学者 楠木健氏の著書『好き嫌いと才能』から引用。
男子元陸上競技選手の為末大氏と対談した際に
出てきた「学者の喜びのツボは3つ」というお話。
記載の通り学者を主語にして話されていますが、ビジネスパーソンが自分の適職を考える時に活用できる内容になっていると思います。
僕のような経営学者の仕事にも、喜びのツボは3つほどあると思っています。
~中略~
川上タイプ
僕はそれを川にたとえていまして、多摩川でいえば、まず、奥多摩のような清流の川上の段階で喜びを見いだすタイプ。これを「川上哲治型」と呼んでいます(笑)。
ちょっと古いですが。僕の同期の仲間で青島矢一さん(一橋大学教授)がまさにそうです。これは、研究の仕事でものを考えていて、自分が理解できた瞬間、つまり、「わかった! そういうことか」という瞬間に最も大きな喜びを覚えるタイプです。
自分がわかったことを論文にしたり本にするのはオマケ。研究者としては、この「奥多摩・川上タイプ」が最もピュアな人たちといっていいでしょう。
川中タイプ
僕(楠木健)はその次の、川中で喜びを見いだすタイプで、「川中美幸型」(笑)。多摩川でいうと登戸とかガス橋あたり。比喩が伝わってないかもしれませんが(笑)。
これは、自分の考えたことを、論文や口頭で他人に伝えて、「あー、なるほどね」とわかってもらうことにビビビビという喜びを見いだす。このタイプは、ある程度、反応というか反響がないと喜びが薄い。
僕は実際に商売をしている人に自分なりの考えが伝わって、超間接的にではありますが、商売のお役に立ちたいというのが仕事の基本的なモチベーションです
川下タイプ
3つ目は、「川下型」。極端なケースでは東京湾に出てしまうタイプ。経営学者ではありませんが、竹中平蔵さん(慶應義塾大学教授)みたいなイメージです。
自分の考えを主張して人に伝わった結果、資源が社会的に動く。ここに喜びを感じるタイプ。
政府の政策に影響力を与え、その政策が実行に移され、世の中が動く──動員される資源の大きさに喜びが比例するというのが、「川下・河口・太平洋タイプ」ですね(笑)。
仕事で嬉しかったこと、面白かった、楽しかった事を振り返った時、喜びのツボ3つ(川上-川中-川下)の内、どれに当てはまることが多いでしょうか。
僕自身は営業・マーケティングなどの職種を経験し先人が考えた理論を実践して事業に影響を与えていく事に喜びを見出すタイプで恐らく川下タイプな気がしています。
自分のタイプを大まかに把握するだけでも、職種適正を考えるヒントになるのではと思いました。
3. ピースオブケイクCXO 深津貴之氏のキャリア形成アドバイス
続いてはUI/UXデザイナーでピースオブケイクCXO深津貴之さんのメッセージです。
Repro社のセミナーに登壇していた深津氏が若手からキャリア相談をされた際に答える内容として語られていた内容。
Saasプロダクトの需要と供給を絡めたようなユニークなキャリア論で個人的に興味深かったです。
深津氏のアドバイスをもっと早く聞いていれば、僕自身が職種転換の決断をもっと早くできていたかもしれません。
セミナーで話されていた内容を抜粋します。僕がセミナー参加時に聞いた内容をベースにテキストを編集しています。
1.自分の人生において1カ所に体重をかけない
1カ所だけに体重かけてしまうと、底が抜けたときにはすべてがなくなってしまう。そういうところに自分の人生や財産を預けない。
2.「スケール性」「アセット性」「横展開性」。この3つが満たされているものから投資すべき
2-1.スケール性
一度うまくいったら、アクセルを踏むことで際限なく伸びていくものかどうか。
2-2.アセット性
一生使い倒せるかどうか、資産としてどれだけ貯まるものなのかということ。
2-3.横展開性
いまとはまったく違う業界に行ったときでも転用できるナレッジやスキルかという観点。
120%違う業界にいっても転用できるナレッジかどうか?自分が現在属する業界が消滅しても大丈夫なような状態にする。
自分をプログラムとした場合、業界・時代と密結合しない状態が大事。なので、cssの勉強は優先順位が低く、意思決定の仕方、分析の仕方は
優先順位が高い。
プログラミングをするにしても、個別の言語の文法は優先順位が低く、オブジェクトやロジックの構築の仕方のほうが優先順位は高いといえます。
つまり、横展開性を意識するということは人生の脆弱性を低くするアクション。
3.誰もルールを知らない環境に放り込まれた時に、動ける力が重要になる
