2022ファジアーノ岡山にフォーカス41『Rodo to J1 22~23補強ポイント』Part3(MF編)
FP(フィールドプレイヤー)の中で、DFやFWに比べて、中盤は様々な布陣や組み合わせがあり、強化部や監督の意向がある意味、一番現れやすいポジションかもしれないのがMFというポジションである。ポゼッションを重視するのであれば、やはり中盤の選手の視野の広さや足元の技術が求められるし、守備強度などを重視するのであれば、運動量のある選手や奪取力のある選手が求められる。
また、DH(ディフェンシブハーフ)、SH(サイドハーフ)、OH(オフェンシブハーフ)といったポジションま更に別れた上で、布陣やチームスタイルによって、更に細分化される場合もある。
以上から22シーズンをベースに、何処を上積みしていくのかにフォーカスを当てて、23シーズンへ向けて、サッカーを”継続"した場合という視点で進めていく。または、こういった選手が加われば、チームとしての戦術や戦い方の幅が広がる。より強くなれる可能性がある視点で考えてみました。
それでは、よろしくお願いいたします。
Part3(MF編)
1、ポジション動向
2、シーズン経過
岡山で、初挑戦となる4-1-2-3で開幕を迎えたポジションの中で、フレッシュな中盤となった。アンカーには、本職がSBであるルーキーの26本山 遥を抜擢し、IHには同じくルーキーの14田中 雄大とベテランの27河井 陽介を抜擢した布陣で臨んだ。攻守のバランスに優れ序盤の一つの形として機能していた。IHのプレスも効果的であったことも印象深い。
ただ、岡山への研究と対策が進む中で、ボール保持と組み立ての観点からチームとして安定を求める中で、4-2-1-3のダブルボランチにシフト。そこから有馬 賢二 前監督の4-4-2に路線にシフトする可能性もあったが、8ステファン・ムークを組み込んでいく中で、4-2-3-1の形にもトライ。前から行く形と後で受ける形の両面を意識した戦い方を採用した。
26本山 遥を軸に27河井 陽介を相方にするダブルボランチが、攻守のバランスは良かったが、90分間で戦う上で、27河井 陽介の不在時にどうするかという問題が突き付けられた。結果として、27河井 陽介の負担が大きくなり負傷離脱を余儀なくされた。その間に、岡山の象徴的な存在である6喜山 康平などを試したが、守備が安定した一方で、前へのパワーを出せない中で、得点をなかなか決められず、引き分けが多くなった。
トップ下と2トップの一角のような8ステファン・ムークと右SHの14田中 雄大、左SHの19木村 太哉や10宮崎 幾笑の形で攻撃に移った時の推進力こそあったものの監督の目指すサッカーである前からの守備(4-1-2-3を採用した理由の1つ)で、前でプレーする時間を増やすという意味で、勝利するためにはまだ物足りなかった。
この二つを理由に、3-1-4-2という形に着手。19木村 太哉の長期離脱もあり、左WBに22佐野 航大や9ハン・イグォン、右に16河野 諒祐(SB兼任)という形にシフト。IHの14田中 雄大と27河井 陽介、8ステファン・ムークといった選手に、途中加入の44仙波 大志といった選手も加わった二列目を交えた、ハイプレスをより岡山色を強めた「雉プレス」という一つの完成形に辿り付き、中盤戦で攻守でチームに勢いをもたらした。
アンカーの26本山 遥の守備は序盤から中盤にかけて抜群の存在感を放っていたが、コロナの影響で欠場すると、シーズン途中に完全移籍で獲得した34輪笠 祐士が台頭。守備特化の26本山 遥から攻守の総合力が高い34輪笠 祐士(特にパスワークが26本山 遥より巧い)が、出場機会を掴むようになったが、能力の高い両選手を活かすという観点からあらゆる可能性も模索したが、シーズン中での最適格は見つからなかった。
また、雉プレスへの真っ向勝負を避ける戦い方を選択するチームや雉プレスとの噛み合いが悪い上に完成度の高いサッカーに対して、嵌まらな試合が増えてくると、そのプレスの背後を突く速攻(カウンタ―)に対しての弱さが目立つようになり、これが精神的なダメージとして蓄積し、得点を奪うためにもう1歩、攻守で踏み出す勢いに陰りが見えたことで、良い攻撃ができる回数も徐々に減った。
