2022ファジアーノ岡山にフォーカス41『Rodo to J1 22~23補強ポイント』Part2(DF編)
2022シーズンのJ2リーグにおいて、5番目に少ない岡山の堅守。しかし、問題点や課題も多く、チームとして巧く工夫することで、カバーしてきたシーズンではなかったではないだろうか?
今回のPart2では、シーズン経過で今季を振り返り、補強ポイントに切り込んで行くという形を採用していく。DF編では、主にCBとSBの2ポジションについて、言及していく。
可変式という事もあり、ポジションが曖昧ではあるものの選手登録ではなく、実際のポジションという形で今回のフォーカスではまとめている。
皆さんの考えている補強ポイントに近い物があるかどうか?実際の補強ポイントに言及できているのか。そういった不安はやはりあるものの、客観性を意識し、一つの記事として、作成したので、多くの読んでいただけると嬉しいです。
それでは、よろしくお願いいたします。
Part2(DF編)
1、ポジション動向
2、シーズン経過
岡山史上最も対人守備の強いCBが揃った。期待されたのは、守備面だけでなく、空中戦の強さを活かしたセットプレーでの得点や攻撃参加からの得点であった。しかし、蓋を開けて見ると”前に行く”という意識が高すぎて守備での不安を露呈した開幕戦の失点パターンもあった。
また、チームにロングスローがあったもののJ2での回数で低水準で推移したCK回数。セットプレーの回数の質が高く、得点だけではなく、PKも獲得するなど、大きな武器にもなっていたが、攻撃での持ち味を最大限に活かしきれたかというとそうではなかった。
また、足下の技術に優れているもののアジリティという細かい動きが不得意ということもあり、何度もトライした後からの組み立てというのは、満足な成果をだせることなく、頓挫し断念を余儀なくされた。
SBに関しても41徳元 悠平の攻守でのバランスの良さで大車輪の活躍をしているが、その分負担も大きく、怪我で離脱した時期もあった。右SBの16河野 諒祐も攻撃に持ち味がある選手でありながら、守備機会が多くなったことで、”軽い対応”が目立ってしまった。
4-2-1-3や4-2-3-1、4-4-2を経て、3-1-4-2にシフトした頃には、左から41徳元 悠平、23ヨルディ・バイス、5柳 育崇の形と、左から41徳元 悠平、23ヨルディ・バイス、5柳 育崇、16河野 諒祐の3バックと4バックの可変式システムにより、41徳元 悠平の守備のタスクが増えた分、負担が減ったことで、90分間プレーできる時間が増えた。16河野 諒祐も攻撃でより存在感を発揮できるようになり、クロスからのアシストだけではなく、FKやCKのプレースキッカーとして10アシストを記録した。
また、41徳元 悠平が怪我した時期に緊急補強した24成瀬 竣平は、高さのミスマッチでの失点するシーンこそあったが、足下の技術とパスで崩す構築力で、スタメンの二人には及ばないものの高い存在感を発揮できるようになった。
CBの二人も試合を重ねる毎に持ち味を発揮出来る様になった23ヨルディ・バイスのロングフィードで、前線につける回数も増え、自信もPKを中心に得点を量産。5柳 育崇もセットプレーで得点を積み重ねた。自陣深くでのチームとしてのボールロストでの失点も減らすことができた。守備でもお互いに自重し合うことでバランスがとれた。
一方で、怪我で出遅れた2廣木 雄磨と11宮崎 智彦は、なかなか試合出場を掴めず苦しいシーズンとなった。3番を背負って、今季も高い期待値のあった3阿部 海人も最後まで二人の壁を越えられず出場機会は少なくなっていた。50杉山 耕二も出場は天皇杯の1試合に限られて、シーズンと途中で移籍することとなった。
チームとして、最適格の3バックと4バックの可変式を採用することで、輝いていたDF陣であったが、声出し応援が解禁された中で、コーチングが届きにくくなった影響か、行く行かないの判断が曖昧なシーンが散見された。特にPOの最初の失点シーンでは、CBの二人が食いついてしまい。ぽっかりと空いた真ん中へスルーパスを通されてしまった。
声出し応援の解禁された試合の多くで敗れた事はチーム状態も影響しているとはいえ、コーチングが届きにくい状況や極度の緊張や熱くなったメンタル状態では、自分のプレーの本質の部分が出やすい。勝負所で勝てなかったのは、こうした部分が影響したのではないかと思う。
42試合で、チームとして修正を繰り返す中で、安定した守備を構築し、チーム最高成績を残したのは、CBの二人のリーダーシップやSBの2人の攻守での高い貢献度が大きかったことは言うまでもない。ただ、100%の力を出し切れたシーズンかと言うと、断言は難しいパフォーマンスであったと思うが、チームとして良くここまで辿り着いたというのが、正直な所である。
そして、DFにおいても、2種登録でユースの選手をトップチームに登録している。コロナ対策とホームグロウン、A契約を意識しての登録であることが予測される。
3、補強ポイント
まず、触れておきたいのが、5柳 育崇の23ヨルディ・バイスの相性上の致命的な弱点である。それは、やはり二人とも”前に行く”というのがファーストチョイスのCBであった事である。昨季の井上 黎生人は、”後で備える”タイプのCBであった。
よって一番に考えたいのは、「後で備えるタイプのCB」の獲得である。このタイプのCBが1人もしくは2人が、5柳 育崇と23ヨルディ・バイスとレギュラーを競えるタイプのCBであれば、より攻撃的に守備的に安定的に戦えたことは間違いなく、プレーオフで生まれたような失点は生まれる事はなかった可能性が高い。