3-1.デザイナーもマーケターも抽象化することが仕事
抽象化力を鍛える為に具象レイヤー⇄抽象レイヤーを行き来する。
3-2.抽象レイヤーとは
情報設計、プロンプト、コミュニケーションの抽象レイヤーを理解していれば、英語分かる人がスペイン語学ぶくらいの流れで動けるのではないか。
4.その業界による解決手段は最終手段
4-1.先に宇宙の法則から考えていく
地方の法則より宇宙の法則から着手・対応していく。
課題の洗い出しは具象レイヤーで徹底的にサービスやプロダクトを触り、気付いたものを出していく。
4-2.深津氏が考える不変の法則例(宇宙の法則)
例えばレスポンスが早いと人は気持ちよく感じる、は不変の法則。
その他、怠惰の法則(すべてのテクノロジーは、人が怠惰になる方向に進化する。3ステップあったものが2ステップになる等)、コミュニケーションコストの最小化(「雑」に運用して最高の成果が返ってくることを人は望む)などなど。
自分の話になりますが新卒で人材業界の営業職としてキャリアをスタートできた事は顧客折衝能力、逆算設計力、実行力を鍛える良い機会になりました。
一方で人材採用市場において営業職経験者は非常に数が多く、差別化も図りにくい印象で、「人材業界」の「営業職」というカードだけで私が仕事人生を走りきるのは、キャリアの脆弱性を高めていると感じていました。
つまり営業職を極めてスペシャリストを目指す訳ではない人間が、明確な目的を持たずに同職種を継続することはエンプロイアビリティ(雇用される力)を下げてしまう可能性があるということです。
深津氏が話している「自分の人生において1カ所に体重をかけない」という話を参考に、自分のキャリアステップを先回りして考えておけると、例えば会社の業績が悪くなった時やフリーランスとして働きだすときにアドバンテージを持った状態で人生を歩むことができるのではないでしょうか。
4.マーケター 森岡毅氏「自分の強みをみつける」方法
最後はマーケティングパートナー刀の森岡毅氏のお話です。
この2~3年で地上波番組に出演することがさらに増えており知名度が増している印象がある森岡氏。
同氏の自分の強みを動詞から考えていくという話は社会人だけでなく生き方を考える学生含めてとても為になる内容だと思います。
あなたの“強み”は、好きな「動詞」の中にある
あなたの強みは必ず好きなことの中にある。自分にとって好きな「~すること」こそが、これまで良い結果をもたらしてきたに違いない。
「名詞」ではない。「動詞」こそが、これまでもこれからもあなたにポジティブな結果をもたらす。つまりそれがあなたの“強み”だ。
-中略-
今まで自分が好きだった「~すること」を実際に書き出してみよう。用意するものは簡単だ。大量のポストイットと、A4程度の紙4枚と、ペンがあれば良い。
サッカーが好きとか、スニーカーが好きとか、そういう「名詞」は要らない。必要なのは「動詞」だ。最低50個、できれば100個くらいの好きな行動を動詞で書き出してみる。
-中略-
書き出した動詞を、T(Thinking/思考)、C(Communication/コミュニケーション)、L(Leadership/リーダーシップ)に分類して、紙の左上にそれぞれ「T」、「C」、「L」、「それ以外」と明記してみよう。
T、C、L、それぞれに、得意な行動があり、向いている職能がある。詳しくは『苦しかったときの話をしようか』に書かれているので、興味のある人は参照してほしい。
自分が好きな動詞を探すというアクションは
新卒就活時に自己分析の一環で行なっていました。
そこから、社会人になっても好きな動詞を探し続けてみるといろいろな発見が出てきます。
新卒時に好きだった動詞がよりシャープな内容に研ぎ澄まされたり、動詞についてくる主語や目的語の内容が年を重ねるにつれて変わってきたり、自分が夢中になりやすいトリガーがどこにあるのか?解像度が高まっていきます。
私の場合はNotionなどのエディターツール、メモアプリ上に自己分析ページを作り自分が好きな動詞をいつでも見返して編集できる状態にしています。
5.最後に
ここまで紹介した内容は自分が営業職から現在の職種に変わった後に学んだ内容ばかりです。
もっと早く知ることができればなと思っており、今回noteで紹介しました。
改めて多くのビジネスパーソンのメッセージを理解して、自分の傾向を理解した上で、人生に対して対策していくのが大切だと思いました。
以上です。