山形に敗れた試合に象徴されるように、前がかりの布陣の攻守の戦い方を採用する中での中盤という枠組みにおいて、攻守の入れ替えの後のプレーの完成度が甘く、その隙がシーズンを通しての隙として、結局致命的なものとなってしまった。この部分に関しては、来季に向けてチーム編成においての課題(テーマ)として、突きつけられた内容と結果で終えるシーズンとなってしまった。
3、補強ポイント
DH(ディフェンシブハーフ)に関しては、攻撃面の“巧い”選手ではなく、“凄い”選手。テクニックで突破するキープするというシンプルな部分ではなく、感覚でスルーパスを通すことができる選手や攻撃参加して得点を決めることができる選手。つまり、得点に絡める選手であり、その攻撃の主役になれる選手は、必要不可欠である。今季であれば、そのタイプの選手は、27河井 陽介に限られた。
今季のルーキーやベテランの活躍を考えても、年齢や実績を問わず、幅広く選択肢をもって探してでも、最低でも一人は獲得したい。実現できれば27河井 陽介の負担を軽減でき、26本山 遥や34輪笠 祐士をDHだけでなく、SBもしくは、SB兼任CBでの起用を有力な選択肢にすることもできて、今季に関しては、シーズン通して少なかったダブルボランチも一つの有力な選択肢となり、戦い方の幅は間違いなく広がる。
SH(サイドハーフ)に関しては、補強ポイントを挙げにくいポジションとなっている。ドリブルができて、スピードのある選手は、他クラブとの競合になりやすく、岡山の場合は、複数のフォーメーションを採用できるので、特にDF寄りのサイド適正のある選手を獲得するのか、FW寄りのサイド適正のある選手を獲得するかでも違ってくる。
チームをワンランク押し上げるためにも、目玉となる選手に声を掛けて、獲得できた選手を軸にチームを構築するという流れになるのではないか。◯◯な選手というよりは、武器を持っている選手を獲得する優先度は高い。
特に34輪笠 祐士や26本山 遥というDF寄りの対人守備の得意なサイド適正のある選手や41徳元 悠平や16河野 諒祐、24成瀬 竣平といったDF寄りの選手で武器を持っている選手は、揃えることはできていたので、FW適正の高い中盤のサイドの選手を獲得を目指してほしい。MFの補強によっても編成次第では、4-1-2-3に再挑戦できるかもしれない。
OH(オフェンシブハーフ)に関しては、巧い選手が補強ポイント。一つのトラップと一つのパス、ひとつのフリーランがズレるだけで、攻撃が失敗に終わりカウンターのリスクが高いポジション。押し込んだ時間帯や内容で、シュートを打ちながらも得点を奪えず、時間が経過して行く中で、カウンタ―の1本で失点するという要因として、強固な守備ブロックを崩す創造力や技術力が足りなかったシーズンであった。42試合の中で、監督の敗因として単調になったと表現した試合があったと記憶しているが、まさにこういった部分が、チームとして足りなかったことは間違いない。
「雉プレス」を可能とした献身的な守備や積極的に攻守に絡む運動量、プレス・プレー強度などの部分を武器に戦ってきたが、27河井 陽介のように止める蹴るテクニックの部分で、フィジカルの強さをより活かせるパスを出せる選手やテクニックを活かしての持続的な攻撃に移るという部分では、岡山はJ2でも標準レベルであったことで、フィジカルが通用しなかった時に、勝ち切れなかった試合も少なくなかった。その展開の試合でも勝利に変えるためにも“巧い”選手の獲得は、第一に考えたい選択肢と言える。
終盤のベースとしてあった3-1-4-2を強化するためにも、IHの選手からより決定的なスルーパスやドリブルが出来るが出来る選手を補強することで、寄せやマークが最も厳しく、選手の距離感が近い、狭いスペースしかない局面の中では、得点を奪うためには、正確なプレーが求められる。27河井 陽介が、このポジションで、標準のプレーであるかのように、チャンスメークしていたが、実は岡山の中盤において最も足りなかった部分で、そういったプレーができる選手の必要性を27河井 陽介のプレーを振り返る中で、より強く考える部分であり、来季にむけて、クリアすべき課題といえ、ここをクリアできれば、押し込んだ時の決定力増加に繋がり、セットプレーの回数も増やすことも可能となる。