これに関しては、来季に3バックと4バックのどちらを採用した場合でも必要である。後に備えるCBが、どういったCBかと言うと、スルーパスが出されて、抜ければチャンスというシーンで、クリアもしくは、マイボールにできるCBである。
足が速いCBをイメージするかと思いますが、スルーパスを防ぐ上で、ポジショニングと五分五分でも負けない体の強さであったり、不利な状況でもスライディングタックルによってファール無しで奪いきれる選手。こういった部分での”総合力の高い選手”が最重要ポイントとなる。
また、SBに関しては、4-1-2-3に再挑戦する場合は、41徳元 悠平のように総合力の高いSBが必要となる。16河野 諒祐は縦での上下動に特化した攻撃が得意なSBであったことで、最後まで4-1-2-3では嵌らなかった。
4-4-2や3バックと4バックの可変式や、3-4-2-1を継続する場合は、現状路線でも選手の組み合わせや工夫で戦える。今季のストーブリーグで、SB適性のタイプで、4-1-2-3に再チェンジするかの判断材料の1つとなる。
CBの方は、ピンポイントでの獲得が必須だが、SBに関してはある程度、木山 隆之 監督の意向と強化部が話し合う中で、幅広い選択肢から動くことができる。また、26本山 遥と34輪笠 祐士のSBにシフトすることも考え得る選択肢の1つである。
そして、41徳元 悠平や16河野 諒祐のWBやSH、WGを含めて他のポジションにシフトさせてバランスを取る戦い方や5バックを軸にする守備の形の構築。2シーズン目ということとPOの敗戦や終盤のカウンタ―対策を含めて、チームとしてそこに何らかの変化という選択肢を選ぶ場合には、DF陣にも力を入れて補強する可能性もあるが、今季のことを考えると、今季の選手を軸にオプションを広げるに留めるという可能性もある。
継続路線ではなく、大幅なマイナーチェンジをするのであれば、後に備えるCBだけではなく、足下に優れるCBを補強するのも一つの手であるが、その辺りも注目すべきポイントの1つではないだろうか?また、DFでも2種登録の選手をどうするのかというのも注目ポイントだ。
4、DF編まとめ
補強ポイント・・・。CBに関しては、開幕前に心配されていた弱点であったが、シーズンを終えてみると、終盤戦だけではないでしょうか?もう、この形をされると守り切れない。そういった明確な弱点として露呈してしまったのは・・・、そう、終盤戦だけなのですよね。節目節目で、大量失点で敗れるということは確かにありましたが、その次の試合では崩れず、しっかり修正してきた。だからこそ、シーズンを通して、CBの補強はなく、大きく崩れることなく、年間通して考えると、良く守れていた。
そう考えると、実は守備以上に、攻撃面で足枷になった側面が大きかったのではないだろうか?23ヨルディ・バイスも5柳 育崇も得点力があり、積極的な攻撃参加が売りであったが、お互いに前に行く守備から奪って、そこから更に攻撃に移るという回数も限られていたし、チャンスでの機を見た攻撃参加というのは、限られた。そういった意味では、お互いへの信頼関係があっても、何処が自分の判断を信じきれない部分があったのではないだろうか?正直、この点は、実は、今季のDF陣の中で、一番もったいなかった点かもしれない。
来季に向けて、攻守で”自然体"で戦えるバランスのとれた編成にすることができれば、-2+2=0ではなく、2×2=4のような相乗効果が期待できるような戦い方できれば、守備面の安定だけではなく、攻撃面での+効果というのは、間違いなく生まれるし、今季のDF陣というのは、攻守で高いレベルにあり、ベストイレブンに選ばれた23ヨルディ・バイスだけではなく、J2屈指の選手が揃ったDF陣であったと思う。このDF陣が何人残るかは、まだ分からないが、より強く戦えるためにも、手を加える余地があり、大きく強化できるポジションでもあることは間違いない。
次回のPart3では、MF編を予定しています。正直、こちらに関しては、かなり難しかったですね。木山マジックで、一番変化したポジションでもあり、色々な形があったので、私としても補強ポイントを絞るのが難しかったです。MF編の方もよろしくお願いします。
また、Part1のGK編、このPart2のDF編について皆さんのご意見をお待ちしております。最後までお読みいただき有難うございました。
文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino
Part1(GK編)は、こちら(別記事)。
URL::https://note.com/suginote/n/nb2c66ac4365d
Part3(MF編)は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/nde3bb894d920
アディショナルタイム(おまけ)
ファジ造語
参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777
代表作
2021ファジアーノ岡山にフォーカス46
J2:第42節:ファジアーノ岡山 vs ジェフユナイテッド千葉
「有難う有馬さん、有難う椎名さん、有難うファジ」
は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n511a1b501907
筆者紹介
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