本当であれば、武器があって、巧くて、凄いプレーのできる総合力の高い選手が獲得できれば最高だが、当然ながらそのグラスの選手を岡山が獲得するのは、至難の業である。現実的な選択として、27河井 陽介を連想できるようなJ1のクラブがオファーを出されるような“巧い”選手に絞るのが、現実的な選択肢と言える。
ただ、編成次第では22佐野 航大のサイドから中に主戦場を移すということも考えられるが、J1を目指す上ではやはり、補強が必要と言える。今季に関しては、狭いところでも“通せる・持てる・繋げれる・収められる・合わせられる・決められる”こういったプレーのテクニックの質の高さで試合を決めれる選手が圧倒的に少なかったので、そういったタイプの選手はOHというポジションでは、獲得すべきタイプの選手と言える。
4、MF編まとめ
①DHは得点に絡める“凄い”選手を最低一人獲得。
②SHは、“武器”を持ったFW寄りの選手の充実。
③OHは、崩しの質を高められら“巧い”選手のオファーに絞る。
④理想は総合力が高い選手。
⑤ピンポイントではなく、個性を重視。
⑥ダブルボランチを可能とする選手の獲得。
⑦中盤で、“テクニック”が武器の選手の割合を増やす。
ここまで、補強ポイントを振り返って来て、感じたことは、今季の27河井 陽介のパフォーマンスは、アシストとゴールが少ないものの代えの利かないスペシャルな選手であったという事である。
そして、もう1つ感じたことは、16河野 諒祐のクロスや41徳元 悠平のロングスロー、23ヨルディ・バイスのフィードのように、7チアゴ・アウベスや15ミッチェル・デュークの高さや巧さを、中盤ではあまり活かし切れなかったことは、中盤として、来季への課題と言える。
22佐野 航大のアウェイの新潟戦のような、クロスで15ミッチェル・デュークをアシストしたようなシーンを来季を中盤でも如何に作れるのか。ここにシーズン通して、トライしようと試みていたが、皮肉にもそのゾーンから攻め切れない事で、中盤を省略するとも言えるぐらい高速で前に運べるチームや速いポゼッションのチームに対して、苦しめられた終盤戦となってしまった。
来季は、今季の「雉プレス」の心臓として、前からのプレスで圧倒した中盤の守備だけではなく、攻撃でも岡山のスタイルを確立し、ショートカウンターやパワープレー以外の形を作ることができれば、中盤の守備を”回避”する術を持っているチームに対しても勝てるチームになることもできるはずである。
28疋田 優人のような強烈な右足を持った選手の成長や22佐野 航大の攻守での更なる成長、19木村 太哉の怪我からの復活、26本山 遥が一皮むけて、攻守でより進化、14田中 雄大のプレーの質での安定感をよりアップできるかどうか。来季も新戦力だけではなく、既存戦力や若い選手の今季以上の活躍にも期待できるチームになって欲しい。
MF編を最後まで読んでいただき有難うございました。次回は、Part4は、FW編となります。そちらもよろしくお願いいたします。
文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino
Part1(GK編)は、こちら(別記事)。
URL::https://note.com/suginote/n/nb2c66ac4365d
Part2(DF編)は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nda136cac233f
アディショナルタイム(おまけ)
ファジ造語
参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777
代表作
2021ファジアーノ岡山にフォーカス46
J2:第42節:ファジアーノ岡山 vs ジェフユナイテッド千葉
「有難う有馬さん、有難う椎名さん、有難うファジ」
は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n511a1b501907
筆者紹介
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